国民年金基金とは
国民年金基金は、国民年金法に基づいて設けられた公的な年金制度であり、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして給付されるものです。主に以下のような方々の老後の所得保障を目的としています。
- 自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者
- 60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している方
- 海外在住で国民年金に任意加入している方
この制度は、基礎年金だけでは不十分になりがちな老後の生活資金を補完する役割を果たします。
国民年金基金の年金のタイプ
国民年金基金では、掛金の上限が月額68,000円と定められており、加入者は年金タイプを自由に組み合わせて選択できます。
- 1口目:終身年金(A型またはB型)から選択
- 2口目以降:終身年金に加え、確定年金(I型〜V型)も選択可能
将来受け取る年金額は、加入口数と毎月の掛金額によって決まります。
1口目で選べる年金タイプ(終身年金)
タイプ |
支給期間 |
保証期間 |
特徴 |
A型 |
65歳から終身 |
15年間 |
年金受給前又は保証期間中に死亡した場合、遺族に一時金が支給されます。 |
B型 |
65歳から終身 |
なし |
保証がない分、年金額がやや高めに設定されます。 |
※1口目は、減額や型の変更(A型からB型またはB型からA型)はできません。
2口目以降で選べる年金タイプ(終身年金・確定年金)
タイプ |
支給期間 |
保証期間 |
特徴 |
|
終身年金 |
A型 |
65歳から終身 |
15年間 |
年金受給前又は保証期間中に死亡した場合、遺族に一時金が支給されます。 |
B型 |
65歳から終身 |
なし |
保証がない分、年金額がやや高めに設定されます。 | |
確定年金 |
I型 |
65歳から80歳 |
15年間 |
年金受給前又は保証期間中に死亡した場合、遺族に一時金が支給されます。 |
II型 |
65歳から75歳 |
10年間 |
||
III型 |
60歳から75歳 |
15年間 |
||
IV型 |
60歳から70歳 |
10年間 |
||
V型 |
60歳から65歳 |
5年間 |
※50歳1か月以上の方は、IV型・V型を選択できません。
※60歳以上の人は、II型・III型・IV型・V型を選択できません。
タイプ選択のポイントは以下のとおりです。
- 遺族に一時金を残したい場合:A型(終身・確定)
- 費用を抑えて将来に備えたい場合:B型(終身)
- ライフプランに合わせて柔軟に設計したい場合:I〜V型(確定)
遺族一時金
保証期間のある終身年金A型及び確定年金(I型・II型・III型・IV型・V型)に加入している方が、年金受給前または保証期間内に死亡した場合、遺族に一時金が支給されます。
年金受給前に死亡した場合、加入時の年齢、死亡時の年齢、死亡時までの掛金納付期間に応じて、遺族に一時金が支給されます。また、保証期間内に死亡した場合は、残りの保証期間に応じて、遺族に一時金が支給されます。
保証期間のない終身年金B型のみに加入している場合でも年金受給前に死亡した場合、一律で1万円の一時金が遺族に支給されます。
遺族一時金は、死亡時に生計を同じくしていた以下の順位の遺族に支給されます。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
なお、加入期間が15年未満で基金を脱退した場合、国民年金基金連合会から遺族一時金が支給されます。60歳以上で加入していた場合は、加入していた国民年金基金から支給されます。
国民年金基金の税法上の取扱い
掛金の取扱い
国民年金基金に支払った掛金の全額は、社会保険料控除の対象となります。これにより、所得税や住民税の負担が軽減されます。
年金の受給に関する取扱い
国民年金基金から支給される年金は、国民年金や厚生年金などの公的年金と合算して公的年金等控除の対象となります。これにより、一定額までは課税されず、超過分に対してのみ所得税が課税されます。
遺族一時金の取扱い
加入者が年金受給前または保証期間内に死亡した場合に支給される遺族一時金は、非課税となります。遺族が受け取るこの一時金には、所得税や相続税は課されません。