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国民年金についてFPがわかりやすく解説

最終更新日: 2026-09-05

国民年金とは?制度の仕組み

 
国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。加入者は、老齢、障害、死亡などの事由が生じた場合に、基礎年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)を受給することができます。
国民年金の被保険者は、次の3つの区分に分けられます。
 

区分

第1号被保険者

第2号被保険者

第3号被保険者

対象者

自営業者、学生、フリーター、無職の人など

会社員、公務員など ※1

第2号被保険者に扶養されている配偶者 ※2

年齢要件

20歳以上60歳未満

70歳未満 ※3

20歳以上60歳未満

国内居住要件

必要

不要

必要

保険料

2026(令和8)年度:月額17,920円

厚生年金保険料に含まれる(標準報酬月額・標準賞与額 × 18.3%、労使折半)

保険料負担なし ※4

納付方法

納付書、口座振替など

給与からの天引き

−

※1:厚生年金保険の適用事業所に勤務している人は、厚生年金保険に加入すると同時に、国民年金の第2号被保険者となります。
※2:原則として、健康保険の被扶養者の要件を満たさなくなった場合は、第3号被保険者の資格を失い、第1号被保険者となります。なお、被扶養者として認定されるかどうかは、収入見込みや勤務状況などを総合的に勘案して判断されます。
※3:厚生年金保険の被保険者資格は、原則として70歳未満の人が対象です。ただし、実際の加入要件は勤務先や労働条件などによって異なります。
※4:第2号被保険者が加入する厚生年金保険などの保険者が、基礎年金拠出金として国民年金制度を支えているため、第3号被保険者本人が保険料を負担する必要はありません。


国民年金の保険料(第1号被保険者)

 
第1号被保険者の国民年金保険料は、所得や職業にかかわらず、一律に定められています。

  • 2026(令和8)年度:月額17,920円
  • 2027(令和9)年度:月額18,290円

 
なお、国民年金には最大2年分の保険料をまとめて納付できる前納制度があるため、翌年度分の保険料額もあらかじめ公表されています。


国民年金の保険料の納付期限と納付方法(第1号被保険者)

 
国民年金の第1号被保険者が納付する保険料の納付期限は、原則として納付対象月の翌月末日です。
保険料の納付方法には複数の選択肢があります。毎月納付する方法のほか、複数月分をまとめて納付する前納制度や、口座振替による早割制度を利用することもできます。
 
前納制度では、6か月分、1年分、2年分の保険料をまとめて納付することができ、納付方法によって割引額が異なります。一般的に、口座振替による前納は、現金払いやクレジットカード払いによる前納よりも割引額が大きく設定されています。
一方、早割制度は、口座振替を利用し、通常の翌月末振替ではなく当月末振替を選択することで、保険料が月額50円割り引かれる制度です。
 
なお、保険料を納付しないまま放置すると、納付期限から2年を経過した時点で時効により納付できなくなります。その結果、将来受け取る老齢基礎年金の受給額が減少するだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できなくなる場合もあるため、保険料は期限内に納付することが重要です。


国民年金の任意加入制度とは

 
国民年金の任意加入制度とは、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間や免除期間などの合計が10年以上)を満たしていない場合や、老齢基礎年金を満額受給するために必要な480か月(40年)の納付済期間に達していない場合に、60歳以降も任意で国民年金に加入できる制度です。
任意加入することで、老齢基礎年金の受給資格を満たしたり、将来受け取る年金額を増やしたりすることができます。
なお、任意加入は申出をした月から開始され、過去にさかのぼって加入することはできません。
 

任意加入の対象者

 
次のすべての条件を満たす人は、60歳以上65歳未満の期間に任意加入することができます。

  • 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
  • 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない人
  • 20歳以上60歳未満までの保険料納付済期間などが480か月(40年)未満の人
  • 厚生年金保険などの被保険者ではない人
  • 日本国籍を有しない場合は、特定活動(医療滞在またはその付添人、観光・保養を目的とする長期滞在またはその同行配偶者)に該当しない人

 
また、上記以外にも、次の人は任意加入できる場合があります。

  • 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人
  • 海外に居住している日本人で、20歳以上65歳未満の人

国民年金保険料の免除・納付猶予制度とは

 
国民年金保険料の免除・納付猶予制度とは、第1号被保険者が経済的な理由などにより保険料の納付が困難な場合に、申請により保険料の免除または納付の猶予を受けることができる制度です。
 
保険料の免除制度は、一定の所得要件などを満たした場合に保険料の納付が免除される制度です。一方、納付猶予制度は、保険料の納付を将来に先送りできる制度であり、承認された期間については後から追納することができます。
 
これらの制度を利用することで、保険料を未納のまま放置する場合と比べて、将来の年金受給資格を確保しやすくなるほか、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給するための要件を満たしやすくなります。

法定免除制度

 
法定免除制度とは、法律で定められた一定の条件に該当する人について、届出により国民年金保険料の納付が全額免除される制度です。
次のいずれかに該当する人は、国民年金保険料免除事由届を提出することで、保険料が全額免除されます。

  • 生活保護の生活扶助を受けている人
  • 障害基礎年金または障害厚生年金などの障害年金(1級または2級)を受給している人
  • 国立ハンセン病療養所などで療養している人

申請免除制度

 
申請免除制度とは、本人、世帯主および配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合や、失業などの特別な事情により保険料の納付が困難な場合に、申請を行い承認を受けることで保険料の免除を受けられる制度です。
免除の種類は、所得などに応じて次の4段階に区分されています。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

 
なお、一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)の承認を受けた場合は、残りの保険料を納付しなければ未納期間として取り扱われるため注意が必要です。

産前産後期間の免除制度

 
産前産後期間の免除制度とは、第1号被保険者が出産した場合に、一定期間の国民年金保険料が免除される制度です。
 

免除期間

 
第1号被保険者が出産した場合、次の期間の保険料が免除されます。

  • 単胎妊娠:出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間
  • 多胎妊娠:出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間

 
なお、免除期間中も付加保険料を納付することができます。
また、産前産後期間の免除を受けた期間は、保険料を全額納付したものとして取り扱われるため、老齢基礎年金の受給額に満額反映されます。

育児免除制度

 
2026年10月から始まる育児免除制度とは、1歳未満の子どもを養育する第1号被保険者の国民年金保険料を、一定期間免除する制度です。
 

養育要件

 
制度を利用するためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 子どもとの親子関係が継続していること
  • 子どもと同一住所に居住していること

 
なお、所得制限はありません。
 

免除期間

 
父親や養父母の場合は、子どもの養育を開始した月から1歳の誕生日の前月までの期間が免除対象となり、最大12か月間、国民年金保険料が免除されます。
出産した第1号被保険者の母親には、既存の「産前産後免除制度」があります。育児免除制度の対象期間は、この産前産後免除期間に続く9か月間です。そのため、産前産後免除制度と合わせると、最大13か月間、国民年金保険料の免除を受けることができます。
また、育児免除制度では、免除された期間についても「保険料を納付したもの」として扱われるため、将来受給する老齢基礎年金の年金額に満額反映されます。
 
さらに、次の期間についても、届出を行うことで育児免除期間として取り扱われます。

  • 既に保険料を納付済みの期間
  • 国民年金保険料免除・納付猶予期間
  • 学生納付特例期間

 
なお、すでに納付していた保険料については、還付または他の保険料へ充当されます。

保険料納付猶予制度

 
保険料納付猶予制度とは、20歳以上50歳未満の第1号被保険者を対象に、本人および配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定額以下の場合に、申請を行い承認を受けることで保険料の納付が猶予される制度です。
猶予を受けた期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、保険料を追納しなかった場合、その期間は老齢基礎年金の受給額には反映されません。

学生納付特例制度

 
学生納付特例制度とは、第1号被保険者である学生本人の前年所得(1月から3月までの期間は前々年所得)が一定額以下の場合に、申請を行い承認を受けることで、在学期間中の国民年金保険料の納付が猶予される制度です。
学生納付特例の承認を受けた期間は老齢基礎年金の受給資格期間に算入されますが、保険料を追納しなかった場合、その期間は老齢基礎年金の受給額には反映されません。

保険料免除・納付猶予された期間の年金額

 
保険料の免除または納付猶予を受けた期間がある場合、老齢基礎年金の年金額は、保険料を全額納付した場合と比べて少なくなります。
ただし、一部免除については、免除後に残る保険料を納付していることが前提です。また、納付猶予制度や学生納付特例制度の承認を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されますが、そのままでは年金額には反映されません。
2009(平成21)年4月以降の期間における年金額への反映率は、次のとおりです。
 

免除・納付猶予の種類

年金額への反映率(全額納付時との比較)

全額免除

2分の1

4分の3免除

8分の5

半額免除

8分の6(4分の3)

4分の1免除

8分の7

納付猶予

反映されない

学生納付特例

反映されない

国民年金保険料の追納制度とは

 
国民年金保険料の追納制度とは、保険料の免除、納付猶予、または学生納付特例の承認を受けた期間について、後から保険料を納付(追納)することで、将来受け取る老齢基礎年金の受給額を増やすことができる制度です。
 
追納できる期間は、追納の申請が承認された月の前10年以内にある、免除、納付猶予または学生納付特例の承認を受けた期間に限られます。
また、追納は承認を受けた期間のうち、原則として古い期間から順に行う必要があります。
なお、免除や納付猶予などの承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に加算額が上乗せされます。


年金の裁定請求とは

 
年金の裁定請求とは、年金の受給資格を確認し、年金の支給を受けるために行う正式な請求手続きです。
年金の受給開始年齢に達する3か月前になると、日本年金機構から「年金請求書」が送付されます。受給開始年齢に到達した後、この請求書を使用して裁定請求の手続きを行います。
裁定請求の受付窓口は、加入履歴によって異なります。国民年金(第1号被保険者)のみの加入歴がある人は、住所地の市区町村役場が窓口となります。厚生年金保険や共済組合などの加入歴がある人は、原則として住所地を管轄する年金事務所が窓口となります。
なお、裁定請求後に記録の誤りや請求内容の不備などが判明した場合には、訂正や追加の手続きが必要となることがあります。請求内容に誤りがないよう、事前に年金記録や加入期間を十分に確認しておくことが重要です。


年金の支給期間と支給日

 
年金は、受給権が発生した月の翌月分から、受給権が消滅した月(通常は受給者が死亡した月)まで支給されます。
支給日は原則として偶数月の15日で、前月までの2か月分の年金がまとめて支給されます。例えば、4月15日には2月分と3月分の年金が支給されます。
なお、15日が土曜日、日曜日または祝日に当たる場合は、その直前の金融機関の営業日に支給されます。


FP試験での出題ポイント

 
FP試験では、次のポイントを重点的に押さえておくと得点源になります。
 
① 被保険者の区分

  • 第1号被保険者:自営業者、学生、無職など
  • 第2号被保険者:会社員、公務員など厚生年金加入者
  • 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者

 
② 保険料

  • 第1号被保険者の保険料は定額
  • 前納制度(6か月・1年・2年)による割引
  • 早割制度(口座振替の当月末振替で月額50円割引)
  • 保険料の納付期限は翌月末
  • 保険料の時効は2年

 
③ 任意加入制度

  • 60歳以降も加入可能な制度
  • 受給資格期間10年未満の人や満額受給(480か月)に届かない人が対象
  • 原則として60歳以上65歳未満
  • 老齢基礎年金を繰上げ受給した人は任意加入できない

 
④ 保険料免除・猶予制度

  • 法定免除
    • 生活保護受給者
    • 障害年金(1級・2級)受給者
    • ハンセン病療養所等入所者
  • 申請免除
    • 全額免除
    • 4分の3免除
    • 半額免除
    • 4分の1免除
  • 一部免除は残りの保険料を納付しないと未納扱い

 
⑤ 納付猶予制度・学生納付特例

  • 納付猶予制度は20歳以上50歳未満
  • 学生納付特例は学生本人の所得で判定
  • どちらも受給資格期間には算入
  • 追納しない限り年金額には反映されない

 
⑥ 産前産後期間の免除

  • 単胎:出産月の前月から4か月間
  • 多胎:出産月の3か月前から6か月間
  • 免除期間も保険料を全額納付したものとして扱われる

 
⑦ 免除期間の年金額への反映率

  • 全額免除:2分の1
  • 4分の3免除:8分の5
  • 半額免除:8分の6(4分の3)
  • 4分の1免除:8分の7
  • 納付猶予・学生納付特例:反映なし

 
⑧ 追納制度

  • 免除・猶予・学生納付特例期間は10年以内なら追納可能
  • 原則として古い期間から順に追納
  • 承認後3年度目以降の追納は加算額あり

 
⑨ 裁定請求

  • 年金受給には裁定請求が必要
  • 年金請求書は受給開始年齢の3か月前に送付

 
⑩ 年金の支給

  • 年金は受給権発生月の翌月分から支給
  • 支給日は原則偶数月15日
  • 前月までの2か月分をまとめて支給