貯蓄型金融商品とは
 
貯蓄型金融商品とは、元本が保証されており、必要なときに自由に引き出すことができる預貯金のことを指します。
銀行に預けた場合は「預金」と呼ばれ、ゆうちょ銀行や農業協同組合(JA)などに預けた場合は「貯金」と呼ばれます。
利率と利回り
 
利率とは、元本に対する利息の割合を指します。
一方、利回り(年平均利回り)とは、元本に対して1年間で得られる収益の割合を示す指標です。
年平均利回りは、以下の式で計算されます。
 
 
               単利と複利
 
利息の計算方法には、単利と複利の2種類があります。
 
単利とは、預け入れた元本のみに対して利息がつく計算方法です。
計算式は以下のとおりです。
 
 
                
複利とは、元本に加えて、これまでに得た利息にも利息がつく計算方法です。利息が一定の期間ごとに元本に組み入れられるため、時間が経つほど利息が増えていきます。
 
1年複利(利息が年1回、元本に組み入れられる)の計算式は、以下のとおりです。
 
 
                
半年複利(利息が半年ごとに年2回、元本に組み入れられる)の計算式は、以下のとおりです。
 
 
               貯蓄型金融商品の種類
 
貯蓄型金融商品には、大きく分けて流動性預貯金と定期性預貯金の2種類があります。
流動性預貯金(銀行の金融商品)
 
流動性預貯金とは、預入期間の定めがなく、いつでも自由に出し入れができる預金のことです。
主な種類は以下のとおりです。
普通預金
 
期間の定めがなく、いつでも自由に出し入れができる預金です。
公共料金の自動引落しや、給与・年金・配当金などの自動受取に利用できます。ただし、残高が不足していると引落しができない場合があります。
そのような場合に備えて、普通預金口座を「総合口座」として設定しておくと、定期性預金などを担保に自動融資を受けることが可能です。
貯蓄預金
 
一定以上の残高がある場合、普通預金よりも高い金利が適用される預金です。ただし、金利水準によっては普通預金と同じになることもあります。
普通預金と同様に自由に出し入れできますが、公共料金の引落しや給与・年金の受取には利用できません。
当座預金
 
主に企業が決済用として利用する預金で、小切手や手形の支払資金として使われます。
利息はつきませんが、預金保険制度により全額が保護されます。
通知預金
 
短期間の資金運用に適した預金です。
引出しには、最低7日間の据え置き期間が必要で、少なくとも2日前に通知する必要があります。
納税準備預金
 
納税資金専用の預金で、利率は普通預金より高めに設定されており、利息は非課税です。
引出しは原則として納税目的に限られ、それ以外の用途で引き出すと課税対象となります。
定期性預貯金(銀行の金融商品)
 
定期性預貯金とは、一定期間資金を預けることで、利息を受け取ることができる金融商品です。
主な種類は以下の通りです。
スーパー定期預金
 
市場金利を基準に、各金融機関が自由に金利を設定できる定期預金です。
一般に、預入金額が300万円未満の場合は「スーパー定期」、300万円以上の場合は「スーパー定期300」と呼ばれ、金利に差が設けられています(同一金利の場合もあります)。
預入期間は1か月以上10年以内が一般的で、固定金利です。
個人の場合、預入期間が3年以上であれば「単利型」と「半年複利型」から選択可能ですが、企業は「単利型」のみ利用できます。
中途解約時には、所定の中途解約利率が適用されます。
大口定期預金
 
預入金額が1,000万円以上の定期預金で、市場金利を基準に金利が設定されます。
預入期間は1か月以上10年以内が一般的で、固定金利・単利型のみです。
中途解約時には、中途解約利率が適用されます。
積立定期預金
 
普通預金口座から毎月一定額を振替えて積み立てる定期預金です。
契約期間(積立期間+据置期間)は6か月以上5年以内が一般的で、固定金利が適用されます。
定期積金
 
あらかじめ決めた積立期間に、定期的に掛金を払い込み、満期時にまとまった給付金を受け取る金融商品です。
積立型の貯蓄方法として利用されます。
期日指定定期預金
 
預入後1年間の据置期間を経過すれば、満期日を自由に指定できる定期預金です。
預入期間は1年以上3年以内が一般的で、固定金利が適用されます。
利息は1年複利で計算されるため、長期間預けるほど有利です。
変動金利定期預金
 
一定期間ごと(一般的には6か月ごと)に金利が見直される定期預金です。
預入期間は1年以上3年以内が一般的です。
個人の場合、預入期間が3年以上であれば「単利型」と「半年複利型」から選択可能ですが、企業は「単利型」のみ利用できます。
中途解約時には、中途解約利率が適用されます。
ゆうちょ銀行の定期貯金と定額貯金
 
ゆうちょ銀行では、預入期間や積立方法に応じてさまざまな定期性貯金商品が用意されています。
主な商品は以下のとおりです。
定期貯金
 
あらかじめ預入期間を指定して預け入れる貯金です。
預入期間は「1か月・3か月・6か月・1年・2年・3年・4年・5年」から選択できます。
利息の計算方法は、預入期間が3年未満の場合は単利、3年以上の場合は半年複利です。
自動積立定期貯金
 
通常貯金から自動的・定期的に積み立てる定期貯金です。
預入期間は「3か月・6か月・1年・2年・3年・4年・5年」から選択でき、利息は定期貯金と同様に期間に応じて単利または半年複利となります。
積立方法は毎月一定額を積み立てる方法と、通常貯金の残高に応じて、上限額まで一定額の整数倍を積み立てる方法の2種類があります。
積立金額は1回あたり1,000円以上(1,000円単位)で、一般月と特別月で金額を分けて指定可能です。
積立期間は最初の積立日から最大6年以内、積立回数は最大108回(一般月+特別月)まで設定できます。
積立日は一般月・特別月それぞれ自由に設定可能です。
満期一括受取型定期貯金
 
通常貯金から自動的・定期的に積み立て、満期日に一括で受け取る定期貯金です。
預入期間は満期一括受取日の前日までで、利息は3年未満が単利、3年以上が半年複利です。
積立金額は1回あたり1,000円以上(1,000円単位)で、一般月と特別月で金額を分けて指定可能です。
積立期間は最初の積立日から1年以上3年以内、積立回数は最大54回まで設定できます。
積立日は自由に指定できますが、一般月と特別月は同一日である必要があります。
ニュー福祉定期貯金
 
障害基礎年金や遺族基礎年金などの受給者が利用できる、預入期間1年の定期貯金です。
預入金額は1,000円以上(1,000円単位)で、利用限度額(1,300万円)の範囲内で、一人あたり300万円が上限です。
一般の1年定期貯金の金利に年0.10%を上乗せした優遇金利が適用されます。
定額貯金
 
預入後6か月間の据置期間を経過すれば、自由に払い戻しが可能な貯金です。
最長預入期間は10年で、利息は半年複利で計算されます。
1口の預入金額は「1,000円・5,000円・1万円・5万円・10万円・50万円・100万円・300万円」の8種類から選択できます。
自動積立定額貯金
 
通常貯金から自動的・定期的に積み立てる定額貯金です。
据置期間は6か月間で、利息は半年複利です。
積立方法は毎月一定額を積み立てる方法と、通常貯金の残高に応じて、上限額まで一定額の整数倍を積み立てる方法の2種類があります。
1口の預入金額は定額貯金と同様に8種類から選択可能です。
積立期間は最初の積立日から最大6年以内、積立回数は最大108回(一般月+特別月)まで設定できます。
積立日は一般月・特別月それぞれ自由に設定可能です。
預貯金の利子にかかる税金
 
預貯金によって得られる利子は、利子所得として課税されます。
この利子所得には、以下の税率が源泉分離課税として一律に課されます。
所得税 (15.0%) + 復興特別所得税 (0.315%) + 住民税 (5.0%) = 20.315%
利子が支払われる際に、これらの税金が自動的に差し引かれるため、確定申告は原則不要です。