最終更新日: 2024-03-13

保険のきほん

 
いろいろな保険商品

保険の基本的原則

大数の法則

 
数少ない経験では何の法則もないようなことでも、数多くの経験を集めると、一定の法則を見いだすことができます。

収支相当の原則

 
保険の収支においては、集めた保険料(収入)と支払った保険金(支出)が等しくなることが基本です。

給付・反対給付均等の原則

 
年齢や性別により死亡率が異なるため、すべての保険契約者が均等に保険料を負担するとなると保険契約者の間で不公平が生じてしまいます。
そのため、リスクの高さに応じて保険料を算出することによって保険契約者の負担を公平にすることができます。

利得禁止の原則

 
損害保険は、損害のてん補を目的としています。
そのため、被保険者は保険金の受け取りによって利得を得ることを禁止しています。


保険契約者保護機構

 
保険契約者保護機構とは、保険会社が破綻した場合に契約者を保護するために設立された法人のことです。
国内で保険業を営む生命保険会社は生命保険契約者保護機構へ、損害保険会社は損害保険契約者保護機構への加入が義務付けられています(日本国外に本店がある保険会社や民営化後のかんぽ生命を含む)。
また、銀行の窓口で契約した保険も、保険契約者保護機構による補償の対象となります。
ただし、少額短期保険業者共済等(全労済、都道府県民共済、JA共済、CO・OP共済)は、加入対象外です。
 
保険会社が破綻した場合、保険契約者保護機構により補償対象となる保険契約と補償割合は、下表のとおりです。
 

保険の種類

補償割合

生命保険

責任準備金等90% ※

損害保険

自賠責保険

破綻後3か月間は、保険金額100%
破綻後3か月以降は、責任準備金等100%

家計地震保険

自動車保険

破綻後3か月間は、保険金額100%
破綻後3か月以降は、責任準備金等80%

火災保険等

短期傷害保険

海外旅行傷害保険

年金払積立傷害保険

責任準備金等90% ※

その他の疾病・傷害・介護保険

※破綻時に過去5年間で常に予定利率が基準利率(現在は3%)を超えていた高予定利率契約の場合は、補償率は下がります。


クーリングオフ制度

 
クーリングオフとは、一定の契約に限り、一定期間内であれば、一定の要件を満たすことで、消費者側から申込みの撤回や契約の解除をすることができる制度のことです。
 
保険契約の場合は、契約の申込日またはクーリングオフについて記載された書面を受け取った日のいずれか遅い日から8日以内であれば、申込みの撤回または契約の解除を行うことができます。
 
クーリングオフの申し出について、従来は書面のみでありましたが、2022年5月9日に施行された改正保険業法により、電磁的記録で行うことが可能になりました。
この改正を受け、ホームページにクーリングオフに関する申し出の専用フォームを設ける保険会社が増えています。
 
ただし、次の保険契約についてはクーリングオフをすることができないため、注意が必要です。
 

  • 営業もしくは事業のために、または営業もしくは事業として締結する契約
  • 法人、法人でない社団もしくは財団、または国もしくは地方公共団体が申込みをした契約
  • 保険期間が1年以下の契約
  • 自動車損害賠償責任保険契約等のように、法令により加入を義務付けられている契約
  • 申込者等が、あらかじめ日を通知して保険会社等または外国保険会社等(以下、「保険会社等」という)、特定保険募集人、保険仲介人の営業所、事務所その他の場所(以下、「営業所等」という)を訪問し、自己の訪問が保険契約の申込みをするためのものであることを明らかにしたうえで、その営業所等において保険契約の申込みをした場合
  • 申込者等が、自ら指定した場所(営業所等および自己の居所を除く)において保険契約の申込みをした場合
  • 申込者等が、郵便やインターネット等を利用する方法により保険契約の申込みをした場合
  • 申込者等が、振込みによって保険料またはこれに相当する金銭の保険業者への預金または貯金の口座への払込みを行った場合(保険会社等またはこれらの使用人等に依頼して行った場合を除く)
  • 医師により診査が必要な契約において、その診査が終了した場合
  • 勤労者財産形成促進法第6条に規定する勤労者財産形成貯蓄契約、勤労者財産形成年金貯蓄契約または勤労者財産形成住宅貯蓄契約である場合
  • 金銭消費貸借契約、賃貸借契約その他の契約に係る債務の履行を担保とするための契約である場合
  • 既契約の更改(保険金額その他の給付の内容または保険期間の変更に係るものに限る)もしくは更新に係るもの、または既契約の保険金額、保険期間その他の内容の変更に係るものである場合

ソルベンシー・マージン比率

 
ソルベンシー・マージン比率とは、通常予測できる範囲を超えた突発的なリスクに対応できる支払余力を有しているかどうかを判断する指標のことです。
ソルベンシー・マージン比率は、数値が高いほど安全性が高く、一般的に200%以上であれば健全性のひとつの基準を満たしていることになります。
ただし、ソルベンシー・マージン比率が200%を超えている保険会社が破綻した事例もあるため、一つの指標だけで判断することは注意が必要です。
なお、ソルベンシー・マージン比率が100%以上200%未満の場合、監督行政当局は保険会社の経営の健全性を確保するための合理的と認められる経営改善計画の提出および実行命令を発動します。


保険法

 
保険法とは、保険契約に関する一般的なルールを定めた法律のことです。
この法律には、保険契約の締結から終了までの間における、保険契約における関係者の権利義務等が定められています。
保険法は、保険契約だけでなく、共済契約についても適用されます。
保険法の特徴としては、次のようなものがあります。
まず、生命保険契約損害保険契約のほか、現在広く普及している傷害疾病保険に関する規定が設けられ、傷害や疾病に基づいて保険金が支払われる保険契約についても保険法のルールが及ぶことになりました。
また、保険契約者、被保険者および保険金受取人の保護のための規定が整備されました。
具体的には、告知制度に関する規定が見直されたり、保険金の支払時期に関する規定が新設されたりするとともに、それらを含む多くの規定が片面的強行規定とされました。
片面的強行規定とは、その規定に反して保険契約者等に不利な内容の約款や特約の定めは無効となる規定のことです。


保険業法

 
保険業法とは、保険業に携わる者が守らなければならない基本的な法律のことです。
保険業というのは、不特定多数の人に対して保障サービスを提供するという公共性を有するため、保険業務の健全性や適切な運営、公平な保険募集を確保して、保険契約者を保護することが保険業法の目的とされます。
保険業法は、共済適用外です。
 
保険業法では、生命保険募集人等が行う保険契約の募集・締結に際して、次のような禁止行為を定めています。
 
虚偽の説明、重要な事項の不告知の禁止
保険契約者または被保険者に対して、虚偽の説明をすることや、保険契約に関する保険契約者または被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項を説明しない行為を禁止しています。
 
告知妨害・不告知を勧める行為の禁止
保険契約者または被保険者に対して、自己の病気等の事実を保険会社に告げることを妨げる行為や、告げないことを勧める行為を禁止しています。
 
不当な比較表示の禁止
相手に誤解を招くような説明や表示によって他社商品と自社商品を比較する行為を禁止しています。
 
不当な乗換募集の禁止
保険契約者または被保険者に対して、不利益になる事実を告げずに保険の乗り換えを勧める行為を禁止しています。
 
特別利益の提供の禁止
保険契約者または被保険者に対して、保険料の割引や割戻し等の特別利益を提供する行為を禁止しています。
 
断定的判断の提供の禁止
将来の契約者配当金や変額保険の保険金等の不確実な事項について断定的判断を示す行為を禁止しています。