上場投資信託(ETF)の相続税評価
上場投資信託(ETF)とは、金融商品取引所に上場されている証券投資信託のことです。
上場投資信託(ETF)には、純資産総額に基づいて運用会社が計算し公表する基準価額と、証券取引所で取引される取引価格があります。
相続税評価については、上場株式に準じて取引価格を基に評価します。
上場投資信託(ETF)の受益証券は、次の4つのうち、最も低い価額で評価します。
- 課税時期(相続開始の日)の終値
課税時期の終値がない場合は、その課税時期前後で最も近い日の終値(終値が2つある場合にはその平均額)とする - 課税時期の属する月の毎日の終値の月平均額
- 課税時期の属する月の前月の毎日の終値の月平均額
- 課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
証券投資信託受益証券の相続税評価
証券投資信託受益証券は、課税時期において解約請求または買取請求を行った場合に証券会社等から支払いを受けることができる価額により評価します。
MMF・中期国債ファンド等の日々決算型の証券投資信託受益証券
1口あたりの基準価額 × 口数 + 再投資されていない未収分配金 − 再投資されていない未収分配金につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額 − 信託財産留保額および解約手数料(消費税額に相当する額を含む)
※課税時期において基準価額がない場合は、課税時期前の基準価額のうち最も近い日の基準価額を適用する。
上記以外のもの
課税時期1口あたりの基準価額 × 口数 − 課税時期において解約請求等した場合に源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額 − 信託財産留保額および解約手数料(消費税額に相当する額を含む)
※課税時期において基準価額がない場合は、課税時期前の基準価額のうち最も近い日の基準価額を適用する。
定期預金の相続税評価
定期預金については、次の式で評価します。
定期預金の相続税評価額 = 預入残高 + ( 既経過利子の額 − 源泉所得税相当額 )
※「既経過利子の額」とは、相続開始時において解約するとした場合に支払いを受けることができる金額のことで、日割り計算となります。
外貨預金の相続税評価
外貨建てによる財産の邦貨換算は、原則として納税義務者の取引金融機関(外貨預金等、取引金融機関が特定されている場合は、その取引金融機関)が公表する課税時期における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)または、これに準ずる相場によります。
なお、先物外国為替契約を締結していることによりその財産についての為替相場が確定している場合には、その為替相場によります。
また、相続税の財産評価については納税者有利や評価の安全性を考慮する面があり、国外のプラス財産(資産)は評価額が小さくなるように、また、国外のマイナス財産(債務)は評価額が大きくなるようにされています。
よって、
- 国外のプラスの財産を相続した場合は、電信買相場(TTB)
- 国外のマイナスの財産を相続した場合は、電信売相場(TTS)
に準ずる相場によります。
生命保険契約に関する権利の相続税評価
相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約については、生命保険契約に関する権利が相続税の課税対象となります。
その価額は、相続開始の時において解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価します。
契約者貸付金のある生命保険契約に関する権利を取得した場合
契約者が保険会社から貸付けを受けている場合に保険事故が発生すると、保険金と契約者貸付金は相殺され、契約者貸付金を差し引いた保険金が給付されます。
一方、被保険者と契約者が異なる場合で、契約者(保険料負担者)が死亡したときは、生命保険契約に関する権利が相続税の課税対象となります。
この場合は相続税の財産評価上、相続時に解約したと仮定した場合の解約返戻金相当額で評価します。
現実に保険金が給付されるわけではないので、契約者貸付金の相殺はありません。
したがって、契約者貸付金は契約者の相続債務として債務控除の対象となります。
保険料負担者 |
契約者 |
相続税の課税対象となる保険金 |
貸付金部分の処理 |
備考 |
被相続人 |
被相続人 |
契約者貸付金を差し引いて受取人に給付された保険金 |
給付される保険金から控除済み | 貸付金部分は債務控除の対象とならない |
受取人 |
保険金として受領すべき金額 |
受取人自身が負担すべき債務であり、相続財産とは切り離して考える | 貸付金部分は債務控除の対象とはならない |
|
受取人および被相続人以外 |
受取人に対する課税は、契約者貸付金を差し引いて受取人に給付された保険金 |
契約者に対する課税は、貸付金部分の保険金を相続により受領したとみなす | 保険料を負担したのは被相続人であるため、契約者が貸付金部分の財産を取得したと考える |
剰余金や前納保険料を加算して受け取った場合
被相続人の相続等により、被相続人が保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合で、剰余金の分配額や前納保険料が加算されて受け取ったときは、受取人が取得した保険金に含まれます。
生命保険契約に関する権利を評価する上でも解約返戻金に加算されます。
ゴルフ会員権の相続税評価
取引相場のあるゴルフ会員権の相続税評価額は、課税時期の取引価格の70%相当の金額により評価します。
取引価格に含まれない預託金等があるときは、次の金額を加算した合計額により評価します。
- 課税時期において直ちに返還を受けることができる預託金等については、その金額
- 課税時期から一定期間経過した後に返還を受けることができる預託金等については、課税時期から返還を受けることができる日までの期間(1年未満の期間があるときは切り上げて1年にする)に応ずる基準年利率による複利現価の額
ゴルフ会員権の相続税評価をまとめると、下表のとおりです。
取引相場あり |
会員権 |
取引価額 × 70% |
預託金(取引価額に含まれない部分) |
返還までの期間に応じ基準年利率による複利現価の額(即時返還される場合は、その返還額) |
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取引相場なし | 株主会員制 |
株式の価額 |
預託金制 |
返還までの期間に応じ基準年利率による複利現価の額(即時返還される場合は、その返還額) |
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プレー権のみ・譲渡不能・預託金等不返還型 | 評価なし |