最終更新日: 2023-05-05
住宅ローンのきほん

住宅ローンの金利体系
住宅ローンの金利体系には、次の3種類があります。
それぞれの違いを確認して、自分に合った金利体系を選択することが大切です。
固定金利型
固定金利型とは、返済開始から終了まで利率が変わらない金利体系のことです。
返済額が変わらないので家計管理がしやすく、返済計画を立てやすいのが特徴です。
変動金利型
変動金利型とは、市中金利の変動を反映して、定期的に利率が見直される金利体系のことです。
利率は半年ごと、返済額は5年ごとに見直されるのが一般的です。
利率が急上昇して返済額が増加した場合でも、それまでの返済額の1.25倍が増額の上限となります。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型とは、返済開始当初の一定期間は固定金利が適用され、固定金利期間終了後は固定金利型か変動金利型かを選択できる金利体系のことです。
固定金利期間が長いほど、固定金利期間の利率は高くなります。
住宅ローンの返済方法
住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
元利均等返済
元利均等返済とは、元金返済額と利息の合計額が一定の返済方法のことです。
返済額が一定なので家計管理がしやすいのが特徴です。
返済開始当初は利息の返済割合が大きく、返済期間が経過するにつれて元金の返済割合が大きくなります。
元金均等返済
元金均等返済とは、毎回の返済額のうち元金返済額が一定となる返済方法のことです。
返済期間が経過するにつれて返済額が減っていくのが特徴です。

同じ額を借り入れた場合の総返済額は、
元利均等返済 > 元金均等返済
となります。
住宅ローンの種類
住宅ローンには、公的融資と民間融資の2種類があります。
公的融資
公的融資とは、政府系金融機関や地方自治体等が取り扱う融資のことです。
体表的な住宅ローンの公的融資には、財形住宅融資があります。
財形住宅融資は、勤務先で財形貯蓄を1年以上継続していて、財形貯蓄残高が50万円以上等の融資条件を満たす場合に利用できます。
ちなみに、財形貯蓄制度には、
- 一般財形貯蓄
- 財形年金貯蓄
- 財形住宅貯蓄
の3種類があります。
3種類の財形貯蓄制度の違いは、下表のとおりです。
一般財形貯蓄 |
財形年金貯蓄 |
財形住宅貯蓄 |
|
用途 |
自由 |
60歳以降に5年以上20年以内で受け取る年金 |
住宅取得やリフォームの資金 |
加入条件 |
勤労者 |
55歳未満の勤労者 |
|
積立期間 |
3年以上 |
5年以上 |
|
税金 |
優遇措置なし |
貯蓄型は元利合計550万円までの利息が非課税 |
貯蓄型・保険型ともに元利合計550万円までの利息が非課税 |
※財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄を併せて利用する場合には、元利合計550万円までの利息が非課税となります。
また、都道府県や市町村による自治体融資というものもありますが、各地方自治体がそれぞれの融資条件を設定しており、融資条件を満たす場合に利用できます。
ただし、すべての地方自治体に住宅ローン融資の制度があるわけではありません。
民間融資
民間融資とは、銀行や保険会社、ノンバンク等が取り扱う融資のことです。
民間融資の中には、不動産会社やハウスメーカーが金融機関と提携して提供する提携住宅ローンというものもあります。
フラット35
フラット35とは、民間金融機関が独立行政法人住宅金融支援機構と提携して扱う全期間固定金利型住宅ローンのことです。
フラット35の主な申込要件は、次のとおりです。
- 申込時の年齢が70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上でも可)であること
- 日本国籍の人、永久許可を受けている人または特別永住者
- すべての借入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、次の基準を満たすこと
- 年収400万円未満の場合、総返済負担率が30%以下
- 年収400万円以上の場合、総返済負担率が35%以下
- 資金使途が申込本人またはその親族が居住する新築住宅の建設・購入資金または中古住宅の購入資金であること
フラット35の対象となる主な住宅要件は、次のとおりです。
- 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅であること
- 住宅の床面積が、次の基準に適合する住宅であること
- 一戸建て、連続建ておよび重ね建ての場合、70㎡以上
- 共同建て(マンション等)の場合、30㎡以上
借入額
100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、建設費または購入価額(非住宅部分に係るものを除く)以内となります。
借入期間
15年(申込本人または連帯債務者が60歳以上の場合は10年)以上で、次の①または②のいずれか短い年数(1年単位)が上限となります。
①80歳 − 申込時の年齢(1年未満切上げ)
②35年
借入金利
全期間固定金利で、借入期間(20年以下、21年以上)、融資率(9割以下、9割超)、加入する団体信用生命保険の種類等に応じて、借入金利が異なります。
返済方法
元利均等毎月払いまたは元金均等毎月払いを選択することができます。
6か月ごとのボーナス払い(借入額の40%以内、1万円単位)も併用することができます。
担保
借入対象となる住宅およびその敷地に、住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定する必要があります。
保証人
必要ありません。
火災保険
返済終了までの間、借入対象となる住宅については、火災保険への加入が必要となります。
保証料
必要ありません。
繰上返済手数料
必要ありません。
一部繰上返済の場合、繰上返済日は毎月の返済日となります。
また、返済額はインターネットサービス利用の場合は10万円以上、取引金融機関の窓口利用の場合は100万円以上となります。
融資手数料
取引金融機関により異なります。
物件検査手数料
検査機関または適合証明技術者により異なります。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、住宅ローンを利用する際等に加入する生命保険のことです。
ローン債務者が返済期間中に死亡または所定の高度障害状態になった場合、保険会社がローン残高相当額の保険金を金融機関に支払い、ローン残高の返済に充当され、遺族等にローン返済の負担がかからないようにする制度です。
なお、住宅ローンにおける団体信用生命保険の保険料は金利の中に組み込まれていることが一般的で、この場合は毎月の返済の他に保険料の負担は発生しません。
住宅ローンの借換え
住宅ローンの借換えとは、現在返済中の住宅ローンよりも低金利の住宅ローンを新たに借りて、既存のローンを一括返済することです。
より低金利なローンに切り替えることにより、金利差を享受して、今後支払う総返済額を軽減させることが目的です。
ただし、住宅ローンの借換えは、金利差だけにとらわれてはいけません。
一般的に借換えの際には、事務手数料、保証料、印紙税、司法書士手数料、抵当権抹消登記費用、新規融資に対する抵当権設定登記費用等の諸経費が発生します。
さらに、団体信用生命保険は、借換え先の金融機関の団体信用生命保険へ加入し直すことが条件であることが一般的です。
これら諸経費を考慮した上で、お得かどうかを判断しなければなりません。
また、ローン残高と残年数も判断材料にするべきです。
一般的に借換えをしてお得といわれるのは、ローン残高が1,000万円以上で、残年数が10年以上の場合です。
そして、金利差の目安は、1%以上です。
1%未満の金利差では、諸経費を上回る利息軽減効果が期待できないこともあります。
住宅ローンの繰上げ返済
住宅ローンの繰上げ返済とは、手元資金で返済中の住宅ローンの元金の一部または全部を繰り上げて返済することです。
返済した元金部分の利息の支払いがなくなり、総返済額を減らすことができます。
金融機関により最低返済額や必要となる手数料が異なるので、事前に確認する必要があります。
繰上げ返済の方法には、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する返済期間短縮型と、返済期間は変えずに毎月の返済額を軽減する返済額軽減型の2種類があります。
どちらの方法も将来の支払い利息を減らすことはできますが、利息の軽減効果がより大きいのは、返済期間短縮型です。