損害保険に係る税金
最終更新日: 2026-07-07

地震保険料控除について(個人契約の場合)

 
地震保険料控除とは、その年の1月1日から12月31日までに支払った地震保険料について、所得税および住民税の所得控除を受けることができる制度です。
この制度を活用することで、課税所得が減少し、税負担を軽減することができます。
 

控除の対象となる保険料

 
控除の対象となるのは、次の条件を満たす地震保険契約の保険料です。

  • 契約者本人または生計を一にする配偶者その他の親族が所有し、かつ常時居住している建物または家財を対象とする地震保険契約の保険料
  • 火災保険に付帯された地震保険部分の保険料(火災保険料は控除の対象外)

 

地震保険料控除額

 

項目

控除額の計算方法

控除額の上限

所得税控除額

支払った保険料の全額

50,000

住民税控除額

支払った保険料の2分の1

25,000円

 

複数年分を一括で支払った場合

 
複数年分の地震保険料を一括で支払った場合は、支払った保険料を保険期間の年数で按分し、各年分の保険料として控除額を計算します。
 
【例】
5年分の地震保険料100,000円を一括で支払った場合
100,000円 ÷ 5年 = 20,000円
したがって、各年の控除対象となる保険料は20,000円となります。
 

店舗併用住宅の地震保険料控除

 
独立した店舗や事務所などの事業用建物は、地震保険料控除の対象となりません。
ただし、店舗併用住宅(1階が店舗、2階が住居である場合など)については、住居部分の割合に応じて地震保険料控除を受けることができます。

  • 住居部分の床面積が家屋全体の90%以上である場合:支払った地震保険料の全額が控除対象となります。
  • 住居部分が90%未満の場合:次の算式により控除対象保険料を計算します。

 

控除対象保険料 = 支払った保険料 × 住居部分の床面積 ÷ 家屋の総床面積

 
この算式によって計算された金額が、所得税および住民税の控除対象となります。


保険金等を受け取ったときの税金について(個人契約の場合)

 
個人が損害保険契約に基づいて受け取る保険金は、原則として非課税です。
たとえば、建物の焼失や事故による身体の傷害・疾病などを原因として支払われる保険金(火災保険金、入院保険金、通院保険金、後遺障害保険金など)は、所得税法上、非課税とされています。
 

課税対象となる主なケース

 
ただし、次のような場合には課税対象となることがあります。

  • 死亡保険金
    契約者・被保険者・保険金受取人の関係に応じて、相続税・所得税・贈与税のいずれかが課税されます。
  • 満期返戻金
    積立型損害保険の満期返戻金を受け取った場合には、一時所得として所得税の課税対象となります。
  • 契約者配当金・解約返戻金
    契約者配当金や解約返戻金についても、一時所得として所得税の課税対象となる場合があります。

 
死亡保険金、満期返戻金、契約者配当金および解約返戻金に係る課税関係については、生命保険契約の場合と同様の取扱いが適用されます。
そのため、詳細については、生命保険に係る税金の項目を併せてご確認ください。


損害保険料を支払ったときの税金について(法人契約の場合)

 
法人が支払う損害保険料は、原則として損金に算入することができます。
ただし、保険期間が3年以上で、満期時に返戻金を受け取ることができる積立型の損害保険契約については、支払った保険料のうち積立部分を「保険積立金」として資産計上しなければなりません。
 
個人事業主が支払った損害保険料は、原則として事業に関連する部分について必要経費に算入することができます。
一方、次のような事業と直接関係のない保険料は、必要経費として認められません。

  • 店舗併用住宅の住居部分に係る地震保険料
  • 自家用車に係る自動車保険料
  • 個人事業主自身を被保険者とする傷害保険料

 

法人が契約者となる傷害保険の税務上の取扱い

 
法人が保険料を負担し、役員または従業員を被保険者とする傷害保険契約については、契約形態に応じて次のように取り扱われます。
 

契約タイプ

法人の経費処理

被保険者の課税

普遍的加入型(全従業員を対象する契約) 損金算入(福利厚生費) 給与課税なし
選択付保型(特定の役員・従業員を対象とする契約) 損金算入(給与) 給与課税あり
法人受取型(保険金受取人が法人) 損金算入(損害保険料) 給与課税なし

※ 選択付保型において、保険金受取人が法人ではなく、役員・従業員本人やその遺族である場合には、法人が負担した保険料は給与として取り扱われ、課税対象となります。


満期返戻金・解約返戻金の経理処理と税金について(法人契約の場合)

 
損害保険契約において、満期返戻金や解約返戻金を受け取った場合の税務上の取扱いは、契約者が個人事業主であるか法人であるかによって異なります。
 

契約者

税務上の取扱い

個人事業主

一時所得

法人

損金算入

※ 法人が受け取った満期返戻金または解約返戻金は、原則として受取時に益金として計上します。
※ 契約期間中に資産計上していた積立保険料や前払保険料がある場合には、返戻金の受領時に当該資産を取り崩します。その結果、返戻金相当額は益金となり、取り崩した保険積立金等は損金となります。


傷害保険の保険金の経理処理と税金について(法人契約の場合)

 
法人契約または個人事業主契約の傷害保険において、保険金を受け取った場合の経理処理および税務上の取扱いは、保険金の受取人によって異なります。
 

保険金の受取人

個人事業主契約

法人契約

被保険者(役員・従業員)またはその遺族 経費処理なし
・遺族が受け取る死亡保険金は相続税の対象
・被保険者本人が受け取る入院保険金・通院保険金・見舞金等は原則非課税
契約者(個人事業主・法人) 事業所得の総収入金額に算入 ※ 益金算入 ※

※ 法人が受け取った保険金を、弔慰金、死亡退職金、見舞金などとして役員または従業員に支給した場合には、その支給額を損金に算入することができます。ただし、社会通念上相当と認められる金額の範囲内であることが必要です。


火災保険の保険金の経理処理と税金について(法人契約の場合)

 
火災保険契約に基づいて個人事業主または法人が保険金を受け取った場合の経理処理および税務上の取扱いは、補償の対象となる損害の内容によって異なります。
 

補償の対象

個人事業主

法人

建物の損害 非課税(保険金で補填されなかった損失額は必要経費に算入可能) 益金算入(損失額は損金に算入可能。一定の要件を満たす場合は圧縮記帳による課税の繰延べが可能)
休業損失 事業所得の総収入金額に算入 益金算入

自動車保険の保険金の経理処理と税金について(法人契約の場合)

 
自動車保険に基づいて個人事業主または法人が保険金を受け取った場合の経理処理および税務上の取扱いは、保険の種類によって異なります。
 

保険の種類

個人事業主

法人

車両保険 非課税(保険金で補填されなかった損失額は必要経費に算入可能。修繕費を必要経費に算入する場合には、受け取った保険金を事業所得の総収入金額に算入する) 益金算入(修繕費は損金に算入可能。一定の要件のもとで圧縮記帳が可能)
対人賠償保険 経理処理なし 経理処理なし
対物賠償保険
搭乗者傷害保険
自損事故保険
人身傷害補償保険
無保険者傷害保険

圧縮記帳について

 
圧縮記帳とは、法人が固定資産の損害に対して保険金を受け取り、その固定資産に代わる資産(代替資産)を取得した場合に、保険差益に対する課税を将来に繰り延べることができる法人税法上の制度です。
通常、固定資産の損害に対して受け取った保険金は益金に算入され、固定資産の滅失や損壊による損失は損金に算入されます。この際、受け取った保険金が損失額を上回ると、その超過部分について保険差益が発生し、課税対象となります。
しかし、保険差益に課税されると、受け取った保険金の全額を代替資産の取得資金に充てることが難しくなるため、その税負担を将来に繰り延べる制度として圧縮記帳が認められています。
なお、圧縮記帳は課税を免除する制度ではなく、課税を将来に繰り延べる制度である点に注意が必要です。
 

圧縮記帳の適用要件

 
圧縮記帳の適用を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 法人であること(個人および個人事業主は対象外)
  • 固定資産の滅失または損壊により保険金を受け取ること
  • 保険差益が発生していること
  • 棚卸資産(商品など)に対する保険金ではないこと
  • 保険金等を支払いが確定した日の属する事業年度の翌事業年度開始の日から原則として2年以内に、代替資産の取得または改良を行う見込みがあること
  • 対象資産の滅失または損壊から3年以内に保険金等の支払いが確定していること

 

圧縮限度額の計算式

 
圧縮限度額は、次の式により算出されます。
 

計算式_保険差益金の額

 
計算式_圧縮限度額

損害賠償金の経理処理と税金について(法人契約の場合)

 
損害賠償責任保険に基づいて支払われる損害賠償金の税務上の取扱いは、受取人が個人であるか法人であるかによって異なります。
 

受取人

税務上の取扱い

個人(被害者またはその遺族)

原則として非課税

法人

益金算入