最終更新日: 2023-02-09
生命保険契約

告知義務と告知義務違反
生命保険を申し込む場合には、被保険者の健康状態や過去の病歴、身体の障害、就いている職業等を保険会社に告知しなければならない告知義務があります。
告知義務は保険法で定められており、告知をしなかったり、虚偽の告知をした場合には、告知義務違反となります。
告知義務違反があった場合、保険会社は保険契約を解除することができます。
ただし、生命保険会社が、告知義務違反を知った日の翌日からその日を含めて1か月を経過した場合、もしくは責任開始日からその日を含めて5年(約款上2年としている保険会社が多い)を経過した場合は、保険契約を解除することができません。
ちなみに、違反の内容が特に重大な場合、所定の期間経過後であっても、保険金・給付金が支払われないことがあります。
なお、保険会社が告知義務違反があることを知った場合でも、次の場合には、保険会社側の責任として保険契約を解除することはできません。
- 契約締結時に、保険会社が告知義務違反を知っていた場合、または過失により知らなかった場合
- 保険募集人が、事実の告知をしないことや不実の告知を勧めた場合
- 保険募集人が、事実の告知を妨げた場合
また、告知義務違反により保険契約を解除された場合、既に払い込んだ保険料は戻りませんが、解約返戻金がある場合には、解約返戻金と同額の返還金は支払われます。
契約の責任開始日
保険契約において、契約したその日から保障が開始されるわけではありません。
保障が開始されるのは、契約日とは別に設定された責任開始日からとなります。
次の3つすべてが完了した日が、責任開始日となります。
- 保険契約の申込み
- 告知または診査
- 第1回保険料の払込み
保険契約の申込み後、保険会社の審査の結果、契約の承諾をすると告知または診査もしくは第1回保険料の払込みのどちらか遅い日が責任開始日となります。
保険料の払込み
保険料の払込み方法には、一括払い・前納・一時払い・年払い・半年払い・月払い等があります。
一括払いとは、月払いの保険料の数回分を払い込む方法のことで、前納とは、半年払いや年払いの保険料の数回分を払い込む方法のことです。
保険料は、払込方法に応じて迎える契約応当日の属する月の月初から末日までの期間に払い込まなければなりません。
この保険料を払い込まなければならない月のことを、払込期月といいます。
払込猶予期間
何らかの理由で、払込期月に保険料の払込みがされなかった場合、すぐに契約が失効するわけではなく、一定の猶予期間が設けられています。
月払いの場合には、払込期月の翌月1日から末日までが払込猶予期間となります。
半年払いや年払いの場合には、払込期月の翌月1日から翌々月の契約応当日までが払込猶予期間となります。
契約の失効
払込猶予期間を過ぎても保険料を支払わなかった場合、保険契約は失効し、契約の効力を失います。
契約の復活
いったん失効した契約でも、一定期間内に所定の手続きを行うことにより、契約を元に戻して復活させることができます。
契約を復活させる場合、未払いの保険料と利息を支払わなければなりません。
また、再度告知または医師の診査があるので、健康状態によっては復活できない場合もあります。
なお、復活させた場合、契約内容や保険料率に変更はありません。
保険金額の増額・減額
契約中の保険に特約を付加したり解約したりすることで、保険金額を増額したり減額したりすることができます。
死亡保障の保険であれば、子どもの独立後は大きな保障は不要になりますので、保障額を下げることで保険料を減らすこともできます。
払済保険・延長保険
契約中の保険料の払込みを中止して、その時点の解約返戻金を一時払い保険料に充てて契約の内容を変更する方法として、払済保険と延長保険というものがあります。
払済保険と延長保険の違いは、下表のとおりです。
|
払済保険 |
延長保険 |
変更する保険の種類 |
元の契約と同じ種類の保険 |
元の契約の保険金額と同額の一時払定期保険 |
保険期間 |
変更なし |
短くなる |
保険金額 |
減額される |
変更なし |
特約 |
消滅する |
契約転換制度
契約転換制度とは、契約中の保険の積立部分や積立配当金を保険料の一部に充てて、新しい保険に加入することです。
つまり、保険の下取りのようなものです。
新しく加入する保険の保険料は、転換時の年齢や保険料率によって計算されます。
また、告知や医師による診査が必要となります。
契約者貸付制度
契約者貸付制度とは、解約返戻金を担保にして、保険会社からお金の貸付けをしてもらえる制度のことです。
借りられるお金の上限は、一般的に7〜8割といわれていますが、解約返戻金の額が高くなる保険商品やプランを組んでいるほど、多くのお金を借りられることになります。
当然のことですが、お金を借りるので所定の利子が発生します。
なお、一般的な定期保険のように掛け捨てタイプの生命保険の場合には、この制度を利用することはできません。