最終更新日: 2025-10-13
金融市場とは
金融市場とは、資金の貸し借りや運用が行われる市場のことです。企業や政府、個人などが資金を調達したり、余剰資金を運用したりする場として、経済活動において重要な役割を果たしています。
金融市場は、取引される金融商品の満期期間によって、短期金融市場と長期金融市場の2つに分類されます。
短期金融市場
短期金融市場とは、満期が1年以内の短期資金を取引する市場です。企業や金融機関が日々の資金繰りを調整するために利用され、経済の流動性を支える重要な役割を担っています。
この市場には、金融機関のみが参加できるインターバンク市場と、金融機関に加え、事業会社や機関投資家なども参加可能なオープン市場があります。
主なインターバンク市場
- コール市場
金融機関が日々の資金の過不足を調整するために、短期資金を貸し借りする市場 - 手形市場
手形を媒介として、金融機関同士が資金を融通する市場 - 銀行間預金市場
銀行同士が預金を通じて資金を調達・運用する市場
主なオープン市場
- 現先市場
債券などを一定期間後にあらかじめ定めた価格で買い戻す(または売り戻す)ことを約束して取引する市場 - レポ市場
主に国債を対象に、現金を担保に債券を貸し借りする「現金担保付債券貸借取引」が行われる市場 - TDB市場
国庫短期証券(TDB)の取引を行う市場 - CP市場
信用力のある企業が発行する短期・無担保の割引約束手形(CP:コマーシャル・ペーパー)を取引する市場 - CD市場
銀行が発行する譲渡性預金(CD:Certificate of Deposit)を取引する市場。CDは発行金額・期間・金利に制限がなく、第三者への譲渡が可能な無記名の定期預金証書です。
長期金利市場
長期金利市場とは、1年を超える期間の資金を取引する市場のことです。企業や政府が設備投資や財政支出など、長期的な資金需要に対応するために利用されます。
長期金利市場は、主に以下の2つに分類されます。
- 証券市場:株式や債券などが取引される市場で、さらに以下のように分けられます
- 株式市場:企業が資金調達のために株式を発行・売買する市場
- 債券市場:国債や社債など、一定期間後に元本と利子を返済する証券が取引される市場
- 長期貸付市場:金融機関などが企業や個人に対して、1年を超える期間の資金を貸し出す市場で、住宅ローンや設備資金の融資などが該当します
金利の変動要因
金利の変動にはさまざまな要因が関係しますが、特に重要なのは以下の4つです。
- 国内景気
- 国内物価
- 海外金利
- 為替相場
これらの要因は、金利の上昇・下落に次のような影響を与えます。
金利の動き |
国内景気 | 国内物価 | 海外金利 | 為替相場 |
上昇⬆ |
好況⬆ |
上昇⬆ |
上昇⬆ | 円安⬇ |
下落⬇ |
不況⬇ |
下落⬇ |
下落⬇ | 円高⬆ |
- 国内景気が好調になると、企業の資金需要が高まり金利が上昇します。
- 物価が上昇すると、インフレ抑制のために金利が引き上げられる傾向があります。
- 海外金利が上昇すると、資金流出を防ぐために国内金利も引き上げられることがあります。
- 円安が進行すると、輸入物価が上昇しインフレ圧力が高まるため、金利が上昇する可能性があります。
公開市場操作(オペレーション)
公開市場操作(オペレーション)とは、日本銀行が金融市場の金利や資金量を調整するために行う、最も基本的な金融政策手段です。
公開市場操作には、以下の2種類があります。
- 買いオペレーション(買いオペ)
日本銀行が国債の買入れや資金の貸付けなどを通じて、市場に資金を供給する操作です。これにより市場の資金量が増え、金利は低下する傾向があります。 - 売りオペレーション(売りオペ)
日本銀行が振出手形の売却や、保有国債の買戻し条件付き売却などを通じて、市場から資金を吸収する操作です。これにより市場の資金量が減り、金利は上昇する傾向があります。
公開市場操作は、景気や物価の状況に応じて柔軟に実施され、金融政策の効果を市場に迅速に反映させるための重要な手段です。