最終更新日: 2024-03-13

生命保険に係る税金

 
年末調整用申告書

生命保険料控除(個人契約の場合)

 
1月1日から12月31日までに支払った生命保険料(自動振替貸付分も含む)は、支払った金額に応じて生命保険料控除として、その年の所得から控除することができます。
払込期日が到来していても支払っていない場合は対象外であり、復活するために支払った保険料は、実際に支払った年の控除対象となります。
前納した保険料は、申告年分の支払期間に対応する保険料のみが、その年分の生命保険料控除の対象となります。
一時払保険料は、保険料を支払った年に1回限り全額が生命保険料控除の対象となります。
また、配当金を受け取った場合には、受け取った配当金の額を差し引いた金額が生命保険料控除の対象となります。
なお、少額短期保険契約の保険料については、 生命保険料控除の対象外です。

生命保険料控除額

 
生命保険料控除額は、2011(平成23)年12月31日以前に締結した契約(旧制度)と2012(平成24)年1月1日以降に締結した契約(新制度)では、控除額が異なります。

新制度が適用となる手続き・ならない手続き

 
2011(平成23)年12月31日以前に締結した生命保険契約でも、2012(平成24)年1月1日以降に次のような手続きが行われた場合、契約全体について新制度の保険料控除が適用となります。
 

  • 転換
  • 保障見直し
  • 主契約および特約の更新
  • 特約変更
  • 特約の中途付加(要注意:以下参照)

 
なお、新制度が適用とならない主な手続きは、次のとおりです。
 

  • 特約の付加によらない保険金額の増額・減額
  • 契約者変更
  • 復活
  • 払込方法や払込回数の変更
  • 特約の非更新
  • 保険料のない特約(代理請求特約、リビング・ニーズ特約、重度がん保険金前払特約、個人年金保険料税制適格特約等)や身体の傷害のみを原因として保険金が支払われる特約(傷害特約、災害割増特約等)のみの中途付加

生命保険料控除額の最高額

 
生命保険料控除額の最高額は、下表のとおりです。
 

 

 

一般の生命保険料控除

個人年金保険料控除

介護医療保険料控除

合計

2011年以前の契約(旧制度)

所得税

最高
50,000
最高
50,000
最高
100,000

住民税

最高
35,000円

最高
35,000円

最高
70,000円

2012年以降の契約(新制度)

所得税

最高
40,000

最高
40,000

最高
40,000

最高
120,000

住民税

最高
28,000円
最高
28,000円
最高
28,000円

最高
70,000円

※一般の生命保険料控除:生存・死亡により保険金・給付金が支払われる部分に係る保険料
※個人年金保険料控除:個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険契約に係る保険料
※介護医療保険料控除:入院・通院等により保険金等が支払われる保険契約に係る保険料

新制度と旧制度の両方を契約している場合の控除額の計算

 
新制度と旧制度の両方を契約していて、一般の生命保険料控除や個人年金保険料控除の適用を受ける場合には、次のいずれかを選択します。
 

 申告区分

所得税控除額

住民税控除額

2011年以前の契約(旧制度)のみ申告

最高
50,000
最高
35,000円

2012年以降の契約(新制度)のみ申告

最高
40,000

最高
28,000円

旧制度と新制度の両方を申告

最高
40,000

最高
28,000円

個人年金保険料控除が受けられる保険契約

 
通常、個人年金保険に加入している場合には、一般の生命保険料控除の対象となりますが、個人年金保険料税制適格特約を付加していれば、加入している個人年金保険は個人年金保険料控除の対象になります。
特約を付加しても保障内容は変わらないので、特約保険料は無料です。
なお、特約を中途付加することはできますが、特約のみを解約することはできません。
 
ただし、個人年金保険料税制適格特約を付加するためには、次の5つの要件を満たさなければなりません。
 

  1. 年金の受取人が契約者または配偶者であること
  2. 年金の受取人が被保険者であること
  3. 保険料の支払期間が10年以上であること
  4. 年金の受取開始が60歳以上であること(確定年金、有期年金または終身年金の場合)
  5. 年金の受取期間が10年以上であること(確定年金、有期年金または終身年金の場合)

 
なお、変額個人年金保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となるので、注意が必要です。


死亡保険金の課税関係(個人契約の場合)

 
死亡保険金に係る税金の種類は、下表のとおりです。
 

契約者

被保険者

受取人

税金

Aさん

Aさん

Bさん 相続税

Aさん

Bさん

Aさん

所得税(一時所得)
住民税

Aさん

Bさん

Cさん

贈与税


満期保険金・解約返戻金の課税関係(個人契約の場合)

 
満期返戻金・解約返戻金に係る税金の種類は、下表のとおりです。
 

契約者

被保険者

受取人

税金

Aさん

誰でも

Aさん 所得税(一時所得)
住民税

Aさん

誰でも

Cさん

贈与税

 
ただし、次の要件を満たす一時払養老保険等の満期保険金や解約返戻金は、金融類似商品として利子所得と同様に、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の源泉分離課税となります。
 

  • 保険期間が5年以下または保険期間が5年超で、5年以内に解約した場合であること
  • 保険料の支払方法が一時払いまたは次のいずれかに該当すること
    • 契約日から1年以内に保険料総額の50%以上を払い込むもの
    • 契約日から2年以内に保険料総額の75%以上を払い込むもの
  • 普通死亡保険金が満期保険金と同額以下かつ災害死亡保険金等が満期保険金の5倍未満であること

個人年金保険の課税関係(個人契約の場合)

 
年金受給開始前に被保険者が死亡した場合、死亡給付金に係る税金の種類は、下表のとおりです。
 

契約者

被保険者

受取人

税金

Aさん

Aさん

Bさん 相続税

Aさん

Bさん

Aさん

所得税(一時所得)
住民税

Aさん

Bさん

Cさん

贈与税

 
年金受給開始時に係る税金の種類は、下表のとおりです。
 

契約者

被保険者

受取人

税金

Aさん

誰でも

Aさん 年金を毎年受け取る場合:所得税(雑所得)
年金を一括で受け取る場合:所得税(一時所得)※

Aさん

誰でも

Bさん

年金受給権に対する贈与税

※保証期間付終身年金で保証期間内の年金を一括で受け取る場合には、雑所得として所得税の課税対象となります。この場合、契約は消滅せず、保証期間経過後に被保険者が生存していれば、再び年金の受け取りが開始され、死亡するまで年金を受け取ることができます。

 
年金受給権の評価は、下表のとおりです。
 

確定年金の場合

次のうち、いずれか大きい金額
①解約返戻金の金額
②一時金相当額
③年金年額 × 残存期間に応じた予定利率の複利年金原価率

終身年金の場合

次のうち、いずれか大きい金額
①解約返戻金の金額
②一時金相当額
③年金年額 × 平均余命に応じた予定利率の複利年金現価率

保障期間付終身年金の場合

次のうち、いずれか大きい金額
①上記「確定年金の場合」で算出した金額
②上記「終身年金の場合」で算出した金額


非課税となる保険金や給付金(個人契約の場合)

 
次のような保険金や給付金は、非課税となります。
 

  • 入院給付金
  • 手術給付金
  • 高度障害保険金
  • 特定疾病保険金
  • リビング・ニーズ特約保険金

生命保険と税金(法人契約の場合)

 
法人契約の保険とは、契約者が法人で、被保険者が従業員や役員となる保険のことです。
法人が支払った保険料の経費処理は保険の種類や契約形態によって異なります。

生命保険料を支払ったときの経理処理(法人契約の場合)

 
保険の種類や契約形態による保険料の経理処理は、下表のとおりです。
 

保険の種類

契約者

 被保険者 満期保険金受取人

死亡保険受取人

経費処理

定期保険(貯蓄性のない商品)

法人

役員・従業員

法人 定期保険料として損金算入

役員・従業員の遺族

給与として損金算入

終身保険(貯蓄性のある商品)

法人

役員・従業員

法人

保険料積立金として資産計上

役員・従業員の遺族 給与として損金算入
養老保険(貯蓄性のある商品) 法人 役員・従業員 法人 法人 保険料積立金として資産計上
役員・従業員 役員・従業員の遺族 給与として損金算入
1/2養老保険(貯蓄性のある商品) 法人 役員・従業員の全員 法人 役員従業員の遺族 1/2は保険料積立金として資産計上
1/2は福利厚生費として損金算入

 
なお、2019(令和元)年7月8日以降に契約した保険期間が3年以上の定期保険や第三分野の保険(医療保険・がん保険・介護保険等)の場合、最高解約返戻率が50%超である商品の保険料の経理処理は、下表のとおりです。 
 

最高解約返戻率

50%超70%以下

 70%超85%以下 85%超

資産計上期間

保険期間の当初40%相当期間

最高解約返戻率となる期間

資産計上期間の経費処理

前払い保険料として40%資産計上 前払い保険料として60%資産計上

最初の10年間
支払保険料 × 最高解約返戻率 × 90% を前払い保険料として資産計上
11年目以降
支払保険料 × 最高解約返戻率 × 70% を前払い保険料として資産計上

定期保険料として60%損金算入

定期保険料として40%損金算入

資産計上の残額を定期保険料として損金算入

取崩期間 保険期間の75%相当期間経過後 解約返戻金相当額が最も高くなる期間経過後
取崩期間の経費処理 資産計上期間で資産計上した金額を取崩期間で均等に取り崩して損金算入
取崩期間に支払った保険料は全額損金算入
資産計上期間や取崩期間以外の期間の経費処理 支払った保険料は全額損金算入

 
個人年金保険の保険料の経理処理は、下表のとおりです。
 

保険の種類

契約者

 被保険者 死亡保険金受取人

年金受取人

経費処理

個人年金保険

法人

役員・従業員

法人

法人 保険料積立金として資産計上

役員・従業員の遺族

役員・従業員

給与として損金算入

役員・従業員の遺族
法人 90%は保険料積立金として資産計上
10%は給与として損金算入

保険金・解約返戻金を受け取ったときの経理処理と税金(法人契約の場合)

 
法人が受け取った保険金または解約返戻金は、全額雑収入として益金に算入され、法人税の課税対象となります。
ただし、支払保険料が資産計上されている場合には、保険金または解約返戻金から資産計上されている支払保険料を差し引くことができます。