最終更新日: 2024-03-13

不動産取引

 
不動産取引のイメージ

宅地建物取引業法

宅地建物取引業

 
宅地建物取引業とは、次のような宅地建物の取引を業として行うことです。
 

  • 宅地建物の売買、交換
  • 宅地建物の売買、交換、賃借の媒介
  • 宅地建物の売買、交換、賃借の代理

宅地建物取引業者

 
宅地建物取引業者とは、都道府県知事(1つの都道府県のみに事務所を設置する場合)または国土交通大臣(複数の都道府県に事務所を設置する場合)から宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことです。 

宅地建物取引士

 
宅地建物取引士とは、宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた人のことです。
宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。
 
宅地建物取引において、次の3つの重要な業務は、宅地建物取引士だけが行うことができる独占業務です。
 

  • 重要事項説明
  • 重要事項説明書への記名、押印
  • 契約書(37条書面)への記名、押印

重要事項説明書

 
宅地建物取引業法では、不動産取引の契約成立前に、取引の相手方等に対して、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示したうえで、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付するとともに、その説明をすることを義務付けています。
なお、取引の相手方等が宅地建物取引業者である場合には、重要事項説明書の交付のみで重要事項の説明の必要はありません。
また、重要事項説明書には、宅地建物取引士の記名、押印が必要です。

37条書面

 
宅地建物取引の契約においては、契約内容や権利関係が非常に複雑なため、当事者間において、契約内容等が不完全、不明瞭のままで契約を締結してしまうと、締結後に認識の相違が生じ、紛争の原因となってしまいます。
そのような事態を防ぐために、宅地建物取引業法第37条では、宅地建物取引業者が、
 

  • 当事者等として売買契約を締結したときは、契約の相手方に、
  • 当事者を代理して売買契約を締結したときは、契約の相手方および代理を依頼した人に、
  • 媒介により売買契約が成立したときは、その契約の各当事者に、

 
次のような契約内容の重要部分を記載した書面(37条書面)を遅滞なく交付しなければならないことを規定しています。
 
37条書面に記載しなければならない事項
 

  • 当事者の氏名(法人にあたっては、その名称)および住所
  • 当該宅地、建物の所在、地番その他当該宅地、建物を特定するために必要な表示
  • 当該建物が既存の建物の場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況についての当事者双方の確認事項
  • 代金または交換差金の額ならびにその支払いの時期および方法
  • 宅地または建物の引渡しの時期
  • 移転登記申請の時期

 
特約がある場合に記載しなければならない事項
 

  • 代金および交換差金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額ならびに当該金銭の授受の時期および目的
  • 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
  • 損害賠償額の予定または違約金に関する定めがあるときは、その内容
  • 代金または交換差金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがあるときは、当該あっせんが成立しないときの措置
  • 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容
  • 当該宅地、建物の契約不適合責任または当該責任の履行に関して講ずべき措置についての定めがあるときは、その内容
  • 当該宅地または建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容

クーリング・オフ

 
クーリング・オフとは、一定期間、無条件で契約の申込みの撤回または解除ができる制度のことです。
宅地建物取引業者が自ら売主となる不動産の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所等以外の場所において、買受けの申込みをした人または売買契約を締結した買主(申込者等)は、原則として書面により、クーリング・オフができます。
この場合、宅地建物取引業者は、仮に契約の解除に伴う損害賠償額または違約金を定めている場合であっても、損害賠償や違約金の支払いを請求することはできません。
 
ただし、次の場合には、クーリング・オフはできません。
 

  • 申込者等が、クーリング・オフができる旨およびクーリング・オフの方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して8日を経過したとき
  • 申込者等が、宅地または建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全額を支払ったとき
  • 売主である宅地建物取引業者の事務所等において買受けの申込みをした場合(契約を締結した場所でない点に注意
  • 宅地建物取引業者相互間の取引の場合

媒介契約

 
媒介契約とは、不動産の売買、交換、賃貸借の取引に関して、宅地建物取引業者が売主と買主(賃貸借取引の場合には、賃貸人と賃借人)の間に立って取引成立に向けて活動する契約のことで、売主または買主(賃貸借取引の場合には、賃貸人または賃借人)と宅地建物取引業者との間で媒介契約を締結します。
 
媒介契約には、一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約の3種類があり、契約内容の主な違いは、下表のとおりです。
 

 

一般媒介契約

専任媒介契約

専属専任媒介契約

依頼主側

複数業者への依頼

自分で取引相手を探す

業者側

依頼主への報告義務

なし

2週間に1回以上

1週間に1回以上

指定流通機構への物件登録義務

なし

休業日を除く7日以内

休業日を除く5日以内

契約の有効期間

なし

3か月以内

3か月以内

 
なお、宅地建物取引業者の媒介により、売買、交換が成立した場合、宅地建物取引業者は売買契約に基づき、依頼者から報酬を受け取ることができます。
 
ただし、宅地建物取引業法により報酬額の上限が定められおり、下表のとおりとなっています。
 

取引金額

報酬限度額(消費税別)

200万円以下

取引金額 × 5%

200万円超 400万円以下

取引金額 × 4% + 2万円

400万円超

取引金額 × 3% + 6万円

 
また、賃借の媒介、代理の場合、賃貸人と賃借人の双方から宅地建物取引業者が受け取ることができる報酬の合計限度額は、賃料の1か月分(消費税別)となります。


不動産の売買契約上の留意点

契約の当事者

 
不動産売買の当事者については、次のような点を確認する必要があります。
 

  • 売主が所有者であること(登記事項証明書等で確認)
  • 未成年者(既婚者を除く)との売買においては、法定代理人の同意があること、または法定代理人が売買を代理していること
  • 共有の不動産については、共有者全員と売買契約を結ぶこと

 
なお、未成年者(既婚者を除く)が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができます。

手付金

 
手付金とは、不動産の売買契約の際に買主が売主に支払うお金のことです。
手付金の種類には、次の3種類があります。
 
解約手付
解約手付とは、手付金の授受により、売主と買主に解約権を留保させるものです。
解約手付として手付金の授受が行われた場合には、契約成立後であっても相手方が契約の履行に着手する前であれば、売主または買主の意思で契約解除をすることができます。
売主側から解除したい場合には、売主は買主に手付金の2倍の金額を返還し、買主側から解除したい場合には、手付金を放棄することにより、損害賠償を負うことなく契約を解除することができます。
 
違約手付
違約手付とは、債務不履行があった場合、買主違約のときには手付金が違約金として没収され、売主違約のときには手付金を返還しなければらないとともに、手付金と同額を違約金として支払わなければならないというものです。
 
証約手付
証約手付とは、不動産売買契約が成立した証として、買主から売主に対して交付される手付金のことです。
契約の成立を明確にするために支払いが行われます。
 
なお、宅地建物取引業者が自ら売主となる場合には、宅地建物取引業者は、売買代金の2割を超える額の手付金を受領することはできません。
ただし、宅地建物取引業者相互間の取引には適用されません。

危険負担 

 
改正民法上では、不動産の売買契約が成立してから引越しまでの間に、当該物件が売主および買主の責任でない事由(自然災害等)で滅失した場合、買主は、売買代金の支払いの履行を拒むことができます。
なお、買主の責任である事由によって滅失した場合には、買主は売買代金の支払いの履行を拒むことはできません。

契約不適合責任

 
契約不適合責任とは、売買契約等に基づいて、売主が引き渡した目的物の種類・品質・数量に関して契約内容に適合していなかった場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
 
買主は売主に対して、次の4つの権利を請求することができます。
 

  • 履行の追完請求(目的物の補修、代替物の引渡し、不足分の引渡し)
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求(売主に帰責事由がある場合に限る)
  • 契約解除

 
なお、買主が売主へ目的物の種類品質に関して契約不適合責任を請求するためには、原則として契約不適合の事実を知ったときから1年以内に売主に通知しなければなりません。
ただし、売主が引渡し時にその不適合を知っていたとき、または重大な過失によって知らなかったときは、1年以内の通知は必要ありません。
通知後でも、権利を行使することができることを知ったときから5年、または権利を行使することができるときから10年を経過すると、消滅時効により請求権は消滅します。
また、目的物の数量権利に関して契約不適合責任を請求するためには、1年以内の通知は必要ありません。
 
契約不適合責任の規定は任意規定となっており、売主および買主がともに宅建業者でない場合等は、特約により排除、変更が可能です。

住宅の品質確保の促進等に関する法律 

 
住宅の品質確保の促進等に関する法律とは、住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人および新築住宅の売主に対して、住宅の一定部位について10年間の契約不適合責任を義務付けることにより、住宅の品質確保を目指す法律のことです。
 
この法律の主な内容は、次のとおりです。
 
10年間の契約不適合責任の義務付け等
新築住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分の契約不適合(瑕疵)について、売主・工事請負人は、買主に引き渡した時点から10年間、契約不適合責任を負うことを義務付けられ、特約により20年以内に延長することができます。
 
住宅性能評価書
国土交通大臣により登録を受けた評価専門会社等(登録住宅性能評価機関)に依頼することにより、住宅性能評価書を作成することができます。
住宅性能評価書には、設計図等をもとに作成される設計住宅性能評価書と、実際に住宅を検査することにより作成される建設住宅性能評価書があります。
新築住宅の建設工事完了後に、当該新築住宅の売買契約を締結した売主は、建設住宅性能評価書もしくはその写しを売買契約書に添付し、または買主に対し建設住宅性能評価書もしくはその写しを交付した場合においては、当該建設住宅性能評価書またはその写しに表示された性能を有する新築住宅を引き渡すことを契約したものとみなすとされています。
 
指定住宅紛争処理機関・住宅紛争処理支援センター
建設住宅性能評価書が交付された住宅について、請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合には、紛争の当事者は弁護士会内部に設置されている指定住宅紛争処理機関に対して、紛争の処理を申請することができます。
また、弁護士会による紛争処理を支援する等の目的で、住宅紛争処理支援センターを設置することとされ、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが国土交通大臣により指定されています。
住宅紛争処理支援センターは、弁護士会に対して紛争処理の業務に要する費用を助成するほか、登録住宅性能評価機関から負担金を徴収する等の事務を行っています。

債務不履行

 
債務とは、不動産の売買契約において
 

  • 買主の代金を支払う債務(代金支払債務)
  • 売主の不動産を引渡す債務(不動産引渡債務)
  • 権利の移転についての対抗要件(登記等)

 
を備えさせる義務のことです。
 
債務不履行とは、債権者が債務の履行をしないことです。
債務不履行には、次の3つの形態があります。
 
履行不能
履行不能とは、債権の成立後、債務者の故意または過失により、債務の履行が不可能となることです。
 
履行遅滞
履行遅滞とは、債権を履行することが可能であるにもかかわらず、債務を履行すべき時期を過ぎても、債権者の故意または過失により、債務を履行しないことです。
 
不完全履行
不完全履行とは、債務の履行がなされたが、債権者の故意または過失により、その履行が完全なものでないことです。
 
債務不履行が生じた場合には、債権者は債務者に対して損害賠償請求をすることができます。
また、原則として相当の期間を定めて履行の催告をし、期間内に履行されなければ、契約解除をすることができます。
なお、履行不能の場合には、催告なく直ちに契約解除をすることができます。

壁芯面積と内法面積

 
壁芯面積とは、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線に囲まれた面積のことです。
壁芯面積の場合、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分よりも床面積が大きくなります。
マンションのパンプレット等は、壁芯面積で表示されています。
 
内法面積とは、壁の厚みを考慮せず、壁の内側部分の面積のことです。
不動産登記法では、一戸建て等は壁芯面積で、分譲マンション等の区分所有建物は内法面積で登記することとされています。

公簿売買と実測売買

 
土地の売買価格の決定方法には、公簿売買と実測売買があります。
 
公簿売買とは、登記簿等に記載されている土地の面積である公簿面積を基準として売買価格を決める方式のことです。
後日、調査等によって土地面積に増減があったとしても、売買価格の精算は行いません。
 
実測売買とは、実際に測量した面積を基準として売買価格を決める方式のことです。
契約時において実測面積が判明している場合には精算の必要はありませんが、判明していない場合は公簿面積で売買価格を決定して契約し、後日、公簿面積と実測面積に差異が生じた場合は、引渡し時に精算を行います。