都市計画法
最終更新日: 2024-03-31

都市計画法とは

 
都市計画法とは、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする法律です。
 
都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めています。
 
次に掲げる都市計画は都道府県が、その他の都市計画は市町村が定めます。
 

  • 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に関する都市計画
  • 区域区分に関する都市計画
  • 都市再開発方針等に関する都市計画
  • 都市計画法の規定により定める一部の地域地区に関する都市計画
  • 1つの市町村の区域を超える広域の見地から決定すべき地域地区等に関する都市計画
  • 市街地開発事業に関する都市計画
  • 市街地開発事業等予定区域に関する都市計画

 
なお、市町村が都市計画を決定するには、市町村都市計画審議会の議を経る必要があります。
 
都道府県又は市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示しなければなりません。そして、告示のあった日から、その効力を生じます。
 
また、複数の都府県にわたる都市計画区域に係る都市計画は、国土交通大臣及び市町村が定めます。


都市計画区域と準都市計画区域

 
都市計画区域とは、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域で、都道府県が指定したもののことです。
 
都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に市街化区域市街化調整区域との区分を定めることができます。
 
市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことです。
 
市街化調整区域とは、市街化を抑制すべき区域のことです。
 
準都市計画区域とは、都市計画区域外の区域のうち、そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域で、都道府県が指定したもののことです。


用途地域

 
用途地域とは、どのような目的のために使用するかについて定められた地域地区のことです。
 
市街化区域は、市街化を図るべき地域であるため、用途地域を定めるものとされています。ただし、市街化調整区域については、市街化を抑制すべき地域であるため、原則として用途地域を定めないものとされています。
 
用途地域の分類は、下表のとおりです。
 

区分

用途地域

定義

住居系

第一種低層住居専用地域 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第二種低層住居専用地域

主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第二種中高層住居専用地域

主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域

第一種住居地域

住居の環境を保護するため定める地域

第二種住居地域

主として住居の環境を保護するため定める地域

準住居地域

道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域

田園住居地域 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
商業系 近隣商業地域 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
商業地域 主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
工業系 準工業地域 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域
工業地域 主として工業の利便を増進するため定める地域

工業専用地域

工業の利便を増進するため定める地域


その他の地域地区

 
都市計画区域については、都市計画に、用途地域の他、下表に掲げる地域、地区又は街区を定めることができます。
 

区分

定義

特別用途地区

用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区

特別用途制限地域

用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域

特例容積率適用地区

第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内の適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、建築基準法の規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るため定める地区

高層住居誘導地区

住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法に規定する建築物の容積率が40/10又は50/10と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区

高度地区

用途地域内において、市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区

高度利用地区

用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区

特定街区

市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区

都市再生特別地区 都市再生特別措置法の規定により定める地区
居住調整地域
居住環境向上用途誘導地区
特別用途誘導地区
防火地域 市街地における火災の危険を防除するため定める地域
準防火地域
特定防災街区整備地区 密集市街地整備法の規定により定める地区
景観地区 景観法の規定により定める地区
風致地区 都市の風致を維持するため定める地区
駐車場整備地区 駐車場法の規定により定める地区
臨港地区 港湾を管理運営するため定める地区
歴史的風土特別保存地区 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の規定により定める地区
第一種歴史的風土保存地区 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法の規定により定める地区
第二種歴史的風土保存地区
緑地保全地域 都市緑地法の規定により定める地域地区
特別緑地保全地区
緑化地域
流通業務地区 流通業務市街地の整備に関する法律の規定により定める地区
生産緑地地区 生産緑地法の規定により定める地区
伝統的建造物群保存地区 文化財保護法の規定により定める地区
航空機騒音障害防止地区 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の規定により定める地区
航空機騒音障害防止特別地区

開発行為等の規制

 
都市計画法における開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設を目的として行う土地の区画形質の変更のことです。
 
都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければなりません。
 
開発許可が必要な開発行為は、下表のとおりです。
 

市街化区域

1,000㎡以上の開発行為

市街化調整区域

規模にかかわらず許可が必要
ただし、農林漁業用の一定の建築物またはこれらの業務を営む者の居住用建築物や鉄道施設等の公益上必要な建築物の建築を目的とする開発行為は、許可が不要

非線引区域

3,000㎡以上の開発行為

準都市計画区域

上記以外の区域 10,000㎡(1ha)以上の開発行為

 
ただし、次に掲げる開発行為については、都道府県知事の許可は必要ありません。
 

  • 市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの
  • 市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業もしくは漁業のための建築物又はこれらの業務を営む者の居住のための建築物の建築の目的として行うもの
  • 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がない建築物の建築の目的として行う開発行為
  • 都市計画事業の施行として行う開発行為
  • 土地区画整理事業の施行として行う開発行為
  • 市街地再開発事業の施行として行う開発行為
  • 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為
  • 防災街区整備事業の施行として行う開発行為
  • 公有水面埋立法の免許の受けた埋立地であって、告示のないものにおいて行う開発行為
  • 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為
  • 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令の定めるもの

 
開発行為を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければなりません。
 
開発許可を受けた者は、開発行為に関する内容を変更しようとする場合においては、都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、軽微な変更をしようとするときは、都道府県知事の許可は必要ありません。
 
開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を完了したときは、都道府県知事届出をしなければなりません。
都道府県知事は、届出があったときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければなりません。
また、都道府県知事は、検査済証を交付したときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければなりません。
開発許可を受けた開発区域内の土地においては、上述の公告があるまでの間は、建築物を建築し、又は特定工作物を建設してはいけません。ただし、都道府県知事が支障がないと認めたときや、開発行為の施行又は開発行為に関する工事の実施に同意をしていない者は、建築や建設をすることができます。
 
開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、都道府県知事届出をしなければなりません。


都市計画事業

 
都市計画事業とは、都市計画法で定める規定による認可又は承認を受けて行われる都市計画施設の整備に関する事業及び市街地開発事業のことです。
 
都市計画事業は、市町村が、都道府県知事認可を受けて施行します。
ただし、都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣認可を受けて、都市計画事業を施行することができます。