上場株式の相続税評価について
上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式を指します。
相続税評価額は、以下の4つの価額のうち、最も低い金額を採用します。
- 課税時期(相続開始日)の終値
課税時期の終値がない場合は、その前後で最も近い日の終値(終値が2つある場合は平均額) - 課税時期の属する月の毎日の終値の月平均額
- 課税時期の属する月の前月の毎日の終値の月平均額
- 課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の月平均額
また、国内の複数の金融商品取引所に上場している株式については、納税義務者が選択した取引所の価格で評価します。
気配相場等のある株式の評価について
気配相場等のある株式とは、日本証券業協会に登録された銘柄、店頭管理銘柄、または公開途上にある株式を指します。
登録銘柄や店頭管理銘柄の評価方法
これらの株式は、日本証券業協会が公表する課税時期(相続の場合は被相続人の死亡日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の取引価格で評価します。取引価格に高値と安値がある場合は、その平均額を用います。
ただし、その取引価格が以下の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額で評価します。
- 課税時期の月の毎日の取引価格の月平均額
- 課税時期の月の前月の毎日の取引価格の月平均額
- 課税時期の月の前々月の毎日の取引価格の月平均額
公開途上にある株式の評価方法
公開途上にある株式は、上場または登録に際して公募または売出しが行われる場合の公開価格で評価します。
取引相場のない株式の評価について
取引相場のない株式とは、上場株式以外の株式を指します。
この株式の評価は、以下の手順で行います。
- 株式取得者の判定
- 会社規模区分の判定
- 特定の評価会社の判定
- 評価方式の判定
1.株式取得者の判定
株式取得者の判定は、取得者が会社に対して経営支配権を持つ同族株主か否かによって、評価方法が異なります。
株主の1人とその同族関係者の議決権割合が30%以上の場合、その株主と同族関係者を同族株主とします。
ただし、会社に議決権割合50%超のグループがある場合は、そのグループに属する株主と同族関係者のみが同族株主となります。
同族関係者の範囲は、以下のとおりです。
- 親族:配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族
- 特殊関係にある個人:血縁関係者、個人的な使用人、生活援助を受けている者
- 特殊関係にある法人:
- 50%超の持株となる子会社
- 親会社と子会社で50%超の持株となる孫会社
- 親会社・子会社・孫会社で50%超の持株となる曾孫会社や兄弟会社
なお、同族株主のうち、本人とその配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族(関係法人を含む)の議決権割合が25%以上の場合、その株主を中心的な同族株主とします。
さらに、株主と同族関係者の議決権割合が15%以上のグループに属し、そのグループ内に単独で10%以上の議決権を持つ株主がいる場合、その株主を中心的な株主とします。
2.会社規模区分の判定
会社規模区分の判定は、以下の3つの要素に基づいて判定します。
- 直前期末以前1年間の従業員数
- 直前期末の総資産価額(帳簿価額)
- 直前期末以前1年間の取引金額
これらの基準により大会社・中会社・小会社に区分し、区分ごとの評価方法で株式を評価します。
従業員数が70人以上の場合、常に大会社となります。従業員数が70人未満の場合は、上記2と3に応じて、大会社・中会社・小会社のいずれかに区分します。
3.特定の評価会社の判定
特定の評価会社にはいくつかの種類があり、それぞれ判定基準が異なります。概要は以下のとおりです。
| 特定会社の種類 |
判定基準 |
| 土地保有特定会社 |
課税時期における各資産を財産評価基本通達に基づき評価した価額の合計額のうち、土地等の価額の合計額の割合(土地保有割合)が70%以上(大会社、総資産価額が大会社基準に該当する小会社)または90%以上(中会社、総資産価額が中会社基準に該当する小会社) |
| 株式等保有特定会社 |
課税時期における各資産を財産評価基本通達に基づき評価した価額の合計額のうち、株式等の価額の合計額の割合(株式等保有割合)が50%以上 |
| 開業後3年未満の会社 |
課税時期において開業後3年未満 |
| 比準要素数0の会社 |
課税時期の直前期末を基準とし、類似業種比準方式の3要素である「1株あたりの配当金額」、「1株あたりの利益金額」、「1株あたりの簿価純資産価額」がすべて0円 |
| 比準要素数1の会社 |
類似業種比準方式の3要素である「1株あたりの配当金額」、「1株あたりの利益金額」、「1株あたりの簿価純資産価額」を、直前期末を基準とした場合と直前々期末を基準とした場合とで計算し、以下の両方に該当する場合 |
| 開業前・休業中の会社 |
課税時期において設立登記済みだが、事業活動が開始されていない、または課税時期において長期間休業中 |
| 清算中の会社 |
課税時期において清算段階にある |
4.評価方式の判定
評価方式は、以下のように決定します。
| 株式取得者の判定 |
会社区分の判定 |
特定会社の判定 |
評価方式 |
| 同族株主等 |
大会社 | 特定会社に非該当 | 原則的評価方式(類似業種比準方式)または純資産価額方式 |
| 中会社 |
原則的評価方式(併用方式)または純資産価額方式 |
||
| 小会社 |
原則的評価方式(純資産価額方式)または併用方式 |
||
| 大会社 |
特定会社に該当 | 原則的評価方式(純資産価額方式) |
|
| 中会社 |
|||
| 小会社 |
|||
| 同族株主等以外 |
ー |
ー | 特例的評価方式(配当還元方式) |
類似業種比準方式
類似業種比準方式とは、評価対象会社と事業内容が類似する上場会社の株価を基準に、評価会社の株価を算出する方法です。
株価は、「1株あたりの配当金額」、「1株あたりの利益金額」、「1株あたりの簿価純資産価額」の3要素をもとに算出されます。
さらに会社規模に応じて、斟酌率(大会社70%・中会社60%・小会社50%)を乗じます。
1株あたりの類似業種比準価額は、以下の式で算出されます。
A:類似業種の株価
B:類似業種の1株あたりの配当金額
C:類似業種の1株あたりの利益金額
D:類似業種の1株あたりの純資産価額
E:斟酌率(大会社0.7・中会社0.6・小会社0.5)
b:評価会社の1株あたりの配当金額(前2年間の平均)
c:評価会社の1株あたりの利益金額(直前期1年間または前2年間の平均)
d:評価会社の1株あたりの純資産価額(直前期末)
純資産価額方式
純資産価額方式とは、会社の全財産を現金化し、債務や税金を控除した後、1株あたりに分配できる金額を株価とする評価方法です。
会社の全財産を国税庁の評価基準に基づき評価替えします。含み益がある場合は、その税金相当額を控除します。そうして算出した純資産価額を発行済株式数で割り、1株あたりの価額を求めます。
なお、課税時期前3年以内に取得または新築した土地、土地の上に存する権利、建物、附属設備、構築物などは、課税時期の通常取引価額で評価します。
1株あたりの純資産価額は、以下の式で算出されます。
A:課税時期における相続税評価額による総資産価額
B:課税時期における相続税評価額による負債額
C:課税時期における帳簿価額による総資産価額
D:課税時期における帳簿価額による負債額
E:課税時期における発行済株式数
併用方式
併用方式とは、類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせ、加重平均で評価する方法です。
併用方式による株式の評価額は、以下の式で算出されます。
1株あたりの評価額 = ( 類似業種比準価額 × Lの割合 ) + { 純資産価額 × ( 1 − Lの割合 ) }
※Lの割合とは、類似業種比準価額と純資産価額の評価額の組み合わせ比率を示すもので、会社規模によって異なります(中会社の大0.9・中会社の中0.75・中会社の小0.6・小会社0.5)。
配当還元方式
配当還元方式とは、同族株主等以外の経営権に関与しない少数株主が取得した株式を評価する方法です。
評価額は、直前期以前の2年間の平均の1株あたりの配当金額を10%で還元した金額で算出します。
ただし、1株あたりの資本金等の額を50円とした場合、直前期以前の2年間の平均配当金額が2円50銭未満または無配当なら、年配当金額を2円50銭とし、その金額を10%で還元した額に「1株あたりの資本金等の額÷50円」を乗じて評価します。
なお、記念配当や特別配当など、将来継続が見込めない配当は評価に含めません。
1株あたりの配当還元価額は、以下の式で算出されます。
※年配当金額が2円50銭未満または無配当の場合は、2円50銭として計算します。