地震保険料控除(個人契約の場合)
1月1日から12月31日までに支払った地震保険料は、地震保険料控除として、その年の所得から控除することができます。
また、複数年分の保険料を一括で支払った場合には、一括で支払った保険料の金額を年数分で割った金額が、その年の保険料控除の対象となります。
地震保険料控除額
地震保険料控除額は、下表のとおりです。
所得税控除額 |
支払った保険料の全額 |
住民税控除額 |
支払った保険料×1/2 |
店舗併用住宅の地震保険料控除
独立した店舗や事務所等の事業用の建物は、住宅用の地震保険を契約することができません。
しかし、住宅と店舗が一緒になっている併用住宅であれば、地震保険を契約することができます。
その場合の地震保険料控除の対象となる金額は、次の式で計算します。
保険料控除の対象となる金額 = 住居部分の床面積 ÷ 家屋の総床面積 × 支払った保険料
保険金等を受け取ったときの税金(個人契約の場合)
損害保険金の場合、契約者が建物の焼失、身体の傷害や疾病を原因として受け取る保険金は、原則として非課税です。
ただし、自動車保険や傷害保険の死亡保険金、積立型保険の満期返戻金、契約者配当金、解約返戻金等については、課税対象となります。
生命保険の場合と同じなので、生命保険に係る税金を参照してください。
損害保険料を支払ったときの税金(法人契約の場合)
法人が支払った損害保険料は、原則として損金算入されます。
ただし、保険期間が3年以上かつ保険期間満了時に満期返戻金を受け取ることができる損害保険の場合、積立保険料部分は保険積立金として資産計上します。
個人事業主が支払った損害保険料は、原則として全額を必要経費として計上することができます。
必要経費とは、事業を継続するうえで必要な経費のことなので、店舗併用住宅であれば住居部分の地震保険料、プライベートの自動車に対する自動車保険料、個人事業主自身の傷害保険料等は、必要経費として計上することはできません。
また、法人が保険料を負担し、被保険者を役員・従業員とする傷害保険等の契約については、次のような経費処理を行います。
契約タイプ |
法人 |
役員・従業員 |
普遍的加入型 (被保険者:役員・従業員全員) |
損金算入 (福利厚生費) |
給与課税なし |
選択付保型 (被保険者:特定の役員・従業員) |
損金算入 (給与) |
給与課税 ※ |
法人受取型 (保険金受取人:法人) |
損金算入 (損害保険料) |
給与課税なし |
※被保険者が特定の役員・従業員かつ保険金受取人が法人でない場合は、保険料はその被保険者に対する給与扱いとなります。
満期返戻金・解約返戻金の経理処理と税金(法人契約の場合)
個人事業主および法人が受け取った満期返戻金・解約返戻金の経費処理と税金は、下表のとおりです。
個人事業主 |
一時所得 |
法人 |
損金算入 |
※満期時や解約時において資産に計上されている積立保険料や前払保険料がある場合には、それを同時に取り崩して損金算入します。
傷害保険の保険金の経理処理と税金(法人契約の場合)
個人事業主および法人が受け取った傷害保険の保険金の経費処理と税金は、下表のとおりです。
保険金の受取人 |
個人事業主 |
法人 |
被保険者(役員・従業員)またはその遺族 | 経費処理なし (遺族の受け取る死亡保険金は、相続税の対象) (被保険者の受け取る見舞金等は、非課税) |
|
契約者(個人事業主・法人) | 事業収入に算入 ※ | 益金算入 ※ |
※弔慰金・死亡退職金や見舞金等として支給した額は、損金算入されます。
火災保険の保険金の経理処理と税金(法人契約の場合)
個人事業主および法人が受け取った火災保険の保険金の経費処理と税金は、下表のとおりです。
補償の対象 |
個人事業主 |
法人 |
建物 | 非課税(保険金補填後の損失の額を必要経費とする) | 益金算入(損失は損金算入・圧縮記帳が可能) |
休業損失 | 事業収入に算入 | 益金算入 |
自動車保険の保険金の経理処理と税金(法人契約の場合)
個人事業主および法人が受け取った自動車保険の保険金の経費処理と税金は、下表のとおりです。
保険の種類 |
個人事業主 |
法人 |
車両保険 | 非課税(保険金補填後の損失の額を必要経費とする。修繕費の必要経費計上時は同額の保険金を事業収入とする) | 益金算入(修繕費は損金算入、全損の場合は圧縮記帳が可能) |
対人・対物賠償保険 | 経理処理なし | 経理処理なし |
搭乗者傷害保険 自損事故保険 人身傷害補償保険 無保険者傷害保険 |
経理処理なし | 経理処理なし |
圧縮記帳
圧縮記帳とは、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得する場合に認められる制度のことです。
法人の経理処理上、固定資産の損害に対して受け取る保険金を益金に、損害額を損金に計上しますが、益金と損金の差額(保険差益)は課税対象となります。
しかし、保険差益に課税されると、受取保険金の全額を代替資産の取得に充てることができなくなり、代替資産の取得が困難になってしまいます。
この事態を回避し、一時的に税負担を先送りするための法人税法上の制度です。圧縮記帳の対象となる保険金は、対象資産の滅失または損壊から3年以内に支払いが確定したものになります。
圧縮記帳の主なポイントは、次のとおりです。
- 個人および個人事業主には適用されない
- 対象資産の滅失または損壊から3年以内に支払いが確定した保険金が対象
- 保険差益が生じない場合は、圧縮記帳をすることはできない
- 商品等の棚卸資産の損失に対する保険金は対象外
- 保険金等を受けた翌期首から原則2年以内に代替資産の取得または改良の見込みのある場合に、圧縮記帳を適用できる
圧縮限度額は、次の式で計算します。
損害賠償金の経理処理と税金(法人契約の場合)
個人である被害者またはその遺族が受け取る賠償責任保険の保険金(損害賠償金)は、非課税です。
法人が受け取る損害賠償金は益金となり、損害額は、原則として損金となります。