最終更新日: 2024-03-13

ポートフォリオ理論

 
ポートフォリオのイメージ
 

ポートフォリオ理論とは

 
ポートフォリオとは、株式、債券、不動産、商品、預金、現金といった複数の資産の組み合わせのことです。
ポートフォリオを組むということは、複数の銘柄、複数の資産、あるいは地域、時間等を分けて投資する分散投資をするということになります。
そして、リターンリスクに基づいて資産の組み合わせ方について学術的に研究した金融理論をポートフォリオ理論といいます。
ポートフォリオ理論で用いられるリターンとは、確率的にどのくらいの収益を得ることができるかという期待収益率のことです。
また、リスクとは、価格変動の可能性のことで、分散および標準偏差で表します。
分散や標準偏差は、期待収益率からの広がりの度合い(バラつき)を数値化したものなので、分散や標準偏差の値が大きいほど、リスクが大きいということになります。


相関係数

 
リスクをできるだけ小さくするには、異なる値動きをするする資産や銘柄を組み合わせることが効果的です。
資産や銘柄の値動きが似ているか似ていないかを表す指標を相関係数といいます。
相関係数はマイナス1からプラス1までの数値で表され、プラス1に近づくほど資産同士が同じ値動きをすることを表すので、リスク低減効果は期待できません。
一方、マイナス1に近づくほど資産同士が逆の値動きをすることを表すので、リスク低減効果が期待できます。
また、0の場合は、資産同士が全く関係のない値動きをすることを表します。


システマティックリスクと非システマティックリスク

 
分散投資によってリスクを低減することができますが、景気悪化のような市場全体に影響を及ぼすような変動がある場合には、分散投資を行ってもリスク低減効果を得られません。
このようなリスクをシステマティックリスクといいます。
一方、分散投資によって低減することができるリスクは、非システマティックリスクといいます。


資本資産価格モデル(CAPM)

 
資本資産評価モデルとは、分散投資のリスク低減効果を反映した資産のリスクと期待リターンの関係式を表す均衡モデルのことです。
資産の期待リターンは、安全資産のリターンと市場全体の変動と連動したリスクへの見返り(リスク・プレミアム)の合計として、次の式で計算します。
 

理想的な期待リターンの計算式

 
資本資産評価モデルが想定するリスクは、市場全体と連動するリスクのみであり、そのリスクはベータとして表します。


シャープ・レシオ

 
シャープ・レシオとは、リスク(標準偏差)あたりの超過リターンを測るもので、数値が大きいほど運用効率が高いことを表します。
異なる投資対象を比較する際に、同じリスクならどちらの運用効率が高いかを判断する指標のひとつです。
 
シャープ・レシオは、次の式で計算します。
 

シャープ・レシオの計算式

トレイナー尺度

 
トレイナー尺度とは、リスク(ベータ)あたりの超過リターンを測るもので、数値が大きいほど運用効率が高いことを表します。
ベータとは、資本資産評価モデル(CAPM)における資産のリスクの尺度のことで、市場ポートフォリオの変動に対して、資産のリターンがどれだけ連動して動くかを示したものです。
 
トレイナー尺度は、次の式で計算します。
 

xトレイナー尺度の計算式

インフォメーション・レシオ

 
インフォメーション・レシオとは、リスクに対してどれだけ効率的にベンチマークを上回る収益(アクティブ・リターン)を得られたかを測るもので、数値が大きいほど、低いリスクで高いリターンを得られたことを表します。
主にアクティブ・ファンドの運用効率を測る場合に用いられます。
 
インフォメーション・レシオは、次の式で計算します。
 

インフォメーション・レシオの計算式

ジェンセンのアルファ

 
ジェンセンのアルファとは、ポートフォリオのリターンが理論的に期待されるリターンに比べてどのくらい上回ったかを測るもので、数値が大きいほど運用効率が高いことを表します。
理論的な期待リターンは、資本資産価格モデル(CAPM)によって求められるリターンが用いられることが一般的です。
理論的な期待リターンを求める際のベータとは、資本資産評価モデル(CAPM)における資産のリスクの尺度のことで、市場ポートフォリオの変動に対して、資産のリターンがどれだけ連動して動くかを示したものです。
 
ジェンセンのアルファは、次の式で計算します。
 

ジェンセンのアルファの計算式