土地の分類について
登記上の分類
不動産登記法では、土地の種類を地目といい、登記記録の表題部に記録されます。
地目は、以下の23種類に分類されます。
- 田
- 畑
- 宅地
- 学校用地
- 鉄道用地
- 塩田
- 鉱泉地
- 池沼
- 山林
- 牧場
- 原野
- 墓地
- 境内地
- 運河用地
- 水道用地
- 用悪水路
- ため池
- 堤
- 井溝
- 保安林
- 公衆用道路
- 公園
- 雑種地
※登記記録上の地目は、必ずしも現状と一致するとは限りません。
用途上の分類
土地は用途に応じて、以下のように分類されます。
- 居住用土地(一戸建て住宅用地、集合住宅用地など)
- 商業用土地(オフィスビル用地、店舗用地など)
- 工業用土地(工場用地、倉庫用地など)
- 公共用土地(学校用地、病院用地など)
- その他(農地、駐車場など)
建物の分類について
登記上の分類
不動産登記法では、建物の種類は以下のように分類されます。
- 居宅
- 店舗
- 寄宿舎
- 共同住宅
- 事務所
- 旅館
- 料理店
- 工場
- 倉庫
- 車庫
- 発電所
- 変電所
用途上の分類
建物は用途に応じて、以下のように分類されます。
- 居住用建物(専用住宅、併用住宅、農漁業用住宅など)
- 商業用建物(事務所、銀行、店舗、映画館、遊技場、ホテルなど)
- 生産・流通用建物(工場、倉庫、市場など)
- 公共用建物(学校、図書館、美術館、公民館、官公庁舎、病院、社会福祉施設、空港、葬祭施設など)
- その他(駐車場建築物、公衆浴場、宗教建築物など)
土地の価格について
土地の価格には、以下の5種類があります。
地価公示価格(公示価格)
地価公示法に基づき、国土交通省(土地鑑定委員会)が全国約3万地点の標準地について毎年1月1日現在の価格を判定し、3月下旬に公表するものです。標準地の所在や地積、形状、周辺の土地利用状況、前面道路の状況なども官報に掲載され、国土利用計画法の指導価格の指針や公的土地評価の基準として用いられます。
地価調査価格
国土利用計画法に基づき、都道府県が基準値の価格を調査し、7月1日現在の価格を9月下旬に公表します。
固定資産税評価額
市町村(東京23区は東京都)が全国すべての土地を対象に3年ごとに評価・公表し、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの税額計算の基準となる価格です。
相続税路線価(路線価)
宅地が面する道路ごとに設定された1㎡あたりの価格で、毎年1月1日現在の価格を7月上旬に国税局が公表し、相続税や贈与税、地価税の課税価格算定の基礎となります。
実勢価格(時価)
実際に成立した取引価格、または周辺の売買事例から推定される価格水準を指します。
土地の価格の比較(実勢価格(時価)を除く)
|
|
地価公示価格(公示価格) |
地価調査価格 |
固定資産税評価額 |
相続税路線価(路線価) |
| 調査機関 |
国土交通省 |
都道府県 | 市町村(東京23区は東京都) | 国税局 |
| 評価時期 |
1月1日 |
7月1日 |
3年ごとに1月1日 | 1月1日 |
| 公表時期 |
3月下旬 |
9月下旬 |
3月〜4月 | 7月1日 |
| 評価割合 ※ |
100% |
100% |
70% | 80% |
※「評価割合」は、地価公示価格を100%とした場合の割合です。
不動産の鑑定評価方法について
不動産は、不動性(持ち運びできない)、個別性(同じものがない)、希少性(数量に限りがある)といった特性を持つため、一般的な商品(動産)のように市場で統一的な価格形成を期待することは困難です。そのため、適正な価格を判定するには、専門家である不動産鑑定士による鑑定評価が必要となります。
鑑定評価には、主に以下の方法があります。
取引事例比較法
対象不動産と条件が近い取引事例を収集し、適切な事例を選定します。その取引価格に対して、事情補正、時点修正、地域要因の比較、個別要因の比較を行い、対象不動産の比準価格(試算価格)を求める方法です。
原価法
対象不動産の再調達原価を算定し、減価修正(経年変化による価値減少)を加えて、積算価格(試算価格)を求めます。なお、土地のみを評価する場合でも再調達原価を適正に求められる場合は原価法を適用できます。ただし、既成市街地など再調達原価の算定が困難な土地には、一般的に適用できません。
収益還元法
対象不動産が将来生み出すと期待される純収益の現在価値の総和から、収益価格を求める方法です。
収益還元法には以下の2種類があります。
- 直接還元法
単年度の純収益(収入−費用)を還元利回りで除して、収益価格を算定します。 - DCF(Discounted Cash Flow)法
保有期間中に得られる純収益の現在価値と、復帰価格(将来の売却価格等)の現在価値を合計して、収益価格を算定します。
新規賃料の不動産鑑定評価方法について
新規賃料(借り手を新規募集する際に設定する賃料)を求めるための鑑定評価には、主に以下の方法があります。
積算法
基礎価格を算定し、これに期待利回りを乗じた額に、必要諸経費を加算して、対象不動産の積算賃料(試算賃料)を求める方法です。
賃貸事例比較法
多数の賃貸事例を収集し、適切な事例を選定します。その実質賃料に事情補正と時点修正を行い、さらに地域要因と個別要因を比較考量して、対象不動産の比準賃料(試算賃料)を求める方法です。
収益分析法
企業経営に基づく総収益を分析し、対象不動産が一定期間に生み出すと期待される純収益を算定します。これに必要諸経費を加算して、対象不動産の収益賃料(試算賃料)を求める方法です。
継続賃料の不動産鑑定評価方法について
継続賃料(不動産賃貸借契約の更新時に設定する賃料)を求めるための鑑定評価には、主に以下の方法があります。
差額配分法
現行賃料と新規賃料の差額を基準に、契約内容や締結経緯などを総合的に勘案し、適正な加減を行って賃料を算定する方法です。
利回り法
対象不動産の基礎価格に継続賃料利回りを乗じ、さらに必要諸経費を加算して賃料を求める方法です。
スライド法
現行賃料を定めた時点の純賃料に変動率を乗じ、価格時点の必要諸経費を加算して賃料を算定する方法です。
賃貸事例比較法
新規賃料の算定に用いる賃貸事例比較法に準じて、賃料を求める方法です。