厚生年金保険とは?FPがわかりやすく解説
厚生年金保険の適用事業所
厚生年金保険は、会社員や公務員などが加入する公的年金制度です。法人事業所は、原則としてすべて厚生年金保険の強制適用事業所となります。一方、個人事業所は、法定17業種に該当し、常時5人以上の従業員を使用している場合に強制適用事業所となります。
厚生年金保険の被保険者
厚生年金保険の被保険者は、原則として、適用事業所に勤務する70歳未満の人で、所定の加入要件を満たす人です。
また、パート・アルバイトとして働く短時間労働者であっても、週の所定労働時間や賃金などの加入要件を満たす場合は、厚生年金保険の被保険者となります。
一方、厚生年金保険の適用事業所以外で働く人であっても、一定の条件を満たす場合には、「任意単独被保険者」として厚生年金保険に加入できる制度があります。ただし、対象となる人は限定されています。この場合の保険料は、原則として事業主と本人が折半して負担します。
また、70歳以上で適用事業所に勤務する人は、厚生年金保険の被保険者にはなりませんが、「70歳以上被用者」として取り扱われます。保険料の負担はありませんが、その報酬額は在職老齢年金の支給調整などの判定に用いられます。
さらに、70歳に達した時点で老齢基礎年金または老齢厚生年金の受給資格期間を満たしていない人は、「高齢任意加入被保険者」として70歳以降も厚生年金保険に加入することができます。
この場合、事業主の同意があるときは、保険料は一般の被保険者と同様に事業主と本人が折半して負担し、納付義務者は事業主となります。一方、事業主の同意が得られないときは、保険料は全額本人負担となり、納付義務者も本人となります。
厚生年金保険の保険料
厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額および標準賞与額に保険料率(18.3%)を乗じて算出する総報酬制を採用しています。算出された保険料は、被保険者と事業主が折半して負担します。
標準報酬月額は、現在、1等級(8万8,000円)から32等級(65万円)までの32等級に区分されています。また、標準賞与額には1回あたり150万円の上限が設けられています。
育児休業等を取得した場合は、その休業期間中の厚生年金保険料が免除されます。免除の対象となるのは、実際に育児休業等を取得した期間です。
また、産前産後休業期間中についても同様に、保険料の免除措置が適用されます。
これらの免除期間は、保険料を納付したものとして取り扱われるため、老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給資格期間や年金額の計算に反映されます。
共済組合と厚生年金保険
共済組合とは、公務員や私立学校の教職員などを対象とした社会保険制度を運営する組織です。
2015(平成27)年10月に共済年金は厚生年金保険へ統合され、国家公務員や地方公務員、私立学校教職員なども厚生年金保険の被保険者となりました。ただし、共済組合自体は現在も存続しており、短期給付(医療保険)や福祉事業などを行っています。
主な共済組合の対象者および保険者は、次のとおりです。
| 名称 |
対象者 |
保険者 |
| 国家公務員共済組合 |
常勤の国家公務員など |
各府省等の共済組合 |
| 地方公務員等共済組合 |
常勤の地方公務員など |
各地方公共団体等の共済組合 |
| 私立学校教職員共済制度 |
私立学校に勤務する教職員 |
日本私立学校振興・共済事業団 |
FP試験での出題ポイント
FP試験では、次のポイントを重点的に押さえておくと得点源になります。
① 厚生年金保険の基本
- 厚生年金保険は会社員や公務員が加入する公的年金制度
- 厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金の第2号被保険者
- 老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受給できる
② 適用事業所
- 法人事業所は原則すべて強制適用事業所
- 個人事業所は、「法定17業種」と「常時5人以上の従業員」の両方を満たすと強制適用
③ 被保険者の要件
- 原則として70歳未満
- 適用事業所に勤務し、加入要件を満たす者
④ 70歳以上被用者
- 70歳以上で働いていても被保険者にはならない
- 保険料負担なし
- 在職老齢年金の支給停止判定等に用いられる
⑤ 高齢任意加入被保険者
- 70歳時点で受給資格期間を満たしていない者
- 受給資格を満たすために加入可能
- 事業主同意あり → 保険料折半
- 事業主同意なし → 全額本人負担
⑥ 保険料の計算
- 総報酬制を採用
- 計算式:標準報酬月額 × 保険料率 + 標準賞与額 × 保険料率
- 保険料は労使折半
⑦ 育児休業・産前産後休業中の保険料
- 育児休業期間中の保険料は免除
- 産前産後休業期間中も免除
- 免除期間は保険料納付済期間として扱われ、年金額計算にも反映