給与所得
給与所得について
給与所得とは、勤務先から受ける給与等(俸給、給料、賃金、歳費、賞与など)に係る所得をいいます。残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当なども、原則として給与所得に含まれます。
ただし、次のような手当や経済的利益については、一定の要件を満たす場合に限り、非課税として取り扱われます。
- 通勤手当
役員または使用人に支給する通勤手当や通勤定期券等のうち、月額15万円以下のもの。 - 食事の支給
役員または使用人に支給する食事で、次の2つの要件を満たすもの。 - 本人が食事代の半額以上を負担していること。
- 「食事代 − 本人負担額」が月額3,500円(税別)以下であること。
- 旅費
転勤や出張などに伴い支給される旅費で、通常必要と認められる範囲内のもの。 - 宿直・日直手当
宿直料または日直料として支給されるもので、勤務1回につき4,000円以下のもの(食事の支給がある場合は、その食事代を控除した後の金額)。 - 創業記念品
創業記念として支給される記念品で、次の要件を満たすもの。 - 社会通念上、記念品として適当であること。
- 処分見込価額による評価額が1万円(税別)以下であること。
- 支給がおおむね5年以上の間隔で行われていること。
- 永年勤続記念品
永年勤続者に支給される記念品等で、次の要件を満たすもの。 - 勤続年数や地位などに照らし、社会通念上相当な範囲内であること。
- 勤続年数がおおむね10年以上であること。
- 同一人を2回以上表彰する場合は、前回の表彰からおおむね5年以上経過していること。
- 従業員レクリエーション旅行
使用者が従業員に実施するレクリエーション旅行で、従業員が受ける経済的利益が少額であり、次の要件を満たすもの。 - 旅行期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合は、海外での滞在日数が4泊5日以内であること)。
- 旅行参加者が全体の50%以上であること(工場・支店単位で実施する場合は、それぞれの職場において50%以上であること)。
給与所得の計算方法について
給与所得の金額は、次の算式により計算します。
給与所得 = 給与等の収入金額 − 給与所得控除額
ここでいう「給与等の収入金額」には、金銭による給与だけでなく、給与として受ける経済的利益も含まれます。
主な例として、次のようなものがあります。
- 商品等を無償または著しく低い価額で受け取ったことによる利益
- 土地や建物等を無償または低額で借り受けたことによる利益
- 金銭を無利息または低利息で借り受けたことによる利益
- ストックオプションの権利行使により得た利益
給与所得控除額
給与所得控除額は、給与等の年間収入金額に応じて定められています。
| 給与等の収入金額 |
2026(令和8)年分・2027(令和9)年分 |
2028(令和10)年分以降 |
|
| 本則 |
特例加算 | 本則 |
|
| 190万円以下 |
69万円 | 5万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 (69万円未満となる場合は、69万円) |
| 190万円超220万円以下 |
|||
| 220万円超360万円以下 |
収入金額 × 30% + 8万円 | 0円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
| 360万円超660万円以下 |
収入金額 × 20% + 44万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 | |
| 660万円超850万円以下 |
収入金額 × 10% + 110万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 | |
| 850万円超 |
195万円 | 195万円 | |
| 850万円超(子育て・介護世帯) |
195万円 + ( 収入金額 − 850万円 ) × 10%(上限210万円) | 195万円 + ( 収入金額 − 850万円 ) × 10%(上限210万円) | |
なお、2026(令和8)年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円へ引き上げられました。
また、給与等の収入金額が220万円以下の居住者については、特例として2026(令和8)年分および2027(令和9)年分の給与所得控除額に5万円が加算されます。
これらの改正は原則として2026(令和8)年12月1日に施行され、2026(令和8)年11月までの給与に対する源泉徴収税額には反映されません。そのため、改正内容は2026(令和8)年12月に実施される年末調整において反映されます。
所得金額調整控除
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者について、総所得金額等を計算する際に給与所得から一定額を控除できる制度です。
次の2つのケースがあります。
① 23歳未満の扶養親族や特別障害者等がいる場合
給与等の収入金額が850万円を超え、次のいずれかに該当する場合は、所得金額調整控除の適用を受けることができます。
- 本人が特別障害者である場合
- 23歳未満の扶養親族を有する場合
- 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場合
控除額は、次の算式により計算します。
所得金額調整控除額 = ( 給与等の収入金額 − 850万円 ) × 10%
※ 給与等の収入金額の上限は1,000万円です。
※ 控除額に1円未満の端数がある場合は切り上げます。
② 給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方がある場合
給与所得控除後の給与所得と公的年金等控除後の雑所得の合計額が10万円を超える場合は、所得金額調整控除の適用を受けることができます。
控除額は、次の算式により計算します。
所得金額調整控除額 = 給与所得控除後の給与所得 + 公的年金等控除後の雑所得 − 10万円
※ 給与所得控除後の給与所得および公的年金等控除後の雑所得それぞれの上限は10万円です。
※「23歳未満の扶養親族や特別障害者等がいる場合」の所得金額調整控除の適用があるときは、その適用後の給与所得から控除します。
特定支出控除
特定支出控除とは、給与所得者が支出した一定の費用(特定支出)の額の合計額が、その年分の給与所得控除額の2分の1を超える場合に、その超える部分の金額を給与所得から控除できる制度です。
主な特定支出は次のとおりです。
- 通勤のために通常必要と認められる通勤費
- 転勤に伴う転居費(一定の要件を満たすもの)
- 職務に必要な研修費
- 職務に必要な資格取得費
- 単身赴任者の帰宅旅費
- 職務に関連する図書費、衣服費、交際費等
- 出張等に伴う通常必要な旅費
など
なお、特定支出控除を受けるためには、原則として給与等の支払者による証明書の添付が必要です。
また、2023(令和5)年分以後は、研修費および資格取得費について、給与等の支払者による証明書に代えて、キャリアコンサルタントによる証明書の添付も認められています。
給与所得の税額の計算方法について
給与所得は総合課税の対象となり、給与所得以外の所得と合算して所得税額を計算します。
給与所得者については、通常、給与の支払時に所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。また、勤務先で年末調整が行われることにより、その年の税額が精算されるため、一定の場合を除き確定申告は不要です。
確定申告が必要となるケース
次のいずれかに該当する場合は、原則として確定申告が必要となります。