不動産のきほん
最終更新日: 2024-11-04

土地の分類

登記上の分類

 
不動産登記法において、土地の種類は地目といい、登記記録の表題部に記録されます。
地目は、次の23種類に分類されます。
 

  1. 宅地
  2. 学校用地
  3. 鉄道用地
  4. 塩田
  5. 鉱泉地
  6. 池沼
  7. 山林
  8. 牧場
  9. 原野
  10. 墓地
  11. 境内地
  12. 運河用地
  13. 水道用地
  14. 用悪水路
  15. ため池
  16. 井溝
  17. 保安林
  18. 公衆用道路
  19. 公園
  20. 雑種地

 
なお、登記記録上の地目が必ずしも土地の現状と一致しているとは限りません。 

用途上の分類

 
土地は、用途に応じて次のように分類されます。
 

  • 居住用土地(一戸建て住宅用地、集合住宅用地等)
  • 商業用土地(オフィスビル用地、店舗用地等)
  • 工業用土地(工場用地、倉庫用地等)
  • 公共用土地(学校用地、病院用地等)
  • その他(農地、駐車場等)

建物の分類

登記上の分類

 
不動産登記法において、建物の種類は次のように分類されます。
 

  • 居宅
  • 店舗
  • 寄宿舎
  • 共同住宅
  • 事務所
  • 旅館
  • 料理店
  • 工場
  • 倉庫
  • 車庫
  • 発電所
  • 変電所 

用途上の分類

 
建物は、用途に応じて次のように分類されます。
 

  • 居住用建物(専用住宅、併用住宅、農漁業用住宅等)
  • 商業用建物(事務所、銀行、店舗、映画館、遊技場、ホテル等)
  • 生産・流通用建物(工場、倉庫、市場等)
  • 公共用建物(学校、図書館、美術館、公民館、官公庁舎、病院、社会福祉施設、空港、葬祭施設等)
  • その他(駐車場建築物、公衆浴場、宗教建築物等)

土地の価格

 
土地の価格には、次の5種類があります。

公示価格

 
公示価格とは、地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会)が公表する価格のことです。
公示価格は毎年1月1日を価格判定の基準日としており、3月下旬頃に公表されます。

基準値標準価格

 
基準値標準価格とは、公示価格を補完するものとして、都道府県知事が公表する価格のことです。
基準値標準価格は毎年7月1日を価格判定の基準日としており、9月下旬頃に公表されます。

固定資産税評価額

 
固定資産税評価額とは、3年ごとの基準年度に市町村東京23区は都)が評価し、公表する価格のことです。
公示価格70%程度の水準を保つように評価されます。
固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税等の税額計算の基準となる価格です。

相続税路線価(路線価)

 
相続税路線価(路線価)とは、宅地の面する路線ごとに付けられた1㎡あたりの価格のことです。
毎年1月1日時点の価格を、その年の7月上旬各国税局が公表します。
公示価格80%程度の水準を保つように評価されます。
相続税や贈与税を算出する際の基礎となる価格です。

実勢価格(時価)

 
実勢価格とは、実際に取引が成立した価格、または周辺の売買実例の取引価格から推定される土地価格の水準のことです。

実勢価格(時価)を除く土地の価格の比較は、下表のとおりです。
 

 

公示価格

基準値標準価格

固定資産税評価額

相続税路線価
(路線価)

調査機関

国土交通省

都道府県 市町村
(東京23区は都)
各国税局

評価時期

毎年1月1日

毎年7月1日

1月1日
(3年に1度)

毎年1月1日

公表時期

毎年3月下旬

毎年9月下旬

3月または4月

毎年7月1日

評価割合 ※

100%

100%

70% 80%

※「評価割合」は、公示価格を100%とした場合の割合を表しています。


不動産の鑑定評価方法

 
不動産の適正な価格を判定するためには、不動産鑑定士による鑑定評価が必要になります。
不動産鑑定評価には、次のような方法があります。

取引事例比較法

 
取引事例比較法とは、収集した対象不動産と条件が近い取引事例の中から適切な事例を選択し、取引価格に事情補正、時点修正、地域要因の比較、個別的要因の比較を行って、対象不動産の比準価格(取引事例比較法によって求めた試算価格)を求める方法のことです。

原価法

 
原価法とは、対象不動産の再調達原価を求め、これに減価修正(経年変化による減価)を行って、対象不動産の積算価格(原価法によって求めた試算価格)を求める方法のことです。
なお、評価の対象が土地のみの場合でも、再調達原価を適正に求めることができるときは原価法を適用できますが、再調達原価の算定が困難な既成市街地等の土地については、一般的に原価法を適用できません。

収益還元法

 
収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることによって、対象不動産の収益価格を求める方法のことです。
収益還元法には、直接還元法DCF法の2つの方法があります。
 
直接還元法
直接還元法とは、対象不動産が生み出す単年度の純収益(収入から費用を差し引いたもの)を還元利回りで除して、対象不動産の収益価格(収益還元法によって求めた試算価格)を求める方法のことです。
 
DCF(Discounted Cash-Flow)法
DCF法とは、対象不動産の保有期間中に、対象不動産から得ることが期待される純収益の現在価値と、復帰価格(将来の売却価格等)の現在価値を合計することにより、対象不動産の収益価格を求める方法のことです。


新規賃料の不動産鑑定評価方法

 
新規賃料(借り手を新規募集する際に設定する賃料)を求めるための不動産鑑定評価には、次のような方法があります。

積算法

 
積算法とは、基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に、必要諸経費等を加算して、対象不動産の試算賃料(積算賃料)を求める方法のことです。

賃貸事例比較法

 
賃貸事例比較法とは、収集した多数の賃貸借等の事例の中から適切な事例を選択し、これらの実際実質賃料に事情補正および時点修正を行い、地域要因および個別的要因によって求められた賃料を比較考量し、これによって対象不動産の比準賃料(賃貸事例比較法によって求めた試算賃料)を求める方法のことです。

収益分析法

 
収益分析法とは、一般の企業経営に基づく総収益を分析して、対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益を求め、これに必要諸経費等を加算して対象不動産の収益賃料(集積分析法によって求めた試算賃料)を求める方法のことです。


継続賃料の不動産鑑定評価方法

 
継続賃料(不動産賃貸借契約等の更新をする際に設定する賃料)を求めるための不動産鑑定評価には、次のような方法があります。

差額配分法

 
差額配分法とは、対象不動産の現行賃料と新規賃料の差額について、契約の内容や契約締結の経緯等を総合的に勘案した上で、適正な加減をして賃料を求める方法のことです。

利回り法

 
利回り法とは、対象不動産の基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して賃料を求める方法のことです。

スライド法

 
スライド法とは、対象不動産の現行賃料を定めた時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に、価格時点における必要諸経費等を加算して賃料を求める方法のことです。

賃貸事例比較法

 
賃貸事例比較法とは、新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて賃料を求める方法のことです。