不動産取得税について
不動産取得税とは、売買、増改築、交換、贈与などにより不動産を取得した際に課される地方税です。取得した建物と土地のそれぞれに課税され、納付先は不動産が所在する都道府県となります。
家屋が新築された場合、不動産取得税はその家屋が最初に使用または譲渡された時点で取得されたものとみなされます。ただし、新築から6か月を経過しても使用や譲渡がない場合は、6か月経過時点で取得されたものとみなし、所有者に課税されます。なお、宅地建物取引業者が新築した場合、この期間は1年となります。
一方、相続や法人の合併、一定の要件を満たす会社分割など、所有権の形式的な移転による取得については、不動産取得税は非課税となります。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税は、以下の式で算出されます。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 標準税率
※標準税率の本則は4%ですが、3%とする特例措置は2027(令和9)年3月31日まで適用されます。
固定資産税評価額が以下の基準を下回る場合、不動産取得税はかかりません。
| 不動産の種類 |
固定資産税評価額 |
|
| 土地 |
10万円未満 | |
| 家屋 |
新築・増改築 |
1戸につき23万円未満 |
| 売買等 | 1戸につき12万円未満 |
|
なお、不動産取得税の計算において、一定の不動産には以下のような特例が適用される場合があります。
新築住宅の課税標準の特例について
一定の住宅を建築した場合、または新築未使用の住宅を購入した場合、1戸につき固定資産税評価額から1,200万円が控除されます。共同住宅の場合は、居住用の独立した区画ごとに適用されます。
不動産取得税 = ( 固定資産税評価額 − 1,200万円 ) × 標準税率
※標準税率の本則は4%ですが、3%とする特例措置は、2027(令和9)年3月31日まで適用されます。
新築住宅の主な適用要件
- 戸建住宅の場合、床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
- 賃貸住宅(戸建以外)の場合、床面積が1戸あたり40㎡以上240㎡以下であること。
- 居住用を含む住宅全般(賃貸用住宅、セカンドハウスも対象)であること。
中古住宅の課税標準の特例について
一定の中古住宅を取得した場合にも、課税標準の特例が適用されます。
不動産取得税 = ( 固定資産税評価額 − 控除額 ) × 標準税率
※標準税率の本則は4%ですが、3%とする特例措置は、2027(令和9)年3月31日まで適用されます。
控除額一覧
| 新築日 |
控除額 |
| 1954(昭和29)年7月1日〜1963(昭和38)年12月31日 |
100万円 |
| 1964(昭和39)年1月1日〜1972(昭和47)年12月31日 |
150万円 |
| 1973(昭和48)年1月1日〜1975(昭和50)年12月31日 |
230万円 |
| 1976(昭和51)年1月1日〜1981(昭和56)年6月30日 |
350万円 |
| 1981(昭和56)年7月1日〜1985(昭和60)年6月30日 |
420万円 |
| 1985(昭和60)年7月1日〜1989(平成元)年3月31日 |
450万円 |
| 1989(平成元)年4月1日〜1997(平成9)年3月31日 |
1,000万円 |
| 1997(平成9)年4月1日以降 |
1,200万円 |
中古住宅の主な適用要件
- 戸建住宅の場合、床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
- 戸建以外の場合、1戸あたり40㎡以上240㎡以下であること。
- 居住用の住宅全般(セカンドハウスを含む)であること。
- 賃貸用住宅でないこと。
- 以下のいずれかを満たしていること。
- 1982(昭和57)年1月1日以降に建築されている。
- 1981(昭和56)年12月31日以前に建築の場合、新耐震基準に適合している証明ができる。
- 1981(昭和56)年12月31日以前に建築の場合、既存住宅売買瑕疵保険への加入が証明できる。
- 入居までに新耐震基準を満たす改修を実施する。
住宅用地の税額軽減の特例について
住宅に対する特例とは別に、住宅が建てられている宅地にも税額軽減の特例があります。
不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 1/2 × 3% − 控除額
控除額は、以下の①または②のいずれか大きい金額です。
① 45,000円
② ( 土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2 ) × ( 住宅床面積 × 2 ) × 3%
※「土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2」は、2027(令和9)年3月31日までに取得した土地の場合に適用されます。
※住宅床面積の限度は200㎡です。
宅地の主な適用要件
- 土地取得後3年以内に、その土地上に一定の住宅を新築した場合
- 特例適用住宅の新築後1年以内に、その敷地を取得した場合
- 新築未使用の一定の住宅とその敷地を、住宅新築後1年以内に取得した場合
- 土地取得後1年以内に、その土地上に自己居住用の新築未使用住宅または既存住宅を取得した場合
- 自己居住用の新築未使用住宅または既存住宅取得後1年以内に、その敷地を取得した場合
- 2018(平成30)年4月1日以降に取得した耐震基準不適合既存住宅について、取得後6か月以内に耐震改修を行い、かつ自己居住用にした場合
- 2018(平成30)年4月1日以降に、買取再販業者が一定の中古住宅の敷地を取得した場合
登録免許税について
登録免許税とは、不動産、船舶、会社、人の資格などについて、登記・登録・特許・免許・許可・認可・認定・指定・技能証明を受ける際に課される国税です。
不動産の場合、土地や建物の売買や贈与、相続による所有権移転、抵当権の設定などに伴う登記に対して課税されます。抵当権とは、住宅ローンを借りる際に金融機関が不動産を担保として設定する権利で、返済が滞った場合に債権を回収するための手段です。
登録免許税は、不動産を取得する人や住宅ローンを借りる人が負担します。また、土地と建物は別々に登記されるため、それぞれに登録免許税が課せられます。
登録免許税の計算 方法
登録免許税は、以下の式で算出されます。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率
登録免許税の税率
| 登記の内容 |
本則税率 |
軽減税率 |
||
| 所有権の保存登記 |
一般の不動産 |
0.4% |
− |
|
| 一定の自己居住用住宅 | 0.15% |
|||
| 特定認定長期優良住宅 | 0.10% | |||
| 認定低炭素住宅 | 0.10% | |||
| 所有権の移転登記 |
売買 |
土地 |
2.0% |
1.5% |
| 建物 | − |
|||
| 一定の自己居住用住宅 | 0.3% |
|||
| 特定認定長期優良住宅 | 0.1% | |||
| 認定低炭素住宅 | 0.1% | |||
| 特定の増改築がされた住宅用家屋 | 0.1% | |||
| 相続および相続人に対する遺贈、法人の合併 | 0.4% | − | ||
| 贈与および相続人以外への遺贈等 | 2.0% | − | ||
| 共有物の分割 | 0.4% | − | ||
| 地上権、永小作権、賃借権または採石権の設定、転貸または移転の登記 | 設定または転貸 | 1.0% | − | |
| 相続または法人の合併による移転 | 0.2% | − | ||
| 共有に係る権利の分割による移転 | 0.2% | − | ||
| その他の原因による移転 | 1.0% | − | ||
| 先取特権の保存、質権・(根)抵当権の設定等の登記 | 先取特権の保存、質権もしくは抵当権の設定等 | 0.4% | − | |
| 一定の自己居住用住宅の取得資金の貸付等に係る抵当権の設定登記 | 0.1% | |||
| 先取特権の保存、質権・(根)抵当権の移転の登記 | 相続または法人の合併による移転 | 0.1% | − | |
| その他の原因による移転 | 0.2% | − | ||
| 信託の登記 | 所有権の信託の登記 | 0.4% | 0.3% | |
| 所有権以外の権利の信託の登記 | 0.2% | − | ||
※特定目的会社による資産流動化計画に基づく特定不動産取得の所有権移転登記の税率軽減措置は、2027(令和9)年3月31日まで適用されます。
※特例事業者等による不動産特定共同事業契約に基づく不動産取得の所有権移転登記等の税率軽減措置は、2027(令和9)年3月31日まで適用されます。
※土地の売買による所有権移転登記等の税率軽減措置は、2026(令和8)年3月31日まで適用されます。
※2027年(令和9年)3月31日までに、相続で土地を取得した個人が、その土地の所有権移転登記前に死亡した場合、その死亡した個人を登記名義人とするための移転登記については、登録免許税は課されません。
※2027年(令和9年)3月31日までに、相続で土地を取得した個人が、その土地の所有権保存登記または所有権移転登記を受ける場合、その登記に係る課税標準となる不動産の価額が100万円以下であれば、登録免許税は課されません。
建物の税率軽減措置の主な適用要件
- 自己居住用住宅であること。
- 登記簿上の床面積が50㎡以上であること。
- 新築または取得後1年以内に登記すること。
- 住宅用家屋証明書を提出すること。
- 中古住宅で、築20年超の非耐火建築物、または築25年超の耐火建築物である場合、耐震基準適合証明書または住宅性能評価書を取得し、既存住宅売買瑕疵保険に加入していること。
消費税について
消費税は、商品の販売やサービスの提供に対して課される税金です。
不動産取引では、課税されるものと課税されないものがあります。
消費税が課税される主な不動産取引
- 建物の譲渡
- 建物の貸付け(居住用を除く)
- 不動産の仲介手数料
消費税が非課税となる主な不動産取引
- 土地の譲渡
- 土地の貸付け(1か月以上)
- 居住用賃貸物件の貸付け(1か月以上)
印紙税について
印紙税は、印紙税法で定められた課税文書を作成した場合に課される国税です。税額は、課税文書に記載された契約金額に応じて異なります。契約金額の記載がない場合、印紙税額は200円です。
納税方法は、課税文書に収入印紙を貼付し、消印を押すことで完了します。
課税文書に印紙を貼付しなかった場合、未納印紙税額とその2倍の過怠税(合計で3倍)が課されます。ただし、税務調査前に自主申告した場合は、1.1倍に軽減されます。
また、消印を押していない場合、消印漏れ印紙と同額の過怠税が課されます。
なお、印紙税を納めていない文書でも、契約自体は有効です。
軽減税率の適用
2027(令和9)年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書および建設工事請負契約書には、軽減税率が適用されます。
| 契約金額 |
本則 |
軽減税率 |
|
| 不動産譲渡契約書 | 建設工事請負契約書 | ||
| 1万円未満 |
非課税 |
− | |
| 1万円以上10万円以下 |
1万円以上100万円以下 | 200円 | − |
| 10万円超50万円以下 |
100万円超200万円以下 |
400円 |
200円 |
| 50万円超100万円以下 |
200万円超300万円以下 |
1,000円 |
500円 |
| 100万円超500万円以下 |
300万円超500万円以下 |
2,000円 |
1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 |
10,000円 |
5,000円 | |
| 1,000万円超5,000万円以下 |
20,000円 | 10,000円 | |
| 5,000万円超1億円以下 |
60,000円 | 30,000円 | |
| 1億円超5億円以下 |
100,000円 | 60,000円 | |
| 5億円超10億円以下 |
200,000円 | 160,000円 | |
| 10億円超50億円以下 |
400,000円 | 320,000円 | |
| 50億円超 |
600,000円 | 480,000円 | |