建築基準法
最終更新日: 2024-04-21

建築基準法とは

 
建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、それによって公共の福祉の増進に資することを目的とした法律です。


建築物の建築等に関する申請及び確認

 
建築主は、建築基準法により規定される一定の建築物を建築・増築しようとする場合、これらの建築物の大規模の修繕もしくは大規模の模様替をしようとする場合においては、当該工事に着手する前に、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければなりません。
 
建築主は、工事を完了したときは、建築主事の検査を申請しなければなりません。なお、検査の申請は、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければなりません。
 
建築主事又はその委任を受けた当該市町村もしくは都道府県の職員は、その申請を受理した日から7日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければなりません。建築主事等は、検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して検査済証の交付をしなければなりません。
 
当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、当該建築物もしくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはなりません。


用途制限

 
都市計画法では、住居系、商業系、工業系の3区分、計13種類の用途地域が定められています。
建築基準法では、その用途地域内で建築できる建物と建築できない建物を定めており、これを用途制限といいます。
建築物の敷地が2以上の用途地域にまたがる場合は、占める面積の大きい用途地域の用途制限が、敷地全体に適用されます。
 
用途地域と用途制限をまとめると、下表のとおりとなります。
 

 

住居系

商業系

工業系 備考

 

第一種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域

第一種住居地域

第二種住居地域

準住居地域

田園住居地域

近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域  

神社、寺院、教会、保育所、公衆浴場、診療所、巡査派出所、一定規模以下の郵便局、公衆電話所等

 

住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館、老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等

 

老人福祉センター、児童厚生施設等

▲600㎡以下

幼稚園、小学校、中学校、高等学校

 

大学、高等専門学校、専修学校、病院

 

ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場等

▲3,000㎡以下

カラオケボックス

▲10,000㎡以下

ホテル、旅館

▲3,000㎡以下

劇場、映画館、演芸場、観覧場等

▲客席の用途に供する部分の床面積200㎡未満

道路

 
建築基準法で規定される道路とは、幅員4m(特定行政庁が指定する区域内においては、6m以上のものをいいます。
 
なお、建築基準法の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したものは、道路とみなし、その中心線からの水平距離2m(指定された区域内においては、3m)の線をその道路の境界線とみなします。このような道路は、建築基準法第42条第2項で規定されていることから、2項道路ともいわれます。
 
ただし、当該道がその中心線からの水平距離2m未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離4mの線をその道路の境界線とみなします。
 
道路の境界線とみなされ後退した部分を敷地のセットバックといいます。
セットバック部分は、建蔽率や容積率の算定上の敷地面積に算入することができず、建築等もできません。
 
また、建築物の敷地は、道路(自動車専用道路を除く)に2m以上接しなければなりません。


容積率

 
容積率とは、建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことで、次の式で計算します。
 

容積率 (%) = 延べ面積 ÷ 敷地面積 ✕ 100

 
建築物の敷地が容積率の異なる地域にまたがる場合には、それぞれの地域の容積率に、敷地面積全体に対するそれぞれの地域における敷地面積の割合を乗じたものの合計が、その敷地の容積率となります。
 
なお、災害時を想定し、建築物の容積と道路の交通処理能力のバランスを取るため、前面道路の幅員12m未満の敷地の場合には、容積率に上限が設けられています。
 
また、2つ以上の道路に面している場合には、幅員の広い方の道路が前面道路となります。
 

次の①または②のうち、小さい方の容積率が適用されます。
①指定容積率
②前面道路の幅員 ✕ 法定定数

※前面道路が2項道路の場合、「幅員」は4mとなります。
※「法定乗数」は、用途地域の区分によって異なります。住居系用途地域内の建築物であれば4/1040%)、その他用途地域内の建築物であれば6/1060%)となります。


建蔽率

 
建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことで、次の式で計算します。
 

建蔽率 (%) = 建築面積 ÷ 敷地面積 ✕ 100

※同一敷地内に2以上の建築物がある場合には、その建築面積の合計となります。

 
建築物の敷地が建蔽率の異なる地域にまたがる場合には、それぞれの地域の建蔽率に、敷地面積全体に対するそれぞれの地域における敷地面積の割合を乗じたものの合計が、その敷地の建蔽率となります。
 
なお、次の要件を満たす場合には、建蔽率が緩和されます。
 

  1. 建蔽率の限度が8/10(80%)とされている地域外かつ防火地域内にある耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有する建築物
  2. 準防火地域内にある建築物で、耐火建築物準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有する建築物
  3. 特定行政庁が指定する角地内の建築物

 
上記1または2の要件を満たせば、元々の建蔽率に1/10(10%)加算されます。
上記3の要件を満たせば、元々の建蔽率に1/10(10%)加算されます。
よって、上記1または2と3の要件を満たせば、元々の建蔽率に2/10(20%)加算されることになります。
 
また、次の要件を満たす建築物には、建蔽率の制限がありません。
 

  • 建蔽率の限度が8/10(80%)とされている地域内で、防火地域内にある耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有する建築物
  • 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これに類するもの
  • 公園、広場、道路、川その他これらに類するものの内にある建築物で特定行政庁が、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したもの

防火地域と準防火地域

 
都市計画法においては、市街地における火災の危険を防止するため、防火地域又は準防火地域を指定しています。
建築基準法においては、これらの地域にある建築物の構造等に一定の制限を設けています。
建築物の敷地が、防火地域と準防火地域にまたがっている場合、原則として厳しい方防火地域)の規定が敷地全体に適用されます。
 
防火地域と準防火地域における建築物の構造の制限は、下表のとおりです。
 

地域

建築物の規模等

構造の基準

防火地域

階数が3階以上または延べ面積が100㎡超

原則として耐火建築物

上記以外

原則として耐火建築物または準耐火建築物

準防火地域

地階を除く階数が4階以上または延べ面積が1,500㎡超

原則として耐火建築物

上記以外で、延べ面積が500㎡超1,500㎡以下

原則として耐火建築物または準耐火建築物

上記以外で、地階を除く階数が3階

耐火建築物、準耐火建築物または外壁の開口部の構造および面積、主要構造部の防火の措置等が防火上必要な一定の技術的基準に適合する建築物

上記以外で、木造(準耐火建築物を除く)の建築物

外壁および軒裏で延焼の恐れのある部分を防火構造とすること等


絶対高さ制限

 
低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないように、第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはいけません。


斜線制限

 
斜線制限とは、地面から斜線を引き、その内側にしか建築を認めないとする、建築物の高さ制限のことです。採光や通風等を確保し、良好な住居の環境を保つことを目的としています。
 
斜線制限には、次の3種類の制限があります。

道路斜線制限

 
道路斜線制限とは、採光や通風等を確保し、ビルの谷間をつくらないために、建築物の高さを前面道路の幅員との関係で、それぞれの用途地域及び容積率の限度の区分に応じて制限するものです。
道路斜線制限は、都市計画区域内及び準都市計画区域内のすべての区域(用途地域の指定のない区域も含む)に適用されます。

隣地斜線制限

 
隣地斜線制限とは、隣地の採光や通風等を確保するために、建築物の高さを建築物から隣地境界線までの距離によって、用途地域に応じて制限するものです。
ただし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内には、10m又は12mの高さ制限があるので、隣地斜線制限は適用されません。

北側斜線制限

 
北側斜線制限とは、北側にある建築物の日照等を確保するため、建築物の高さを前面道路の反対側の境界線又は隣地境界線までの真北方向の水平距離によって制限するものです。
特に日照を確保するための制限であるため、第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域田園住居地域第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域(日影に関する条例が定められている区域は除く)内のみに適用されます。


日影規制

 
日影規制とは、日影を一定の時間内に抑えるように建築物の形態を制限して周辺の居住環境を保つことを目的とした建築基準法上の規制のことです。
日照の確保を目的とした建築物の高さについての制限という点では、斜線制限と共通します。
ただし、どの区域を対象区域とし、どのようなの制限内容とするかは地方公共団体の条例で定めるため、条例の指定がない限り、日影規制は適用されません。
また、商業地域、工業地域、工業専用地域には、原則として日影規制は適用されません。


用途地域ごとの高さ制限

 
用途地域ごとに適用される高さ制限をまとめると、下表のとおりです。
 

 

住居系

商業系

工業系 その他

 

第一種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域

第一種住居地域

第二種住居地域

準住居地域

田園住居地域

近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 無指定地域 

絶対高さ制限

         

 

 

       

道路斜線制限

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隣地斜線制限

 

 

 

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北側斜線制限

     

 

 

       

日影規制

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