外貨建て金融商品のきほん
最終更新日: 2025-11-01

外貨建て金融商品について

 
外貨建て金融商品とは、米ドルやユーロなど、外国の通貨で取引される金融商品のことを指します。これらの商品は、為替レート(外国通貨と円の交換比率)の変動によって、円に換算した際の受取額が変動します。
たとえば、購入時よりも円高(円の価値が上がる)になると、外貨を円に換算したときの金額が少なくなり、為替差損が発生する可能性があります。逆に、円安(円の価値が下がる)になると、円での受取額が増え、為替差益を得られることがあります。
為替レートには、以下の3つの種類があります。

  • TTS(Telegraphic Transfer Selling Rate):円を外貨に換えるときの為替レート(金融機関が外貨を「売る」レート)
  • TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate):売買の中間にあたる基準レート
  • TTB(Telegraphic Transfer Buying Rate):外貨を円に換えるときの為替レート(金融機関が外貨を「買う」レート)

これらのレートを理解することで、外貨建て商品のリスクとリターンをより正確に把握することができます。
 
TTSとTTBは、次のように覚えましょう!
 

FP検定語呂合わせ暗記_TTSとTTB

外貨建て金融商品の種類について

 
外貨建て金融商品には、さまざまな種類があり、それぞれ特徴やリスクが異なります。主な商品は以下のとおりです。

外貨預金 

 
外貨預金とは、米ドルやユーロ、英ポンドなどの外国通貨で預け入れる預金です。海外の高金利を享受できる可能性があるほか、為替差益を得られることもあります。ただし、為替の変動によっては差損が生じることもあり、さらに日本の預金保険制度の対象外である点には注意が必要です。
利息は利子所得として源泉分離課税の対象となり、為替予約の有無によって為替差損益の課税方法が異なります予約がない場合は雑所得として総合課税予約がある場合は雑所得として源泉分離課税となります。

外貨建てMMF(Money Market Fund)

 
外貨建てMMFは、外貨建ての公社債や短期金融商品を中心に運用される投資信託で、株式は含まれません。申込手数料が無料で、いつでもペナルティなしで換金できるため、流動性の高い商品とされています。取引には証券会社などで外国証券取引口座の開設が必要ですが、口座管理料はかかりません。
売却によって得られる為替差益は、譲渡所得として申告分離課税の対象となります。

外国債

 
外国債とは、発行者、発行場所、または通貨のいずれかが外国である債券を指します。取引には外国証券取引口座の開設が必要です。
外国債には以下のようないくつかの種類があります。

  • ショーグン債外貨建てで、外国の発行者日本国内で発行
  • サムライ債円建てで、外国の発行者日本国内で発行
  • デュアルカレンシー債:払込み・利払いと償還の通貨が異なる
  • リバース・デュアルカレンシー債:払込み・償還と利払いの通貨が異なる

利息は利子所得として課税され、外国で源泉徴収された税金がある場合は、その分を差し引いた金額に対して課税されます。
確定申告を行えば、外国税額控除の適用により、一定の範囲で日本の所得税や住民税から控除することが可能です。
さらに、償還差益や売買益は譲渡所得として申告分離課税の対象となります。

外国株式

 
外国株式とは、外国籍の企業が発行する株式のことです。取引するためには、証券会社などで外国証券取引口座を開設する必要があります。
配当金は配当所得として源泉徴収され、売却益は譲渡所得として申告分離課税の対象となります。

外国籍投資信託

 
外国籍投資信託とは、外国の法令に基づいて設立された投資信託です。
売却によって得られる為替差益は、譲渡所得として申告分離課税の対象となります。

外国為替証拠金取引(FX)

 
外国為替証拠金取引(FX)とは、証拠金を担保に外国通貨を売買する先物取引の一種で、少額の証拠金で数十倍の取引が可能なため、ハイリスク・ハイリターンの性質を持ちます。
収益は先物取引に係る雑所得として扱われ、損失が生じても他の所得との損益通算はできません。申告分離課税の対象となるため、確定申告が必要です。