基礎控除について
基礎控除とは、所得税を計算する際に、納税者本人の合計所得金額に応じて一定額を差し引くことができる制度です。すべての納税者が対象ですが、合計所得金額が2,500万円を超える場合は適用されません。
控除額
| 合計所得金額 |
2025(令和7)年分・2026(令和8)年分 |
2027(令和9)年分以降 |
| 132万円以下 | 95万円 | |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 58万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | |
| 2,350万円超2,400万円以下 |
48万円 | |
| 2,400万円超2,450万円以下 |
32万円 |
|
| 2,450万円超2,500万円以下 |
16万円 |
|
配偶者控除について
配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、同一生計の配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)の場合に、一定額を所得から差し引ける制度です。これにより、所得税の負担が軽減されます。
配偶者控除の対象となる配偶者の主な要件
- 民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 配偶者の年間合計所得金額が58万円以下(給与のみの場合は給与収入123万円以下)であること。
- 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること。
控除額
控除額は、納税者本人の合計所得金額と、控除対象配偶者の年齢によって、以下のとおりです。
| 納税者の合計所得金額 |
一般の控除対象配偶者 |
老人控除対象配偶者 ※ |
| 900万円以下 |
38万円 | 48万円 |
| 900万円超950万円以下 |
26万円 |
32万円 |
| 950万円超1,000万円以下 |
13万円 |
16万円 |
※「老人控除対象配偶者」とは、その年の12月31日時点で70歳以上の配偶者です。
配偶者特別控除について
配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、同一生計の配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に、一定額を所得から差し引ける制度です。配偶者控除の対象外となる場合でも、条件を満たせば適用できます。
配偶者特別控除の対象となる配偶者の主な要件
- 民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 青色申告者の事業従事者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業従事者でないこと。
- 配偶者の年間合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は給与収入123万円超201万円以下)であること。
- 配偶者が、他の控除(配偶者控除や源泉控除対象配偶者)を適用していないこと。
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること。
控除額
控除額は、納税者本人の合計所得金額と、配偶者の合計所得金額によって、以下のとおりです。
| 配偶者の合計所得金額 |
納税者の合計所得金額 |
||
| 900万円以下 |
900万円超950万円以下 | 950万円超1,000万円以下 | |
| 48万円超95万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 95万円超100万円以下 |
36万円 |
24万円 |
12万円 |
| 100万円超105万円以下 |
31万円 |
21万円 |
11万円 |
| 105万円超110万円以下 |
26万円 |
18万円 |
9万円 |
| 110万円超115万円以下 |
21万円 |
14万円 |
7万円 |
| 115万円超120万円以下 |
16万円 |
11万円 |
6万円 |
| 120万円超125万円以下 |
11万円 |
8万円 |
4万円 |
| 125万円超130万円以下 |
6万円 |
4万円 |
2万円 |
| 130万円超133万円以下 |
3万円 |
2万円 |
1万円 |
扶養控除について
扶養控除は、納税者と生計を一にする「控除対象扶養親族」がいる場合に、一定額を所得から差し引ける制度です。これにより、所得税の負担が軽減されます。
控除対象扶養親族の主な要件
- 配偶者以外の親族、または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- その親族の年間合計所得金額が58万円以下(給与のみの場合は給与収入123万円以下)であること。
- 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いをうけていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。
- その年の12月31日時点で16歳以上であること。
控除額
控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無に応じて、以下のとおりです。
| 区分 |
年齢(12月31日時点) |
控除額(1人あたり) |
|
| 一般の控除対象扶養親族 |
16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満 | 38万円 | |
| 特定扶養親族 |
19歳以上23歳未満 |
63万円 |
|
| 老人扶養親族 |
同居老親等 |
70歳以上 |
58万円 |
| 同居老親等以外 |
48万円 |
||
特定親族特別控除について
特定親族特別控除は、納税者と生計を一にする「特定親族」がいる場合に、その親族の所得に応じて一定額を控除できる制度です。この制度は、2025(令和7)年税制改正で新設され、大学生などの働き控えを緩和する目的があります。
控除対象特定親族の主な要件
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)、または児童福祉法に基づき養育を委託された児童(里子)であること。
- 納税者と生計を一にしていること(同居または仕送りなど)。
- その親族の年間合計所得金額が58万円超123万円以下(給与のみの場合は給与収入123万円超188万円以下)であること。
- 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いをうけていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。
- 扶養控除の対象になっていないこと。
- 年齢が19歳以上23歳未満であること。
控除額
| 特定親族の合計所得金額 |
控除額(1人あたり) |
| 58万円超85万円以下 |
63万円 |
| 85万円超90万円以下 |
61万円 |
| 90万円超95万円以下 |
51万円 |
| 95万円超100万円以下 |
41万円 |
| 100万円超105万円以下 |
31万円 |
| 105万円超110万円以下 |
21万円 |
| 110万円超115万円以下 |
11万円 |
| 115万円超120万円以下 |
6万円 |
| 120万円超123万円以下 |
3万円 |
障害者控除について
障害者控除は、納税者本人、同一生計の配偶者、または扶養親族が障害者に該当する場合に、所得税の計算上、一定額を控除できる制度です。
控除額
| 区分 |
控除額(1人あたり) |
| 一般障害者 |
27万円 |
| 特別障害者(障害等級1級・2級) |
40万円 |
| 同居特別障害者 |
75万円 |
寡婦控除について
寡婦控除は、女性の納税者が所得税法上の「寡婦」に該当する場合に、所得から27万円を差し引ける制度です。
控除対象寡婦の主な要件
- 夫と離婚後、再婚しておらず、扶養親族がいる女性で、合計所得金額が500万円以下であること。
- 夫と死別後、再婚していない女性、または夫の生死が不明な女性で、合計所得金額が500万円以下であること。
- 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。
- ひとり親控除の適用を受けていないこと。
控除額
| 区分 |
控除額 |
| 寡婦控除 |
27万円 |
ひとり親控除について
ひとり親控除は、納税者本人が所得税法上の「ひとり親」に該当する場合に、所得から35万円を差し引ける制度です。
控除対象ひとり親の主な要件
- 婚姻をしていない、または配偶者の生死が不明であること。
- 生計を一にする子(その年の合計所得金額が58万円以下)を扶養していること。
- 納税者の合計所得金額が500万円以下であること。
- 事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。
- 寡婦控除の適用を受けていないこと。
控除額
| 区分 |
控除額 |
| ひとり親控除 |
35万円 |
勤労学生控除について
勤労学生控除は、納税者本人が所得税法上の「勤労学生」に該当する場合に、所得税の計算上、27万円を控除できる制度です。
控除対象勤労学生の主な要件
- 給与所得など、勤労による所得があること。
- 合計所得金額が85万円以下で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること。
- 学校教育法に定める学校や一定の教育機関の学生・生徒であること。
控除額
| 区分 |
控除額 |
| 勤労学生控除 |
27万円 |
医療費控除について
医療費控除は、その年(1月1日~12月31日)に、納税者本人または同一生計の配偶者・親族のために支払った医療費のうち、一定額(最高200万円)を所得から差し引ける制度です。なお、12月31日時点で未払いの医療費は対象外となり、実際に支払った年に控除できます。医療費控除を受けるには確定申告が必要です。
控除額
| 区分 |
控除額 |
| 医療費控除 |
その年中の医療費支払額 − 保険金等で補填される金額 − 10万円 ※(最高200万円) |
※「10万円」についてはその年の総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等の5%です。
医療費控除の対象外となる主な費用
- 未払いの医療費
- 人間ドック・健康診断の費用(重大な疾病が発見され治療を行った場合は対象)
- 美容整形や審美目的の歯列矯正
- 病気の予防や健康増進目的の医薬品や健康食品
- 疲労回復目的のマッサージ
- 自己都合の差額ベット費
- 自家用車通院の駐車場代・ガソリン代
- 電車やバスの通院圏内でのタクシー代(やむを得ない場合を除く)
- メガネ・コンタクトレンズ代
- 感染予防のためのマスク購入費
- 自己判断で受けたPCR検査費用(陽性判明後の治療や医師等の指示による検査は対象)
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
セルフメディケーション税制は、健康維持や疾病予防の取り組み(特定健診、予防接種、がん検診など)を行う個人が、スイッチOTC医薬品(医療用から転用された市販薬)を購入した場合に、所得控除を受けられる制度です。適用期間は、2017(平成29)年1月1日から2026(令和8)年12月31日までとなっています。なお、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は選択適用となり、併用することはできません。
控除費
| 区分 |
控除額 |
| セルフメディケーション税制 |
特定一般用医薬品等購入費の合計額 − 保険金等で補填される金額 − 12,000円(最高88,000円) |
雑損控除について
雑損控除は、納税者本人または本人と生計を一にする配偶者や親族(その年の合計所得金額が48万円以下)が所有する生活に通常必要な資産について、災害・盗難・横領(詐欺・恐喝は対象外)による損害を受けた場合に、その損失額の一部を所得税の計算上控除できる制度です。なお、控除適用には確定申告が必要です。
損害の主な原因
- 自然災害(震災・風水害・冷害・雪害・落雷など)
- 人為的災害(火災・爆発など)
- 生物による異常災害(害虫など)
- 盗難
- 横領
控除額
| 区分 |
控除額 |
|
| 雑損控除 |
災害関連支出が5万円以下 |
損失の金額 − 総所得金額 × 10% |
| 災害関連支出が5万円超 | 以下の①または②の少ない方 ①差引損失額 − ( 災害関連支出額 − 5万円 ) ②総所得金額 × 10% |
|
| 損失のすべてが災害関連支出 | 以下の①または②の少ない方 ①5万円 ②総所得金額 × 10% |
|
※差引損失額 = 損害額 + 災害関連支出 − 保険金等補填額
※災害関連支出額 = 滅失した住宅や家財の取り壊し・除去費用など
繰越控除
その年の所得金額から控除しきれない損失額は、翌年以降3年間繰り越し可能です。また、住宅家財等につき特定非常災害(2023(令和5)年4月1日以降発生)の指定を受けた災害による損失は、翌年以降5年間繰り越し可能です。
災害減免法について
災害減免法は、災害によって住宅や家財に損害を受けた場合、所得税を軽減または免除する制度です。雑損控除との選択適用で、有利な方を選べます。
主な適用要件
- 災害のあった年の所得金額が1,000万円以下であること。
- 損害額が住宅または家財の価額の50%以上であること。
軽減・免除額
| 所得金額 |
軽減・免除される所得税 |
| 500万円以下 |
全額免除 |
| 500万円超750万円以下 |
所得税額の50% |
| 750万円超1,000万円以下 |
所得税額の25% |
寄附金控除について
寄附金控除は、納税者本人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して特定寄附金を支出した場合、その寄附額の一部を所得税の計算上控除できる制度です。なお、適用には確定申告が必要です。
控除対象となる主な寄附金
- 国または地方公共団体への寄附
- 財務大臣が指定した公益法人等への寄附
- 特定公益増進法人(日本赤十字社、公益社団法人、公益財団法人など)への寄附
- 一定の特定公益信託への金銭支出
- 政党等への寄附(政治資金規正法に基づくもの)
- 認定NPO法人や国立大学法人等への寄附
- 特定新規中小会社への出資金(一定要件あり)
控除額
| 区分 |
控除額 |
| 寄附金控除 |
以下の①または②の少ない方 − 2,000円 ①その年に支出した特定寄附金の合計額 ②その年の総所得金額 × 40% |
控除額(特定新規中小企業への出資)
| 区分 |
控除額 |
| 寄附金控除 |
以下の①または②の少ない方 − 2,000円 ①特定新規株式の取得に要した金額(800万円を限度) ②その年の総所得金額 × 40% |
ふるさと納税制度について
ふるさと納税制度は、納税者が選んだ地方公共団体に寄附を行うと、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除される仕組みです(一定の上限あり)。控除適用には、原則として寄付を行った翌年に確定申告が必要です。ただし、給与所得者等で確定申告不要の場合、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用可能(寄付先が5団体以内)です。この場合、所得税からの控除はなく、翌年度の住民税でまとめて控除されます。
控除対象となる寄付
- 総務大臣が定める基準を満たす地方公共団体への寄付
- 返礼品を送付する場合は、以下を満たすこと
- 返礼割合が3割以下
- 返礼品が地場産品