最終更新日: 2023-02-12
消費者契約法

消費者契約法とは
消費者が事業者と契約するとき、両者の間には持っている情報の質や量、交渉力に格差があります。
このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、2001(平成13)年4月1日に消費者契約法が施行されました。
消費者契約法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定しています。
消費者契約法における取消権の行使期間は、消費者が誤認等に気づいたときから1年、もしくは契約締結のときから5年です。
取消すことができる契約事例
次のような不当な勧誘により締結させられた契約は、後から取消すことができます。
- 重要事項について事実と異なることを告げた場合(不実告知)
- 消費者の利益となる旨を告げながら、重要事項について不利益となる事実を故意または重大な過失によって告げなかった場合(不利益事実の不告知)
- 将来における変動が不確実な事項について確実であると告げた場合(断定的判断の提供)
- 消費者にとっての通常の分量を著しく超えることを知りながら、消費者契約を勧誘した場合(過量契約)
- 消費者が事業者に対し、退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、事業者が退去しなかった場合(不退去)
- 消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、消費者を退去させなかった場合(退去妨害)
- 消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、契約が必要と告げた場合(不安をあおる告知)
- 消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、勧誘者に好意の感情を抱き、かつ、勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信していることを知りながら、契約しなければ関係が破綻すると告げた場合(好意の感情の不当な利用)
- 加齢や心身の故障により判断力が著しく低下していることから、現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、不安をあおり、契約が必要と告げた場合(判断力の低下の不当な利用)
- 霊感等の特別な能力により、消費者にそのままでは重大な不利益が生ずることを示して不安をあおり、契約が必要と告げた場合(霊感等による知見を用いた告知)
- 契約締結前に、契約による義務の全部または一部を実施し、実施前の原状の回復を著しく困難にした場合(契約締結前に債務の内容を実施等)
- 契約締結前に、契約締結を目指した事業活動を実施し、これにより生じた損失の補償を請求する旨等を告げた場合(契約締結前に債務の内容を実施等)
無効にすることができる契約条項
次のような消費者の利益を不当に害する契約条項は、無効となります。
- 損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による場合に損害賠償責任の一部を免除する条項、事業者が責任の有無や限度を自ら決定する条項
- 消費者の解除権を放棄させる条項や、事業者が消費者の解除権の有無を自ら決定する条項
- 事業者に対し、消費者が後見開始等の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する条項
- キャンセル料のうち、契約の解除に伴う平均的な損害額を超える部分や、遅延損害金につき年利14.6%を超える部分についての条項
- 任意規定の適用による場合と比べ消費者の権利を制限し、または、義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するもの
事業者と消費者の努力義務
消費者契約法には、次のような事業者と消費者それぞれの努力義務が定められています。
事業者の努力義務
- 契約条項を定めるにあたって、その解釈について疑義が生じない明確で、かつ、平易なものになるよう配慮すること
- 勧誘に際し、消費者契約の目的となるものの性質に応じ、個々の消費者の知識および経験を考慮した上で、必要な情報を提供すること
消費者の努力義務
- 消費者契約を締結するに際し、事業者から提供された情報を活用し、消費者契約の内容について理解するよう努めること