老齢基礎年金
最終更新日: 2025-09-28

老齢基礎年金の受給要件

 
老齢基礎年金を受給するためには、受給資格期間の合計が10年以上あることが必要です。
受給資格期間は、以下の3つの期間の合計で計算されます。
 

受給資格期間 = 保険料納付済期間 + 保険料免除期間 + 合算対象期間(カラ期間)

保険料納付済期間

 
保険料納付済期間とは、第1号・第2号・第3号被保険者として保険料を納付した期間です。なお、第1号被保険者の場合、産前産後期間に保険料免除制度を利用した期間も含まれます。

保険料免除期間

 
保険料免除期間とは、第1号被保険者が以下の制度を利用して保険料の免除または猶予を受けた期間です。

  • 法定免除制度
  • 申請免除制度
  • 納付猶予制度
  • 学生納付特例制度

合算対象期間(カラ期間)

 
合算対象期間とは、年金の受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない期間のことです。この期間については、保険料の追納はできません。
合算対象期間に該当するのは、以下のようなケースです。

  • 1961(昭和36)年4月〜1986(昭和61)年3月の間に、厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者が任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間
  • 1961(昭和36)年4月〜1991(平成3)年3月の間に、学生が任意加入しなかった期間
  • 1961(昭和36)年4月以降に、海外移住者が任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間
  • 1961(昭和36)年4月以降の厚生年金保険の被保険者期間のうち、20歳未満または60歳以上の期間

老齢基礎年金の受給開始年齢

 
老齢基礎年金は、受給資格期間(10年以上)を満たしている人が65歳に達した時点で受給権が発生し、年金の受給を開始することができます。
ただし、本人の希望により、受給開始時期を変更することも可能です。


老齢基礎年金の繰上げ支給

 
老齢基礎年金の繰上げ支給とは、年金の支給開始年齢(65歳)を、60歳から65歳未満の任意の時期に前倒しして受給する制度です。繰上げ支給を選択すると、受給開始を早めた月数に応じて年金額が減額され、その減額された金額が生涯にわたって支給されます。
減額率は、1か月につき0.4%(1962年4月2日以降生まれの人)です。ただし、1962年4月1日以前生まれの人は、1か月につき0.5%(最大30%)の減額となります。
なお、付加年金は同じ割合で減額されますが、振替加算は減額されません。
 

繰上げによる減額率 = 月数 × 減額率(0.4%または0.5%)

 

減額率一覧表

 
1962(昭和37)年4月2日以降生まれ(ひと月あたりの減額率0.4%)

 

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

24.0%

19.2%

14.4% 9.6% 4.8%

1か月

23.6%

18.8%

14.0% 9.2% 4.4%

2か月

23.2%

18.4%

13.6% 8.8% 4.0%

3か月

22.8%

18.0%

13.2% 8.4% 3.6%

4か月

22.4%

17.6%

12.8% 8.0% 3.2%

5か月

22.0%

17.2% 12.4% 7.6% 2.8%

6か月

21.6%

16.8% 12.0% 7.2% 2.4%

7か月

21.2%

16.4% 11.6% 6.8% 2.0%

8か月

20.8% 16.0% 11.2% 6.4% 1.6%

9か月

20.4% 15.6% 10.8% 6.0% 1.2%

10か月

20.0% 15.2% 10.4% 5.6% 0.8%

11か月

19.6% 14.8% 10.0% 5.2% 0.4%

 
1962(昭和37)年4月1日以前生まれ(ひと月あたりの減額率0.5%)

 

60歳

61歳

62歳

63歳

64歳

0か月

30.0%

24.0%

18.0% 12.0% 6.0%

1か月

29.5%

23.5%

17.5% 11.5% 5.5%

2か月

29.0%

23.0%

17.0% 11.0% 5.0%

3か月

28.5%

22.5%

16.5% 10.5% 4.5%

4か月

28.0%

22.0%

16.0% 10.0% 4.0%

5か月

27.5%

21.5% 15.5% 9.5% 3.5%

6か月

27.0%

21.0% 15.0% 9.0% 3.0%

7か月

26.5%

20.5% 14.5% 8.5% 2.5%

8か月

26.0% 20.0% 14.0% 8.0% 2.0%

9か月

25.5% 19.5% 13.5% 7.5% 1.5%

10か月

25.0% 19.0% 13.0% 7.0% 1.0%

11か月

24.5% 18.5% 12.5% 6.5% 0.5%

 
繰上げ支給を請求する際の注意点は、以下のとおりです。

  • 寡婦年金の受給権がある場合、繰上げ請求が受理されると寡婦年金の受給権は消滅します
  • 繰上げ請求後は、任意加入被保険者になることができません
  • 繰上げ請求後は、障害基礎年金の受給権を取得することができません
  • 一度繰上げ請求が受理されると、取消しや変更はできません

老齢基礎年金の繰下げ支給

 
老齢基礎年金の繰下げ支給とは、年金の支給開始年齢(65歳)を、66歳から75歳までの任意の時期に遅らせて受給する制度です。繰下げ支給を選択すると、受給開始を遅らせた月数に応じて年金額が増額され、その増額された金額が生涯にわたって支給されます。
増額率は1か月につき0.7%で、最大84.0%(75歳0か月で請求した場合)です。
なお、付加年金は同じ割合で増額されますが、振替加算は増額されません。
 

繰下げによる増額率 = 月数 × 0.7%

 

増額率一覧表

 

 

66歳

67歳

68歳

69歳

70歳

71歳

72歳

73歳

74歳

75歳

0か月

8.4%

16.8%

25.2% 33.6% 42.0% 50.4% 58.8% 67.2% 75.6% 84.0%

1か月

9.1%

17.5%

25.9% 34.3% 42.7% 51.1% 59.5% 67.9% 76.3%  

2か月

9.8%

18.2%

26.6% 35.0% 43.4% 51.8% 60.2% 68.6% 77.0%  

3か月

10.5%

18.9%

27.3% 35.7% 44.1% 52.5% 60.9% 69.3% 77.7%  

4か月

11.2%

19.6%

28.0% 36.4% 44.8% 53.2% 61.6% 70.0% 78.4%  

5か月

11.9%

20.3% 28.7% 37.1% 45.5% 53.9% 62.3% 70.7% 79.1%  

6か月

12.6%

21.0% 29.4% 37.8% 46.2% 54.6% 63.0% 71.4% 79.8%  

7か月

13.3%

21.7% 30.1% 38.5% 46.9% 55.3% 63.7% 72.1% 80.5%  

8か月

14.0% 22.4% 30.8% 39.2% 47.6% 56.0% 64.4% 72.8% 81.2%  

9か月

14.7% 23.1% 31.5% 39.9% 48.3% 56.7% 65.1% 73.5% 81.9%  

10か月

15.4% 23.8% 32.2% 40.6% 49.0% 57.4% 65.8% 74.2% 82.6%  

11か月

16.1% 24.5% 32.9% 41.3% 49.7% 58.1% 66.5% 74.9% 83.3%  

1952(昭和27)年4月1日以前生まれの方、または2017(平成29)年3月31日以前に老齢基礎(厚生)年金の受給権が発生している方は、繰下げの上限年齢が70歳までとなるため、増額率は最大42.0%です。


老齢基礎年金の年金額

 
老齢基礎年金の年金額は、保険料納付済月数(保険料を実際に納めた期間)と、保険料免除月数(保険料の免除を受けた期間)に基づいて計算されます。
免除期間分は、免除の種類に応じて年金額への反映率が異なります。一方で、合算対象期間(カラ期間)納付猶予期間学生納付特例期間年金額の計算には反映されません
 
老齢基礎年金の計算式は、免除期間の時期によって異なります。
 
2009(平成21)年3月分以前の免除期間がある場合

老齢基礎年金2009年3月分以前の計算式

 
2009(平成21)年4月分以降の免除期間のみの場合

老齢基礎年金2009年4月分以降の計算式

 
2025(令和7)年度の老齢基礎年金(満額)は以下のとおりです。

  • 1956(昭和31)年4月2日以降生まれ:年額831,700円(月額69,308円)
  • 1956(昭和31)年4月1日以前生まれ:年額829,300円(月額69,108円)

付加年金

 
付加年金とは、国民年金の保険料に加えて付加保険料(月額400円)を納付することで、老齢基礎年金に上乗せして支給される年金のことです。
付加年金の支給額は、以下の式で計算されます。
 

付加年金額 = 200円 × 付加保険料納付月数

 
付加保険料を納めることができるのは、第1号保険者65歳未満の任意加入被保険者に限られます。ただし、国民年金基金に加入している人は、付加年金に加入することはできません


振替加算

 
厚生年金保険では、老齢厚生年金等の受給者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、その年金に加給年金(扶養手当のようなもの)が加算されます。
この加給年金の対象となっている配偶者が65歳に達して老齢基礎年金の受給資格を得ると、加給年金は打ち切られ、代わりに配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
振替加算の対象となるのは、1926(大正15)年4月2日から1966(昭和41)年4月1日までに生まれた人に限られます。振替加算の金額は、生年月日によって異なり、年金額に上乗せされます。