国民年金の全体像
国民年金とは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金で、老齢、障害、死亡により基礎年金を受給することができます。
国民年金の被保険者は、下表のとおり第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者に区分されます。
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第1号被保険者 |
第2号被保険者 |
第3号被保険者 |
対象者 |
自営業者、学生、フリーター、無職等 |
会社員、公務員等 ※1 |
第2号被保険者の被扶養配偶者 ※2 |
年齢要件 |
20歳以上60歳未満 |
なし ※3 |
20歳以上60歳未満 |
国内居住要件 |
あり |
なし |
あり |
保険料 |
2024(令和6)年度 |
厚生年金保険料(労使折半)に含まれる |
保険料の負担なし ※4 |
保険料の納付方法 |
納付書による納付や口座振替等 |
毎月の給料から天引き |
− |
※1:厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人であれば、自動的に国民年金にも加入することになります。
※2:年収が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は、第1号被保険者となります。
※3:老齢年金の受給権者となった場合、第2号被保険者の資格を失います。
※4:第2号被保険者が加入している被用者年金制度(厚生年金保険や共済組合等)の保険者が集めた保険料や掛金等の一部を基礎年金拠出金として負担しています。
国民年金の保険料
第1号被保険者の国民年金の保険料は、被保険者の所得や職業に関係なく、一律となっています。
2024(令和6)年度の保険料は月額16,980円、2025(令和7)年度の保険料は月額17,510円です。
2年分の前納制度があるので、国民年金保険料は、翌年度分も発表されます。
国民年金の保険料の納付期限と納付方法
第1号被保険者の毎月の保険料の納付期限は、翌月末日です。
国民年金の保険料の納付方法として、月々の納付のほかに前納制度や早割制度が設けられています。
前納制度には、6か月分、1年分、2年分の前納があり、現金またはクレジットカードによる納付と口座振替による納付で割引率が異なります。
早割制度とは、口座振替により保険料を納付する場合、保険料の引落しを翌月末ではなく当月末にすると、毎月50円ずつ割引になる制度です。
納付すべき保険料を滞納した場合、納付期限から2年を経過すると時効により納付することができなくなります。
国民年金の任意加入制度
国民年金の任意加入制度とは、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合等で年金額の増額を希望するときに、60歳以降でも国民年金に任意加入することができる制度のことです。
ただし、申出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません。
任意加入するための主な要件は、次のとおりです。
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人
- 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の人
- 厚生年金保険・共済組合等に加入していない人
- 日本国籍を有しない人で、在留資格が特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)や特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)で滞在するのではない人
上記の人に加え、
- 年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人
- 外国に居住する日本人で、20歳以上65歳未満の人
も任意加入することができます。
国民年金保険料の免除・納付猶予制度
国民年金保険料の免除・納付猶予制度とは、第1号被保険者で、保険料の納付が経済的に困難な場合に、申請をすることにより保険料の免除や納付が猶予される制度のことです。
法定免除制度
次に該当する人は、国民年金保険料免除事由届を提出することで、保険料が全額免除になります。
- 生活保護の生活扶助を受けている人
- 障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている人
- 国立ハンセン病療養所等で療養している人
申請免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合等、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、3/4、半額、1/4の4種類があります。
保険料納付猶予制度
20歳から50歳未満の第1号被保険者で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定以下の場合、申請後に承認されると保険料の納付が猶予されます。
学生納付特例制度
第1号被保険者である学生本人の所得が一定以下の場合、申請後に承認されると在学中の保険料の納付が猶予されます。
保険料免除・納付猶予された期間の年金額
老齢基礎年金の年金額を計算するときに、保険料免除・納付猶予の承認を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が減額されます。
保険料免除・納付猶予の種類ごとに反映される年金額の減額率は、下表のとおりです。
免除・納付猶予の種類 |
免除・納付猶予期間の年金額への反映 ※ |
全額免除 |
保険料を全額納付した場合の年金額の1/2 |
3/4免除 |
保険料を全額納付した場合の年金額の5/8 |
半額免除 |
保険料を全額納付した場合の年金額の6/8 ( = 3/4 ) |
1/4免除 |
保険料を全額納付した場合の年金額の7/8 |
納付猶予 |
老齢基礎年金額に反映されません |
※免除・納付猶予の期間が、2009(平成21)年4月以降の場合です。
国民年金保険料の追納制度
国民年金保険料の追納制度とは、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間の保険料について、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができる制度のことです。
追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除・納付猶予や学生納付特例の承認された期間に限られています。
年金の裁定請求
年金の裁定請求とは、年金の受給権があることを確認し、年金の支払いを受ける請求を行うことです。
年金の支給開始年齢到達日の3か月前に、日本年金機構から年金請求書が送付されるので、この年金請求書を用いて、支給開始年齢到達日以降に裁定請求手続きを行います。
裁定請求を受け付けるのは、国民年金の第1号被保険者としての加入歴だけがある人の場合は、住所地の市区町村役場となり、その他の人は、原則として住所地を管轄する年金事務所または最後に勤務していた事業所を管轄する年金事務所となります。
年金受給権が発生した後に、その裁定の取消しや変更を行うことはできません。
年金の支給期間と支給日
年金は、受給権が発生した月の翌月から受給権が消滅した月(受給者が死亡した月)まで支給されます。
年金は、原則として偶数月の各15日に、前月までの2か月分が支払われます。