最終更新日: 2025-10-04
確定給付企業年金とは
確定給付企業年金とは、企業が従業員に対して将来の年金給付内容をあらかじめ約束し、その約束に基づいて高齢期に年金が支給される制度です。企業が責任を持って給付額を保証する「確定給付型」の企業年金制度であり、従業員にとっては将来の収入が安定するメリットがあります。
確定給付企業年金の実施形態には、以下の2種類があります。
規約型確定給付企業年金
規約型は、企業と従業員の合意に基づいて作成された年金規約について、厚生労働大臣の承認を受けて実施される制度です。企業は信託会社や生命保険会社などと契約を結び、企業の外部で年金資金を管理・運用し、従業員への年金給付を行います。加入者数に関する制限はなく、比較的小規模な企業でも導入が可能です。
基金型確定給付企業年金
基金型は、企業と従業員の合意のもとで年金規約を作成し、厚生労働大臣の認可を受けて、母体企業とは別の法人格を持つ企業年金基金を設立して実施される制度です。この基金が年金資金の管理・運用を行い、従業員に年金を給付します。企業年金基金の設立には、原則として加入者数が300人以上であることが求められます。ただし、複数の厚生年金適用事業所が共同で設立する場合は、合算して300人以上であれば認可されます。
確定給付企業年金の掛金
確定給付企業年金の掛金は、原則として事業主が全額を負担します。ただし、年金規約に定め、かつ加入者本人の同意がある場合には、掛金の半額を超えない範囲で加入者が一部を負担することも可能です。
確定給付企業年金の受取方法
確定給付企業年金では、以下の給付が行われます。
- 老齢給付金
- 脱退一時金
- 障害給付金(規約に定めることで支給可能)
- 遺族給付金(規約に定めることで支給可能)
老齢給付金、障害給付金、遺族給付金は、規約の定めにより年金形式または一時金形式で支給されます。
確定給付企業年金の税法上の取扱い
掛金の取扱い
- 事業主が負担した掛金:損金算入が可能です。
- 加入者が負担した掛金:生命保険料控除の対象となります。
給付金の取扱い
- 老齢給付金(年金形式):雑所得として扱われ、公的年金等控除の対象となります。
- 老齢給付金(一時金形式):退職所得として扱われ、退職所得控除の対象となります。
- 脱退一時金:原則として一時所得に該当します。
- 障害給付金:給付形式にかかわらず、非課税です。
- 遺族給付金:給付形式にかかわらず、みなし相続財産として相続税の対象となります。