老齢基礎年金
最終更新日: 2024-10-12

老齢基礎年金の受給要件

 
老齢基礎年金の受給要件は、受給資格期間の合計が10年以上であることです。
 
受給資格期間は、次の式で計算します。
 

受給資格期間 = 保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間(カラ期間)

保険料納付済期間

 
保険料納付済期間とは、第1号、第2号または第3号被保険者として保険料を納付した期間のことです。
第1号被保険者の場合、産前産後期間の免除制度を利用して免除された期間も含みます。

保険料免除期間

 
保険料免除期間とは、第1号被保険者のうち、法定免除申請免除納付猶予制度学生納付特例制度を利用して保険料を免除・猶予された期間のことです。

合算対象期間(カラ期間)

 
合算対象期間とは、年金の受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない期間のことです。カラ期間ともいいます。
この期間については、保険料を追納することはできません。
 
合算対象期間(カラ期間)となるのは、次のとおりです。
 

  • 1961(昭和36)年4月から1986(昭和61)年3月までの期間のうち、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者が任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間
  • 1961(昭和36)年4月から1991(平成3)年3月までの期間のうち、学生が任意加入しなかった期間
  • 1961(昭和36)年4月以降、海外移住者が任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間
  • 1961(昭和36)年4月以降における厚生年金保険の被保険者期間のうち、20歳未満と60歳以降の期間

老齢基礎年金の受給開始年齢

 
老齢基礎年金は、受給資格期間を満たす人が65歳になったときに受給権が発生し、年金を受け取ることができるようになります。
ただし、65歳よりも受給を早めたい場合や65歳よりも受給を遅らせてもいい場合には、受給開始時期を変更することができます。


老齢基礎年金の繰上げ支給

 
老齢基礎年金の繰上げ支給とは、老齢基礎年金の支給開始時期を60歳から65歳になるまでの間の任意の時期に繰り上げて支給を受けることです。
ただし、繰上げ支給をすることにより、支給される年金額が1か月につき0.4%減額となり、生涯減額された年金額が支給されます。
なお、付加年金は同率で減額されますが、振替加算は減額されません。
 

繰上げによる減額率 = 0.4% ✕ 繰上げ月数

※1962(昭和37)年4月1日以前生まれの人の減額率は、0.5%(最大30%)となります。

 
裁定請求時の年齢と繰上げによる減額率は、下表のとおりです。
 
1962(昭和37)年4月2日以後生まれの人(ひと月あたりの減額率0.4%)
 

 

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

24.0%

19.2%

14.4% 9.6% 4.8%

1か月

23.6%

18.8%

14.0% 9.2% 4.4%

2か月

23.2%

18.4%

13.6% 8.8% 4.0%

3か月

22.8%

18.0%

13.2% 8.4% 3.6%

4か月

22.4%

17.6%

12.8% 8.0% 3.2%

5か月

22.0%

17.2% 12.4% 7.6% 2.8%

6か月

21.6%

16.8% 12.0% 7.2% 2.4%

7か月

21.2%

16.4% 11.6% 6.8% 2.0%

8か月

20.8% 16.0% 11.2% 6.4% 1.6%

9か月

20.4% 15.6% 10.8% 6.0% 1.2%

10か月

20.0% 15.2% 10.4% 5.6% 0.8%

11か月

19.6% 14.8% 10.0% 5.2% 0.4%

 
1962(昭和37)年4月1日以前生まれの人(ひと月あたりの減額率0.5%)
 

 

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

30.0%

24.0%

18.0% 12.0% 6.0%

1か月

29.5%

23.5%

17.5% 11.5% 5.5%

2か月

29.0%

23.0%

17.0% 11.0% 5.0%

3か月

28.5%

22.5%

16.5% 10.5% 4.5%

4か月

28.0%

22.0%

16.0% 10.0% 4.0%

5か月

27.5%

21.5% 15.5% 9.5% 3.5%

6か月

27.0%

21.0% 15.0% 9.0% 3.0%

7か月

26.5%

20.5% 14.5% 8.5% 2.5%

8か月

26.0% 20.0% 14.0% 8.0% 2.0%

9か月

25.5% 19.5% 13.5% 7.5% 1.5%

10か月

25.0% 19.0% 13.0% 7.0% 1.0%

11か月

24.5% 18.5% 12.5% 6.5% 0.5%

 
繰上げ支給を請求する場合の主な注意事項は、次のとおりです。
 

  • 寡婦年金の受給権を有する人の繰上げの裁定請求が受理された場合、寡婦年金の受給権は消滅します
  • 繰上げの裁定請求が受理された後は、任意加入被保険者となることができません
  • 繰上げの裁定請求が受理された後は、障害基礎年金の受給権を取得することができません
  • 受給権発生(請求受理日)後は、裁定請求の取消しや変更はできません

老齢基礎年金の繰下げ支給

 
老齢基礎年金の繰上げ支給とは、老齢基礎年金の支給開始時期を66歳から75歳になるまでの間の任意の時期に繰り下げて支給を受けることです。
繰下げ支給をすることにより、支給される年金額が1か月につき0.7%増額となり、生涯増額された年金額が支給されます。
なお、付加年金は同率で増額されますが、振替加算は増額されません。
 

繰下げによる増額率 = 0.7% ✕ 繰下げ月数

 
裁定請求時の年齢と繰下げによる増額率は、下表のとおりです。
 

 

66歳

67歳

68歳

69歳

70歳

71歳

72歳

73歳

74歳

75歳

0か月

8.4%

16.8%

25.2% 33.6% 42.0% 50.4% 58.8% 67.2% 75.6% 84.0%

1か月

9.1%

17.5%

25.9% 34.3% 42.7% 51.1% 59.5% 67.9% 76.3%  

2か月

9.8%

18.2%

26.6% 35.0% 43.4% 51.8% 60.2% 68.6% 77.0%  

3か月

10.5%

18.9%

27.3% 35.7% 44.1% 52.5% 60.9% 69.3% 77.7%  

4か月

11.2%

19.6%

28.0% 36.4% 44.8% 53.2% 61.6% 70.0% 78.4%  

5か月

11.9%

20.3% 28.7% 37.1% 45.5% 53.9% 62.3% 70.7% 79.1%  

6か月

12.6%

21.0% 29.4% 37.8% 46.2% 54.6% 63.0% 71.4% 79.8%  

7か月

13.3%

21.7% 30.1% 38.5% 46.9% 55.3% 63.7% 72.1% 80.5%  

8か月

14.0% 22.4% 30.8% 39.2% 47.6% 56.0% 64.4% 72.8% 81.2%  

9か月

14.7% 23.1% 31.5% 39.9% 48.3% 56.7% 65.1% 73.5% 81.9%  

10か月

15.4% 23.8% 32.2% 40.6% 49.0% 57.4% 65.8% 74.2% 82.6%  

11か月

16.1% 24.5% 32.9% 41.3% 49.7% 58.1% 66.5% 74.9% 83.3%  

※1952(昭和27)年4月1日以前生まれの人(または2017(平成29)年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金を受取る権利が発生している人)は、繰下げの上限年齢が70歳までとなるため、増額率は最大で42%となります。


老齢基礎年金の年金額

 
老齢基礎年金の年金額は、保険料を納めていた期間(保険料納付済月数)と保険料の納付を免除されていた期間(保険料免除月数)に基づいて計算されます。
免除期間分は、免除内容によって年金額の減額率が異なります。
なお、合算対象期間(カラ期間)、納付猶予期間学生納付特例期間は年金額の計算には反映されません。
 
老齢基礎年金の年金額は、次の式で計算します。
 
免除期間が2009(平成21)年3月分以前の計算式

老齢基礎年金2009年3月分以前の計算式

 
免除期間が2009(平成21)年4月分以降の計算式

老齢基礎年金2009年4月分以降の計算式

 
ちなみに、2024(令和6)年度の老齢基礎年金(満額)の年金額は、次のとおりです。
 

  • 1956(昭和31)年4月2日以後生まれの人は、月68,000円 ✕ 12 = 年816,000
  • 1956(昭和31)年4月1日以前生まれの人は、月67,808円 ✕ 12 = 年813,700

付加年金

 
付加年金とは、国民年金の保険料に加えて付加保険料(月額400円)を納付することで、老齢基礎年金に上乗せされる年金のことです。
 
付加年金額は、次の式で計算します。
 

付加年金額 = 200円 ✕ 付加年金保険料納付月数

 
付加年金保険料を納めることができるのは、第1号保険者65歳未満の任意加入被保険者のみです。
なお、国民年金基金に加入している人は、付加年金に加入することはできません


振替加算

 
厚生年金保険では、老齢厚生年金等の受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合には、老齢厚生年金等に加給年金(年金に対する扶養手当のようなもの)が加算されます。
加給年金の対象となっている配偶者が老齢基礎年金を受給できる65歳に達すると、加給年金は打ち切られて配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
振替加算の対象となる配偶者は、1926(大正15)年4月2日から1966(昭和41)年4月1日までに生まれた人に限られ、振替加算の額は生年月日によって異なります。