最終更新日: 2024-01-14

相続税

 
相続税のイメージ

  相続税とは

 
相続税とは、 相続や遺贈によって、一定の金額以上の財産を得た場合に課せられる税金のことです。


  相続税の納税義務者

 
相続税は、 原則として相続人である個人に対して課税されます。
社団や公益法人等も個人とみなされ相続税が課される場合があります。
 
相続税の納税義務者と課税対象の範囲は、財産取得時の住所や財産の所在等により、下表のとおりとなります。
 

区分

納税義務者

課税対象の範囲

居住無制限納税義務者

相続または遺贈により財産を取得し、その取得時に日本国内に住所がある個人

国内、国外を問わず所得した財産のすべてが課税対象

非居住無制限納税義務者

相続または遺贈により財産を取得し、その取得時に日本国内に住所がない人のうち、日本国籍があり、かつ相続開始前10年以内に被相続人または相続人いずれかが日本国内に住んだことがある個人

制限納税義務者

相続または遺贈により財産を取得し、その取得時に日本国内に住所がない人のうち、非居住無制限納税義務者に該当しない個人

国内財産のみが課税対象


  相続税の計算

 

その1:課税価格の計算

 
課税価格は、相続または遺贈等により取得した財産に、みなし相続財産を加算し、非課税財産を控除し、相続時精算課税制度により取得した贈与財産を加算し、債務および葬儀費用を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産を加算し、求めます。 


  相続財産

 
相続税の課税対象となる相続財産は、次のとおりです。

本来の相続財産

 
本来の相続財産とは、被相続人が生前に所有していた財産のことで、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋、ゴルフ会員権等のほか、貸付金、特許権、著作権等、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれます。

みなし相続財産

 
みなし相続財産とは、本体の相続や遺贈で取得した財産だけでなく、実質的に相続や遺贈で取得したと同様の効果を生ずるもののことです。
主なみなし相続財産は、次のとおりです。
 
生命保険契約・損害保険契約に基づく死亡保険金
被相続人の死亡により相続人その他の者が受ける保険金で、保険料を被相続人が負担したものです。
ただし、被相続人の死亡により受ける保険金であっても、保険料を受取人が負担している場合には、一時所得として所得税の課税対象となります。
また、保険料を被相続人または受取人以外の者が負担している場合には、贈与税の課税対象となります。
 
死亡退職金
被相続人に支給されるべきであった退職手当金等で、その死亡後3年以内に相続人その他の者が支給を受けるものが該当します。
なお、死亡後3年超に支給が確定した場合は、受取人の一時所得として所得税の課税対象となります。
また、被相続人の雇用主から弔慰金等の名目で支給されたものであっても、死亡当時における賞与以外の給与額の半年分の額(業務上の死亡であるときは3年分の額)を超える部分は、退職手当金に該当するものとして取り扱われます。
 
生命保険契約に関する権利
保険事故が発生していない生命保険契約で、被相続人が保険料を負担し、かつ被相続人以外の者が契約者であるものが該当します。
 
特別寄与料
特別寄与者が特別寄与料として支払いを受けるべきものが該当します。

相続時精算課税制度による贈与財産

 
以下のリンクをご確認ください。
 

相続開始前3年以内の贈与財産(生前贈与加算)

 
生前贈与加算とは、被相続人から相続開始前3年以内(加算期間)に暦年課税によって贈与を受けた場合に、その財産の贈与時の価額を相続財産に加算する制度のことです。
暦年贈与の基礎控除額110万円以下で贈与を受けた財産についても、加算期間内であれば相続税が課税されます。
 
2023年度税制改正では、この加算期間が3年以内から7年以内に延長されることになります。
ただし、延長した4年間(相続開始前3年超7年以内)に受けた贈与については、贈与財産の価額の合計額から100万円までが控除されます。
経過措置により、相続開始日が2027(令和9)年1月以後、加算期間は段階的に延長され、加算期間が7年となるのは2031(令和13)年1月以後となります。
2026(令和8)年12月31日以前に相続開始の場合の加算期間は3年であり、今回の改正の影響を受けません。
 
生前贈与加算期間の段階的延長のイメージは、下図のとおりです。
 

生前贈与加算期間の段階的延長

  相続財産から差し引くもの

 
相続財産から差し引くことができるものは、次のとおりです。

非課税財産

 
次のような財産は、相続税の課税対象とはなりません。
 

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具、祭具等の日常礼拝している物
  • 相続によって受け取った生命保険金のうち、500万円 × 法定相続人の数 の金額までの部分
  • 相続によって受け取った死亡退職金のうち、500万円 × 法定相続人の数 の金額までの部分
  • 相続によって受け取った弔慰金のうち、
    • 業務上の死亡の場合、死亡時の普通給与 × 36か月 の金額までの部分
    • 業務上の死亡でない場合、死亡時の普通給与 × 6か月 の金額までの部分

控除対象となるもの 

 
控除対象となる主なものは、次のとおりです。
 

  • 借入金や未払いの利息
  • 治療費、入院費等、未払いの医療費
  • 所得税、住民税、固定資産税等、未払いの税金
  • 葬儀費用(通夜、本葬費用、読経料)
  • 火葬料、埋葬料、納骨料、布施料
  • 遺体運搬費用
  • 死体捜索費用

控除対象とならないもの 

 
控除対象とならない主なものは、次のとおりです。
 

  • 生前に購入した墓地、仏壇等の未払金
  • 墓地、仏壇、仏具の購入費用
  • 遺言執行費用
  • 相続税の申告を依頼した税理士費用
  • 遺産分割協議での弁護士費用
  • 相続した不動産の登記費用
  • 相続した不動産の測量・調査費用
  • 香典返礼費用
  • 初七日、四十九日、一周忌等の法要費用
  • 遺体解剖費用

  法定相続人の数

 
法定相続人とは、民法で規定された相続する権利を持つ者のことです。
相続税の控除額や非課税額の計算の基となる法定相続人の数については、民法とは異なる独自のルールがあります。

養子がいる場合

 
法定相続人の数に算入することができる養子の数は、
 

  • 被相続人に実子がいる場合は、1人
  • 被相続人に実子がいない場合は、2人

 
と制限されています。
 
ただし、次に定める養子実子とみなされ、養子についての人数制限の対象外となります。
 

  • 特別養子縁組による養子
  • その被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子となった者
  • 被相続人との婚姻前に被相続人の配偶者の特別養子縁組による養子となった者で、婚姻後にその被相続人の養子となった者
  • 実子または養子の代襲相続人となったその人の直系卑属

相続の放棄があった場合

 
相続の放棄があっても、相続の放棄をした法定相続人は数に算入されます。


  相続税の計算

 

その2:相続税の総額の計算

 
相続税の総額は、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いた後の課税遺産総額を、被相続人の法定相続人法定相続分で相続すると仮定して按分します。
 
次に、按分した金額から、相続税の税額速算表を基に、各相続人の算出税額を計算し、その額を合計して求めます。


  遺産に係る基礎控除額

 
遺産に係る基礎控除額は、次の式で計算します。
 

遺産に係る基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 


  相続税の税額速算表

 
法定相続分に応じた所得金額に対する税率と控除額は、下表のとおりです。
 

法定相続分に応じた取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

1,000万円超 3,000万円以下

15%

50万円

3,000万円超 5,000万円以下

20%

200万円

5,000万円超 1億円以下

30%

700万円

1億円超 2億円以下

40% 1,700万円

2億円超 3億円以下

45% 2,700万円

3億円超 6億円以下

50% 4,200万円

6億円超

55% 7,200万円

  相続税の計算

 

その3:各人の納付税額の計算

 
相続税の計算その2で計算した相続税の総額に、各人が実際に受け取った課税価格の割合を掛けて各人の算出税額を計算します。
 


  相続税額の2割加算

 
相続、遺贈、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した者が、被相続人の配偶者、1親等の血族(子、父母)、代襲相続人となった被相続人の直系卑属(孫、曾孫等)以外の者である場合には、その者の実際の財産取得割合に応じた算出税額の2割に相当する金額が加算されます。
 

相続税の加算額 = 実際の取得割合に応じた算出税額 × 20%

 
なお、被相続人の配偶者や1親等の血族は、相続を放棄した場合でも相続税額の2割加算の適用はありませんが、被相続人の代襲相続人となる直系卑属が相続を放棄した場合には、相続税額の2割加算の適用があります。


  税額控除

 
相続税の税額控除となる主なものは、次のとおりです。 

贈与税額控除

 
贈与税額控除については、以下のリンクをご確認ください。
 

配偶者の税額軽減

 
配偶者の相続税額の軽減とは、被相続人の配偶者が相続や遺贈によって取得した相続財産が、法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか多い金額までは相続税が課税されない制度のことです。
 
配偶者の税額軽減の主な適用要件は、次のとおりです。
 

  • 法律上の婚姻関係にあること(婚姻期間は問われませんが、内縁関係にある人には適用されません)
  • 配偶者の税額軽減により税額が0円となる場合でも相続税の申告書を申告期限までに提出すること
  • 申告期限までに遺産分割が決まり、配偶者の相続財産が確定していること

 
軽減される税額は、次の式で計算します。
 

未成年者の税額控除

 
相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であり、18歳未満である場合、未成年者控除を受けることができます。
 
控除額は、次の式で計算します。
 

未成年者控除額 = ( 18歳 − 相続開始時の年齢 ) × 10万円

※年数の計算にあたり、1年未満の期間があるときは、切り上げて1年として計算します。

 
また、未成年者本人の相続税額から未成年者控除額の全額を控除しきれない場合には、控除しきれない金額を、その未成年者の扶養義務者の相続税額から控除することができます。 

障害者の税額控除

 
相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であり、85歳未満障害者の場合、障害者控除を受けることができます。 
 
控除額は、次の式で計算します。
 

障害者控除額 = ( 85歳 − 相続開始時の年齢 ) × 10万円

※年数の計算にあたり、1年未満の期間があるときは、切り上げて1年として計算します。 
※特別障害者の場合は、式中の「10万円」が「20万円」となります。

相次相続控除

 
被相続人の相続開始前10年以内に開始した相続(第1次相続)において、その被相続人が財産(相続時精算課税制度の適用を受けた受贈財産を含む)を取得しているときは、その被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人については、第1次相続から第2次相続までの期間に応じて、一定の相続税額が相次相続控除として控除されます。
具体的には、第1次相続から第2次相続までの期間が1年未満で全額、1年以上2年未満で9割の軽減となり、以下1年きざみで軽減割合が1割ずつ少なくなります。
相次相続控除の適用対象者は被相続人の相続人に限られており、相続の放棄をした人および相続権を失った人については、遺贈により財産を取得しても、相次相続控除は適用されません。

外国税額控除

 
外国にある被相続人の財産を取得し、その国で相続税に相当する税が課された場合、二重課税を防止するため、一定額を控除することができます。


  相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

 
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例とは、相続、遺贈、死因贈与により取得した土地、建物、株式等の財産を、一定期間内に譲渡した場合、その人に対する相続税額のうち一定額が譲渡資産の取得費に加算される制度のことです。
 
この特例の主な適用要件は、次のとおりです。
 

  • 相続、遺贈、死因贈与により財産を取得した人であること
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること
  • その財産を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日までに譲渡していること

 
取得費に加算される金額は、次の式で計算します。
 


  相続税の申告

 
相続や遺贈によって財産を取得した人は、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署長に相続税申告書の提出が義務付けられています。
申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に提出しなければなりません。
 
なお、相続財産が基礎控除以下の場合には、申告は不要です。
ただし、配偶者の税額軽減の特例小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、納付金額が0円でも申告が必要となります。
 
また、申告期限までに遺産分割協議が完了しなかった場合でも、一応各相続人が法定相続分の割合で相続があったものと仮定して申告し、納税しなければなりません。
その後、分割が決まった時点で、実際の取得財産に基づいて修正申告または更正の請求を行い、精算します。
 
申告期限までに遺産分割が決まらない場合、配偶者の税額軽減の特例小規模宅地等の特例を受けることはできませんので、税額軽減がないものとして申告(申告期限後3年以内の分割見込書を申告書に添付します)し、納税します。
申告期限から3年以内に遺産分割が行われた場合には、修正申告または更正の請求を行うことで、特例の適用を受けることができます。


  申告内容が間違っていた場合等の手続き

 
申告内容が間違っていた場合等の手続きには、次のようなものがあります。

修正申告

 
申告書を提出した後に、税額を少なく申告していたことに気づいたときは、修正申告をして正しい税額に修正することができます。
修正申告によって新たに納付することになった税額は、修正申告書を提出する日(納期限)までに納めなければなりません。
この納付する税額には、法定納期限の翌日から完納する日までの期間について延滞税がかかりますので、併せて納付します。

更正の請求

 
申告書を提出した後に、納付すべき税額が過大であるときは、更正の請求という手続きをしてその訂正を求めることができます。
相続税の更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
 
贈与税の更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から6年以内なので混同しないように注意してください。


  所得税の準確定申告

 
被相続人が年の途中で死亡した場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、被相続人の死亡時における住所地の所轄税務署長に、準確定申告書を提出し所得税を納税します。
納税した所得税は、相続財産から債務として控除することができます。


  相続税の納付

 
相続税は、申告書の提出期限までに、金銭一括納付が原則です。
ただし、一定の要件を満たせば、延納物納も認められています。

相続税の延納

 
次の要件をすべて満たす場合には、延納申請をすることができます。
 

  • 相続税額が10万円超であること
  • 金銭で納付することを困難とする事由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
  • 延納税額および利子税額に相当する担保を提供すること
    ただし、延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以下である場合には、担保を提供する必要はない
  • 申告期限までに延納申請書と担保提供関係書類を提出し、所轄税務署長に承認を得ること

 
なお、延納の担保として提供できる財産の種類は、次のものに限られます。
 

  • 国債、地方債
  • 社債その他の有価証券で、税務署長が確実と認めるもの
  • 土地
  • 建物、立木、登記された船舶等で、保険に付したもの
  • 税務署長が確実と認める保証人の保証

 
相続税の延納期間は、下表のとおりです。
 

区分

延納期間(最高)

不動産等の割合が75%以上

①動産等に係る延納相続税額

10年

②不動産等に係る延納相続税額(③を除く)

20年

③森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額

20年

不動産等の割合が50%以上75%未満

④動産等に係る延納相続税額

10年

⑤不動産等に係る延納相続税額(⑥を除く) 15年
⑥森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 20年
不動産等の割合が50%未満 ⑦一般の延納相続税額(⑧、⑨、⑩を除く) 5年
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木に係る延納相続税額(⑩を除く) 5年
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額 5年
⑩森林計画立木の割合が20%以上の森林計画立木に係る延納相続税額 5年

相続税の物納

 
次の要件を満たす場合には、物納申請をすることができます。
 

  • 延納によっても金銭で納付することが困難とする事由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること

 
物納できる財産の種類とその順位は、次のとおりです。
 

  • 第1順位:国債、地方債、不動産、船舶、株式・社債・証券投資信託の受益証券・貸付信託の受益証券等のうち、上場しているもの(上場株式等)
  • 第2順位:株式・社債・証券投資信託の受益証券・貸付信託の受益証券で第1順位以外のもの(非上場株式等)
  • 第3順位:動産

 
不動産や株式には、物納に不適合な要件があるため注意が必要です。
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は、物納に充てることはできません。
また、物納財産を国が収納するときの価額は、原則として相続税の課税価格計算の基礎となったその財産の価額になります。
なお、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額となります。

特定物納制度

 
延納の許可を受けた後、延納による納付が困難になった場合には、申告期限から10年以内に限り、延納から物納に変更することができます。
また、物納の許可を受けた後に金銭一括納付や延納が可能になった場合には、物納の許可を受けた日の翌日から1年以内に限り、物納を撤回することができます。