損害保険契約の成立
損害保険契約の目的
損害保険契約は、金額に見積もることができる利益に限って、その対象(目的)とすることができます。つまり、損害保険は、事故などによって金銭的損失が発生する可能性があるものに対してのみ契約が成立します。
告知義務
損害保険契約を締結する際、保険契約者または被保険者となる者には、保険会社が告知を求めた事項のうち、損害の発生可能性に関する重要な事実について、正確に告知する義務があります。この告知義務は、保険契約の公平性と適正なリスク評価のために重要です。ただし、保険契約者や被保険者に不利となるような特約が告知義務に関して定められていた場合、それは無効とされます(保険法の規定による)。
損害保険契約の保険給付
損害額の算定方法
損害保険契約に基づいて補償される損害額は、損害が発生した場所と時点における価額を基準として算定されます。ただし、契約時に約定保険価額(あらかじめ定めた保険価額)がある場合は、その金額を基準に損害額を算定します。なお、約定保険価額が実際の保険価額を著しく超えている場合は、補償額は実際の保険価額に基づいて算定されます。
重複保険
同一の損害について、複数の損害保険契約が存在する(重複保険)場合でも、保険会社は、契約に基づく損害額の全額について保険金を支払う義務を負います。ただし、複数の保険契約がある場合は、保険者間で負担割合を調整することがありますが、被保険者に対しては、損害額全額が補償されます。
損害保険契約の終了
保険契約者は、いつでも損害保険契約を解除することができます。
保険会社は、保険契約者または被保険者が、告知義務に違反し、故意または重大な過失により事実を告げなかった場合、あるいは虚偽の告知を行った場合には、損害保険契約を解除することができます。この場合、保険会社は、契約解除が行われた時点までに発生した保険事故に対しても、補償責任を負いません。
ただし、以下のいずれかに該当する場合には、保険会社は契約を解除することはできません。
- 契約締結時に、保険会社が告知事項の事実を知っていた場合、または過失により知らなかった場合
- 保険会社の代理人(保険媒介者)が、保険契約者または被保険者による告知を妨げた場合
- 保険媒介者が、保険契約者または被保険者に対して、告知をしないよう、または虚偽の告知をするよう勧めた場合
保険会社による解除権は、解除の原因を知った日から1か月以内に行使されなければなりません。また、契約締結から5年を経過した場合には、解除権は消滅します。