株価指数について
 
株価指数とは、証券取引所全体や特定の銘柄群の株価水準やその変動を示す指標です。ある時点の株価を基準として増減を表すため、時系列での連続性が保たれ、株価の動きを長期的に評価することが可能です。
代表的な株価指数には、以下のようなものがあります。
日経平均株価(日経225)
 
日経平均株価は、日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場に上場する銘柄の中から、市場流動性の高い225銘柄を選定し、それらの株価をもとに算出される平均型の株価指数です。株価の合計を単純に225で割るのではなく、「除数」と呼ばれる調整値で割って算出されます。
※除数とは、株価平均を計算する際に、市況とは無関係な株価の変動(株式分割や併合など)を調整し、指数の連続性を保つために用いられる値です。
225銘柄の構成は、原則として毎年10月初めに定期的な見直しが行われ、必要に応じて入れ替えられます。この定期見直しでは、市場流動性に加え、セクター(技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6分類)間のバランスも考慮されます。
また、構成銘柄が上場廃止となるなどの突発的な事象が発生した場合には、臨時の入れ替えが実施されることもあります。
日経平均株価の特徴として、値嵩株(価格の高い株式)の影響を受けやすい点が挙げられます。これは、株価の高い銘柄が指数に与える影響が相対的に大きくなるためです。
東証株価指数(TOPIX:Tokyo Stock Price Index)
 
東証株価指数(TOPIX)は、旧市場区分である東京証券取引所第一部に上場していた全銘柄を対象に、実際に市場で流通している株式(浮動株)の比率を反映した「時価総額加重型」で算出される株価指数です。
1968(昭和43)年1月4日を基準日とし、当時の時価総額を100ポイントとして指数が算出されています。
TOPIXの特徴は、時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすい点にあります。
2022(令和4)年4月の東京証券取引所による市場区分の再編を契機として、TOPIXの投資対象としての機能性を高めるための「第一段階の見直し」が進められており、2025(令和7)年1月末に完了しました。
これに続く「第二段階の見直し」では、TOPIXが多額の連動資産を持ち、幅広く利用されていることを踏まえ、指数の連続性を維持しながら、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の全市場区分を対象に、流動性をより重視した銘柄の定期入れ替えを実施するなど、広範な網羅性と投資対象としての機能性のさらなる向上を目指しています。
第一段階の見直しと同様に、次期TOPIXへの円滑な移行と市場への影響を最小限に抑えるため、十分な周知期間と移行期間を確保し、段階的に見直しを進めています。
東証グロース市場250指数(旧:東証マザーズ指数)
 
東証グロース市場250指数は、東京証券取引所グロース市場に上場する新興企業の中から、時価総額を基準にJPX総研が選定した主力250銘柄を対象とする、時価総額加重型の株価指数です。もともとは「東証マザーズ指数」として知られていましたが、2022(令和4)年4月の市場区分再編によりマザーズ市場が廃止されたことを受け、構成銘柄の段階的な見直しを経て、2023(令和5)年11月6日から現在の名称に変更されました。
この指数の定期的な銘柄入れ替えは年に1回、10月末に実施されます。指数の基準日は2003(令和5)年9月12日で、当時の時価総額を1,000ポイントとして算出が開始されました。
JPXプライム150指数(JPX Prime 150 Index)
 
JPXプライム150指数は、プライム市場に上場する時価総額上位500銘柄の中から、以下の2つの基準に基づいて選定された150銘柄を対象とした、時価総額加重型の株価指数です。
- ROE基準:自己資本利益率(ROE)が8%を超え、かつエクイティ・スプレッド(ROEから株主資本コストを差し引いた値)が上位の75銘柄。
 - PBR基準:上記の75銘柄を除いた中から、株価純資産倍率(PBR)が1倍を超える銘柄のうち、時価総額上位75銘柄。
 
これら2つのグループを合わせた150銘柄で構成されます。
指数は、2023(令和5)年5月26日を基準日とし、当時の時価総額を1,000ポイントとして算出されています。
JPX日経インデックス400
 
JPX日経インデックス400は、日本取引所グループ(JPX)と日本経済新聞社が共同で開発した株価指数です。
この指数は、東京証券取引所のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場する全銘柄の中から、以下の基準に基づいて選定された400銘柄で構成されます。
- 適格基準によるスクリーニング:以下に該当する銘柄は除外されます。
 - 上場後3年未満
 - 過去3期すべてで営業赤字
 - 過去3期のいずれかで債務超過
 - 市場流動性によるスクリーニング
 - 直近3年間の売買代金
 - 選定基準日時点の時価総額
 - 定量評価
 - 自己資本利益率(ROE)の直近3年間の平均などを用いてスコアリング
 - 定性評価による加点
 - 独立社外取締役の選任
 - 国際財務報告基準(IFRS)の採用
など 
これらの評価をもとに選定された400銘柄の時価総額を加重平均して指数が算出されます。
指数は、2013(平成25)年8月30日を基準日とし、当時の時価総額を10,000ポイントとしてスタートしました。
また、時価総額が著しく大きい銘柄については、指数構成銘柄の時価総額合計に対して1.5%の組み入れ上限が設定されており、特定銘柄の影響を抑える仕組みとなっています。
銘柄の入れ替えは毎年8月に実施されます。
ダウ工業株30種平均(ニューヨークダウ・ダウ平均)
 
ダウ工業株30種平均は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・公表している、米国を代表する株価指数のひとつです。ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している成長性の高い30銘柄を対象とし、「修正単純平均型」の手法で算出されます。
この指数は、構成銘柄の株価を合計し、調整された除数で割ることで算出されるため、株価の高い銘柄が指数に与える影響が大きくなるのが特徴です。
時代の変化に応じて構成銘柄の見直しが行われており、近年ではIT関連企業の比率が高まっています。
ナスダック総合指数
 
ナスダック総合指数は、米国のナスダック市場に上場している米国企業および海外企業を含む、約3,700銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。
この指数は、1971(昭和46)年2月5日を基準日とし、当時の時価総額を100ポイントとして算出されています。
ナスダック総合指数の特徴は、シリコンバレーを中心としたハイテク企業やIT関連企業の比率が高いため、これらの業種の業績や市場動向が指数に強く反映されやすい点にあります。
S&P500種株価指数
 
S&P500種株価指数は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・公表している、米国を代表する株価指数のひとつです。ニューヨーク証券取引所(NYSE)、NYSE American、ナスダック市場に上場している流動性の高い約500銘柄を対象に、浮動株調整後の時価総額加重平均型で算出されます。
この指数は、米国株式市場全体の動向を反映する指標として、世界中の投資家に広く利用されています。
FTSE100種総合株価指数(FTSE100)
 
FTSE100種総合株価指数(FTSE100)は、英国ロンドン証券取引所に上場している企業のうち、時価総額が上位100銘柄を対象として算出される株価指数です。指数の算出・公表は、ロンドン証券取引所の子会社であるFTSE社によって行われています。
FTSE100は、英国を代表する大型株の動向を示す指標として、国内外の投資家に広く利用されています。
ドイツ株価指数(DAX)
 
ドイツ株価指数(DAX)は、ドイツ取引所の子会社であるSTOXX社が算出・公表している株価指数です。フランクフルト証券取引所に上場している主要な30銘柄を対象に、時価総額加重平均方式で算出されます。
DAXは、ドイツ経済を代表する企業の株価動向を反映する指標として、欧州のみならず世界中の投資家に広く利用されています。
フランス株価指数(CAC40)
 
フランス株価指数(CAC40)は、フランスのユーロネクスト・パリ(旧パリ証券取引所)が算出・公表する株価指数で、同取引所に上場している企業のうち、時価総額上位40銘柄を対象としています。これらの銘柄を時価総額加重平均方式で算出することで、フランスを代表する株式市場の動向を示す指標となっています。
CAC40は、フランス経済の中心的企業の株価動向を反映するため、欧州市場の動向を把握するうえでも重要な指数とされています。
バフェット指数
 
バフェット指数とは、著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が株式市場の割高・割安を判断する際に重視しているとされる指標です。
この指数は、以下の式で算出されます。
 
バフェット指数 = ( 当該国の株式時価総額 ÷ 当該国の名目GDP ) × 100
 
一般的に、バフェット指数が100%を超えると株式市場が割高と判断される傾向があり、過熱感が強まることで株価が急落する可能性があると考えられています。
VIX指数(恐怖指数)
 
VIX指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出・公表している株価指数で、S&P500を対象としたオプション取引の値動きをもとに、今後30日間の市場の変動予測(ボラティリティ)を示す指標です。
一般的に、VIXの数値が高いほど、投資家が市場の先行きに対して不安を感じていると判断されます。通常は10〜20程度で推移することが多いですが、金融危機や地政学的リスクなどにより市場の不確実性が高まると、数値が急上昇する傾向があります。
そのため、VIXは「恐怖指数」とも呼ばれ、投資家心理を測る重要な指標として広く利用されています。