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公的介護保険とは?FPがわかりやすく解説

最終更新日: 2026-08-29

公的介護保険制度の概要

 
公的介護保険制度とは、加齢に伴う病気などにより、日常生活において介護が必要であると認定された人に対して、介護サービスや福祉サービスを提供する制度です。
本制度の概要は、次のとおりです。
 

項目

第1号被保険者

第2号被保険者

保険者

市町村および特別区(東京23区)

被保険者

65歳以上の人

40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者

受給要件

要介護(5段階)または要支援(2段階)に認定されること

要介護・要支援状態の原因が、老化に起因する特定疾病であること

保険料

所得等に応じて市町村および特別区が決定します。年額18万円以上の年金を受給している人は年金から天引きされる「特別徴収」、それ以外の人は口座振替または納付通知書で納付する「普通徴収」となります。

公的医療保険の保険料とあわせて徴収されます。協会けんぽの介護保険料率は全国一律です。国民健康保険加入者は、所得等に応じて介護保険料が決定され、医療保険料とあわせて納付します。

自己負担割合

介護サービス利用時の自己負担割合は原則1割ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。

65歳以上(単身)
・「年金収入 + その他の合計所得金額」が340万円以上:3割

・「年金収入 + その他の合計所得金額」が280万円以上340万円未満:2割

65歳以上(2人以上の世帯)
・「年金収入 + その他の合計所得金額」が463万円以上:3割

・「年金収入 + その他の合計所得金額」が346万円以上463万円未満:2割

また、施設サービスを利用する場合の食費および居住費は、原則として全額自己負担


特定疾病とは

 
特定疾病とは、加齢に伴う心身の変化と医学的な関連があると考えられる疾病のうち、要介護または要支援状態の原因となる心身の障害を引き起こすと認められるものを指します。
次のいずれかの要件を満たす疾病が、総合的な観点から特定疾病として指定されています。

  • 加齢との関連性が認められる疾病
    65歳以上の高齢者に多くみられる一方で、40歳以上65歳未満でも発症が確認されており、罹患率や有病率などの指標から加齢との関連性が認められ、医学的に明確な定義が可能な疾病
  • 要介護・要支援状態が長期にわたり継続する疾病
    要介護または要支援状態が3〜6か月以上継続する割合が高いと考えられる疾病

 
介護保険法では、特定疾病として次の16疾病が指定されています。
なお、制度改正により対象疾病が変更される可能性があるため、最新の情報を確認することが大切です。

  1. がん(末期)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護サービスを利用するまでの流れ

 
介護保険制度では、要支援者には介護予防給付、要介護者には介護給付が、それぞれの要介護度に応じて提供されます。
要支援とは、日常生活の一部に支援が必要な状態をいい、要介護とは、日常生活全般に介護が必要な状態をいいます。
 
介護保険サービスを利用するには、まず市区町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。認定結果に応じて要支援1・2、または要介護1~5の区分が決定され、その区分に応じたサービスを利用できます。
要介護認定を受けた後は、ケアプラン(介護サービス利用計画)を作成します。ケアプランは、介護の専門家である介護支援専門員(ケアマネジャー)が、本人や家族の希望、心身の状態などを考慮して作成します。
 
第1号被保険者(65歳以上)は、介護が必要となった原因を問わず、要介護または要支援の認定を受ければ介護保険サービスを利用できます。
一方、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)は、老化に起因する特定疾病によって要介護または要支援状態になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます。


介護保険で利用できるサービス

 
介護保険で利用できるサービスは、大きく「在宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類に分類されます。
 

サービスの種類

内容

在宅サービス(※1)

訪問介護

ホームヘルパーが自宅を訪問し、排泄や食事などの身体介護、調理や掃除などの生活援助を行う

訪問入浴介護

入浴設備を備えた車両などで自宅を訪問し、入浴介助を行う

訪問看護

医師の指示のもと、看護師などが訪問し、療養上の世話や診療の補助を行う

通所介護(デイサービス)

施設に通い、健康チェックや入浴、機能訓練などのサービスを受ける

通所リハビリテーション(デイケア)

医療機関や介護老人保健施設などに通い、理学療法士などによる機能訓練を受ける

福祉用具貸与

車いすや特殊寝台などの福祉用具をレンタルできる

特定福祉用具購入費・住宅改修費の支給(※3・※4)

特定福祉用具の購入費や、手すり設置、段差の解消などの住宅改修費について給付を受けられる

 施設サービス(※2)  介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 常時介護が必要で在宅生活が困難な人が入所し、生活支援や機能訓練などを受ける(原則要介護3以上) 
介護老人保健施設 病状が安定した人が、医療管理のもとで介護や機能訓練などを受け、在宅復帰を目指す
介護医療院 慢性疾患などにより長期療養が必要な人が、医療・介護・生活支援を一体的に受けられる
地域密着型サービス 夜間対応型訪問介護 夜間の定期巡回や緊急訪問により、排泄や食事などの介護を提供する(要支援者は利用不可)
認知症対応型通所介護 認知症の人を対象としたデイサービスで、介護や機能訓練などを受ける
小規模多機能型居宅介護 「通い」を中心として、訪問や宿泊を組み合わせたサービスを提供する

※1:在宅サービスには支給限度額があり、限度額を超えて利用した分は全額自己負担となります。
※2:施設サービスを利用する場合の食費および居住費は、原則として自己負担となります。
※3:特定福祉用具購入費は、購入後に申請することで年間10万円までが支給対象となります。利用者の自己負担割合は所得に応じて1~3割です。
※4:住宅改修費は、改修後に市区町村へ申請することで20万円までが支給対象となります。利用者の自己負担割合は所得に応じて1~3割です。


FP試験での出題ポイント

 
FP試験では、特に次のポイントはよく問われるため、しっかり押さえておきましょう。

  • 第1号被保険者は「65歳以上」、第2号被保険者は「40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者」
  • 保険者は「市町村および特別区(東京23区)」
  • 第1号被保険者は、介護が必要となった原因を問わず、要介護・要支援認定を受ければサービスを利用できる
  • 第2号被保険者は、老化に起因する特定疾病が原因の場合のみサービスを利用できる
  • 要介護認定は「要支援1・2」と「要介護1~5」の7区分
  • 要支援者には「介護予防給付」、要介護者には「介護給付」が行われる
  • 第1号被保険者の保険料は市町村ごとに定められる
  • 年額18万円以上の老齢・退職年金等を受給している人は原則として特別徴収(年金天引き)
  • 介護サービス利用時の自己負担割合は原則1割(一定以上所得者は2割または3割)
  • 在宅サービスには支給限度額があり、超過分は全額自己負担
  • 施設サービスの食費・居住費は原則自己負担
  • 特定福祉用具購入費の支給限度額は年間10万円
  • 住宅改修費の支給限度額は20万円
  • ケアプランは介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する
  • 特定疾病は16疾病
  • 「末期がん」「関節リウマチ」「脳血管疾患」「パーキンソン病関連疾患」「糖尿病性神経障害・腎症・網膜症」などの疾病名が出題されることがある
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は原則要介護3以上が入所対象
  • 介護老人保健施設は在宅復帰を目的とした施設
  • 介護医療院は長期療養と介護を一体的に提供する施設