公的介護保険制度とは
公的介護保険制度とは、加齢に伴う病気等によって日常生活において介護が必要と認定された場合に、健康医療サービスや福祉サービスに係る給付がされる制度のことです。
公的介護保険制度の概要は、下表のとおりです。
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第1号被保険者 |
第2号被保険者 |
保険者 |
市町村および特別区(東京23区) |
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被保険者 |
65歳以上の人 |
40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者 |
受給要件 |
要介護(5段階)または要支援(2段階)状態区分のいずれかに該当 |
要介護(5段階)または要支援(2段階)状態が、老化に起因する疾病(特定疾病)による場合に限定 |
保険料 |
市町村及び特別区(東京23区)が所得に応じて決定 |
健康保険の場合、協会けんぽの介護保険料率は全国一律 |
自己負担 |
原則1割(支援限度額の超過分は全額自己負担) |
特定疾病
特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって、次のいずれかの要件を満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し、要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病のことです。
- 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの
- 3〜6か月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病
特定疾病として指定されている病気は、次の16種類です。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊髄管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護サービスの種類
要支援者に対しては予防給付が、要介護者に対しては介護給付が、要介護状態区分に応じて行われます。
第1号被保険者は、病気等の原因を問わず、介護・支援が必要と認められた場合にサービスを利用することができます。
第2号被保険者は、老化に起因する疾病(特定疾病)により介護・支援が必要になった場合にのみ、サービスを利用することができます。
公的介護保険で受けられるサービスには、在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスがあり、受けられる主な介護サービスの内容は下表のとおりです。
サービスの種類 |
内容 |
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在宅サービス |
訪問介護 |
ホームヘルパーが家庭を訪問し、排泄の介助等の身体介護や調理、洗濯、掃除等の生活援助をしてくれる |
訪問入浴介護 |
浴槽を積んだ巡回車等が家庭を訪問し、家庭で入浴の介助をしてくれる |
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訪問看護 |
症状が安定した後、医師の指示の下、看護師や保健師が家庭を訪問し、療養上の世話や診療の補助等をしてくれる |
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通所介護(デイサービス) |
デイサービスセンター等に通い、生活指導、日常生活訓練健康チェックや入浴、機能訓練等を受けられる |
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通所リハビリテーション(デイケア) |
老人保健施設や病院・診療所等に通って、理学療法士や作業療法士等から入浴、機能訓練等を受けられる |
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福祉用具貸与 |
車いすや特殊寝台、移動用リフト、歩行支援具等、自立を支援するための用具を支給限度額の範囲内でレンタルできる |
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特定福祉用具購入費・住宅改修費の支給 |
レンタルになじまない福祉用具の購入費や段差解消等の住宅改修費が支給される |
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施設サービス | 介護老人福祉施設への入所(特別養護老人ホーム) | 常に介護が必要で、在宅では介護が困難な人を対象とし、日常生活上の世話、機能訓練を行う施設 |
介護老人保健施設への入所 | 病状が安定した人が、看護や医学的管理の下で介護・機能訓練等を受け、在宅復帰を目指す施設 | |
介護療養型医療施設への入所 | 急性期の治療を終え、慢性疾患等により長期療養を必要とする人が、医療や介護、日常生活上の世話を受ける病院(2024年3月末に廃止) | |
介護医療院への入所 | 慢性疾患等により長期療養を必要とする人が、医療や介護、日常生活上の世話を受ける施設 | |
地域密着型サービス | 夜間対応型訪問介護 | 夜間の定期的な巡回訪問、夜間の通報による随時の訪問があり、排泄、食事の介護、その他の日常生活上の世話をしてくれる(要支援1・2は利用不可) |
認知症対応型通所介護 | デイサービスセンター等で認知症に配慮した介護や機能訓練が受けられる | |
小規模多機能型居宅介護 | 地域の小規模施設で、通所サービスを中心に事業所での宿泊や自宅への随時の訪問サービスを組み合わせて受けられる |
※要支援1・2と認定された場合、施設サービスや一部の地域密着型サービスは利用できません。
※介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への入所については、原則として要介護3以上の人に限られます。
これらのサービスの中から利用するものを選択・決定することをサービス計画(ケアプラン)といい、介護支援専門員に作成を依頼することもできます。
在宅サービスについては、支給限度額が定められており、支給限度額を超えるサービスを受けた場合、超えた額は全額利用者負担となります。
施設サービスを受けた場合の食費や居住費等は、原則として利用者負担となります。
要介護認定を受けた被保険者が、在宅で生活するために住宅を改修(手すりの取付け、スロープの設置等)した場合、いったん利用者が全額を負担し、その後市町村に申請すれば、20万円を上限に9割(所得に応じて8割または7割)が居宅介護住宅改修費(介護予防住宅改修費)として支給されます。
特定福祉用具を購入した場合、いったん利用者が全額を負担し、その後市町村に申請すれば、10万円を上限に9割(所得に応じて8割または7割)が居宅介護福祉用具購入費(介護予防福祉用具購入費)として支給されます。