中小企業退職金共済
最終更新日: 2025-07-12

中小企業退職金共済とは

 
中小企業退職金共済(中退共)とは、中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度のことです。独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。


中小企業退職金共済の加入要件

 
加入できる企業、加入させる従業員等、加入要件については、次のとおりです。
 

加入できる企業(共済契約者)

 
中小企業退職金共済制度に加入できる企業は、下表のとおりです。ただし、個人企業や公益法人等の場合は、常用従業員数によります。
 

業種

常用従業員数

 

資本金・出資金

一般業種(製造業、建設業等)

300人以下

又は

3億円以下

卸売業

100人以下

1億円以下

サービス業

100人以下

5千万円以下

小売業

50人以下

5千万円以下


 

加入させる従業員(被共済者)

 
従業員は、原則として全員加入させなければなりません。
ただし、次のような人は、加入させなくてもよいことになっています。
 

  • 期間を定めて雇用される従業員
  • 季節的業務の雇用される従業員
  • 試用期間中の従業員
  • 短時間労働者
  • 休職期間中の者およびこれに準ずる従業員
  • 定年等で相当の期間内に雇用関係の終了することが明らかな従業員

中小企業退職金共済の掛金

 
中小企業退職金共済の掛金は、事業主が全額負担し、掛金の一部でも従業員に負担させることはできません。
掛金月額の種類は、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円、22,000円、24,000円、26,000円、28,000円、30,000円の16種類で、事業主はこの中から従業員ごとに任意に選択できます。
短時間労働者(パートタイマー等)は、上記の掛金月額のほか特例として、2,000円、3,000円、4,000円の掛金月額でも加入できます。
 
掛金月額は、加入後、「月額変更申込書」を事前に提出することでいつでも増額変更することができます。18,000円以下の掛金月額を増額する事業主には、増額分の1/3(10円未満の端数は、切り捨て)を増額月から1年間、国が助成します。ただし、事業主と生計を一にする同居の親族のみを雇用する事業主は、助成の対象になりません。また、20,000円以上の掛金月額からの増額は、助成の対象になりません。
掛金月額の減額は次のいずれかの場合に限って行うことができます。
 

  • 掛金月額の減額をその従業員が同意した場合
  • 現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めた場合

中小企業退職金共済の退職金の支払方法

 
中小企業退職金共済の退職金の支払方法には、次の3つの方法があります。
 

  • 一時金払い
  • 分割払い
  • 一時金払いと分割払いの併用払い

 
全額分割払い又は併用払いを選択するには、次に掲げる要件を満たさなければなりません。
 

全額分割払いの要件

 

  • 退職した日において60歳以上であること
  • 退職金の額が5年間の分割払いの場合は、80万円以上であること
  • 退職金の額が10年間の分割払いの場合は、150万円以上であること

 

併用払いの要件

 

  • 退職した日において60歳以上であること
  • 5年間の分割払いの場合は、退職金の額が 100万円以上であり、かつ分割払い対象額が80万円以上、一時金払い対象額が20万円以上であること
  • 10年間の分割払いの場合は、退職金の額が170万円以上であり、かつ分割払い対象額が150万円以上、一時金払い対象額が20万円以上であること

中小企業退職金共済の税法上の取扱い

 
中小企業退職金共済の掛金、退職金、解約手当金の税法上の取扱いは次のとおりです。
 

掛金の税法上の取扱い

 
掛金は、法人企業の場合は損金個人事業主の場合は必要経費として全額が非課税扱いとなります。また、従業員の給与所得にもなりません。
 

退職金・解約手当金の税法上の取扱い

 
一時金として支払われる退職金は、退職所得となり、退職所得控除の対象となります。分割払いによる退職金は雑所得となり、国民年金、厚生年金等と同様に公的年金控除の対象となります。なお、被共済者である従業員が死亡した場合に遺族に支払われる退職金は、みなし相続財産として相続税の対象となります。また、解約の際に支払われる解約手当金は、一時所得となります。