経済指標
最終更新日: 2026-07-09

国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)について

 
国内総生産(GDP)とは、一定期間内に国内で新たに生み出された財・サービスの付加価値の総額を指します。GDPは、国の経済活動の規模や成果を示す代表的な経済指標です。
GDPを評価する際は、金額の大きさそのものよりも、前期比や前年同期比による「成長率(伸び率)」が重視されます。GDPが増加している場合は、生産や消費などの経済活動が活発化し、景気が拡大していると判断されます。
支出面から見たGDPの構成要素のうち、最も大きな割合を占めるのは民間最終消費支出であり、日本では一般的にGDP全体の約50~60%を占めています。
GDP統計は内閣府によって四半期ごと(年4回)に公表され、景気動向を把握するための重要な指標として活用されています。


経済成長率について

 
経済成長率とは、国内総生産(GDP)などを用いて、一国の経済規模が一定期間にどの程度増減したかを示す割合のことです。経済の拡大や縮小の度合いを測る重要な指標として利用されています。
経済成長率には、主に次の2種類があります。

  • 名目経済成長率
    時価で評価された名目GDPを用いて算出する成長率です。物価の変動による影響を含むため、経済規模の変化だけでなく、物価の上昇・下落も反映されます。
  • 実質経済成長率
    名目GDPから物価変動の影響を除いた実質GDPを用いて算出する成長率です。物価変動の影響を排除しているため、経済活動の実態をより正確に把握することができます。

 
一般に「経済成長率」という場合は、物価変動の影響を除いた実質経済成長率を指すことが多く、景気動向を判断する際の重要な指標として用いられています。
名目経済成長率および実質経済成長率は、以下の式により算出されます。
 

名目経済成長率の計算式

 

実質経済成長率の計算式

景気動向指数について

 
景気動向指数(CI・DI)とは、生産、雇用、消費など、景気の変動に敏感に反応する複数の経済指標を統合し、景気の現状や将来の動向を総合的に把握するための指標です。内閣府が毎月公表しています。
景気動向指数には、次の2つの指標があります。

  • コンポジット・インデックス(CI)
    景気変動の大きさやテンポ(量的な変化)を把握するための指標です。指数の上昇・下降によって、景気の強弱を判断します。
  • ディフュージョン・インデックス(DI)
    景気の改善または悪化が、経済全体にどの程度広がっているか(波及度)を示す指標です。

 
CIとDIは共通の採用系列を用いて作成されており、景気との時間的な関係によって、次の3つに分類されます。

  • 先行指数(11系列)
    景気に先行して動く指標で、将来の景気動向を予測する際に用いられます。
  • 一致指数(10系列)
    景気とほぼ同時に動く指標で、現在の景気状況を把握する際に用いられます。
  • 遅行指数(9系列)
    景気の変動に遅れて動く指標で、景気動向を確認する際に用いられます。

 
一般に、CIの一致指数が上昇している場合は景気拡大局面、低下している場合は景気後退局面と判断されます。
 

景気動向指数の採用系列

 

先行系列(11系列)

最終需要財在庫率指数(逆サイクル)

鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル)

新規求人数(除学卒)

実質機械受注(製造業)

新設住宅着工床面積

消費者態度指数

日経商品指数(42種総合)

マネーストック (M2)(前年同月比)

東証株価指数

投資環境指数(製造業)

中小企業売上げ見通しDI

一致系列(10系列)

生産指数(鉱工業)

鉱工業用生産財出荷指数

耐久消費財出荷指数

所定外労働時間指数(調査産業計)

投資財出荷指数(除輸送機械)

商業販売額(小売業、前年同月比)

商業販売額(卸売業、前年同月比)

営業利益(全産業)

有効求人倍率(除学卒)

輸出数量指数

遅行系列(9系列)

第3次産業活動指数(対事業所サービス業)

常用雇用指数(調査産業計、前年同月比)

実質法人企業設備投資(全産業)

家計消費支出(勤労者世帯、名目、前年同月比)

法人税収入

完全失業率(逆サイクル)

きまって支給する給与(製造業、名目)

消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、前年同月比)

最終需要財在庫指数

※ "逆サイクル":景気の動きとは逆方向に変動する指標のことです。一般に、景気が悪化すると上昇し、景気が回復すると低下する傾向があります。


日銀短観(全国企業短期経済観測調査)について

 
日銀短観(全国企業短期経済観測調査)とは、日本銀行が全国の企業を対象に実施するアンケート調査で、企業の業況、設備投資計画、雇用状況、資金繰りなどを調査し、企業の景況感や経営状況を把握するための統計調査です。
日銀短観は、日本を代表する景気指標の一つであり、企業活動の現状や先行きの見通しを把握できることから、金融市場や政府・日本銀行の政策運営においても重要な参考資料とされています。
調査は四半期ごとに実施され、通常は4月、7月、10月および12月に年4回公表されます。
 
日銀短観の中でも特に注目される指標が、企業の景況感を数値化した業況判断DI(Diffusion Index)です。業況判断DIは、企業が現在の業況をどのように判断しているかを示す指標で、次の式によって算出されます。
 

業況判断DI (%) = 業況を「良い」と回答した企業の割合 − 業況を「悪い」と回答した企業の割合

 
例えば、「良い」と回答した企業の割合が30%、「悪い」と回答した企業の割合が10%の場合、業況判断DIは+20となります。
業況判断DIがプラスであれば、景況感が良好であると回答した企業の割合が、景況感が悪いと回答した企業の割合を上回っていることを示します。一方、マイナスであれば、景況感が悪いと回答した企業の割合が上回っていることを示します。
特に大企業製造業の業況判断DIは、企業活動や景気動向を反映する代表的な指標として注目されており、景気の現状や先行きを判断する際の重要な材料となっています。


マネーストックについて

 
マネーストックとは、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関、中央政府および非居住者を除く)が保有する通貨の残高を集計したもので、金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を示す指標です。日本銀行が毎月公表しています。
マネーストックは、市中に流通している通貨量を把握するための指標であり、金融政策や景気動向を分析する際の重要な資料として利用されています。
マネーストックには、通貨の範囲に応じて複数の指標が定義されています。主な分類は次のとおりです。
 

M1

M1 = 現金通貨 + 預金通貨
※ 預金通貨とは、当座預金や普通預金など、決済手段として日常的に利用できる預金を指します。
※ 預金通貨の発行者は、全預金取扱機関です。

M2

M2 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + CD(譲渡性預金)
※ 準通貨とは、定期預金、据置預金、定期積金、外貨預金など、預金通貨に比べて流動性が低い預金を指します。
※ CD(譲渡性預金)とは、譲渡可能な定期預金証書のことです。
※ 預金通貨、準通貨、CDの発行者は、国内銀行等です。

M3

M3 = 現金通貨 + 預金通貨 + 準通貨 + CD(譲渡性預金)
※ M3は、M2よりも広い範囲の金融機関の預金等を含む指標であり、経済全体の通貨量をより包括的に把握することができます。
※ 預金通貨、準通貨、CDの発行者は、全預金取扱機関です。

広義流動性

広義流動性 = M3 + 金銭の信託 + 投資信託 + 金融債 + 銀行発行普通社債 + 金融機関発行CP + 国債 + 外債
※ 広義流動性は、預金や現金だけでなく、比較的換金しやすい金融資産も含めた指標であり、より広範な資金供給の状況を把握するために用いられます。


企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)について

 
企業物価指数(CGPI)とは、企業間で取引される財(商品)の価格変動を示す経済指標です。原材料や中間財、最終財などの取引価格を対象としており、企業の仕入れコストや販売価格の動向を把握するために用いられます。
企業物価指数は、原材料価格や為替相場の変動などの影響を受けやすいため、消費者物価指数(CPI)に比べて価格変動が先行して現れる傾向があります。そのため、将来の物価動向や景気動向を分析する際の参考指標として活用されています。
日本銀行が毎月公表しており、企業間取引における物価の変動を把握する重要な指標となっています。
企業物価指数が上昇している場合は、企業の仕入れコストが上昇していることを示し、将来的にそのコストが商品やサービスの価格に転嫁されることで、消費者物価指数(CPI)の上昇につながる可能性があります。一方、企業物価指数が低下している場合は、企業のコスト負担が軽減していることを示します。


消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)について

 
消費者物価指数(CPI)とは、一般消費者が購入する商品やサービスの価格の変動を総合的に示す経済指標です。食料品、衣料品、交通・通信費、教育費、光熱費など、家計の消費支出に関わるさまざまな品目を対象として算出されます。
一方で、所得税などの税金、社会保険料、土地・中古住宅などの資産価格、株式や債券などの有価証券の価格は、原則として消費者物価指数の対象には含まれません。
消費者物価指数は、物価動向を把握するための基本的な指標であり、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の状況を判断する際に広く利用されています。また、政府や日本銀行による経済政策・金融政策の立案や、公的年金額の改定などの基礎資料としても活用されています。
この統計は総務省によって毎月公表されています。
消費者物価指数が上昇している場合は、一般消費者が購入する商品やサービスの価格が全体として上昇していることを示し、物価上昇(インフレ)の傾向があると判断されます。一方、消費者物価指数が低下している場合は、物価下落(デフレ)の傾向があると判断されます。


貿易収支について

 
貿易収支とは、一定期間における一国の輸出額と輸入額との差額を示す経済指標です。輸出額が輸入額を上回る場合は貿易黒字輸入額が輸出額を上回る場合は貿易赤字といいます。
貿易収支は、その国の海外との財の取引状況を把握するための重要な指標であり、景気動向や為替相場、国際競争力などを分析する際にも活用されます。
日本では、主に次の2種類の貿易収支が公表されています。

  • 通関ベースの貿易収支
    財務省が公表する「貿易統計」に基づく貿易収支です。税関における通関手続きのデータをもとに集計されるため、実際の貨物の輸出入の状況を把握することができます。
    輸出入の動向を迅速に把握できることから、貿易動向を分析する際に広く利用されています。
  • 決済ベースの貿易収支
    財務省と日本銀行が公表する「国際収支統計」に基づく貿易収支です。実際の資金の受払い(決済)に基準として集計されるため、通関ベースの貿易収支とは計上時期や金額が異なる場合があります。
    国際収支統計では、貿易取引だけでなく、サービス取引や所得収支なども合わせて把握することができるため、国際経済取引の実態を分析する際に用いられます。