最終更新日: 2024-03-13

給与所得

 
給与所得のイメージ

給与所得とは

 
給与所得とは、給与等(俸給、給料、賃金、歳費、賞与等)、事業専従者控除額、青色事業専従者給与の所得のことです。
残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等も給与所得となります。
 
ただし、次のような手当等は、例外として非課税となります。
 

  • 役員や使用人に支給する通勤手当や通勤定期券等のうち、月15万円以下のもの

  • 役員や使用人に支給する食事のうち、次の2つの要件を満たしているもの
    • 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
    • 「食事の価額 − 役員や使用人が負担している金額」が1か月あたり3,500円(税別)以下であること

  • 転勤や出張等のための旅費のうち、通常必要と認められるもの

  • 宿直や日直の手当のうち、勤務1回につき4,000円(食事の支給がある場合には、4,000円からその食事の価額を除いた金額)以下のもの

  • 創業記念で支給する記念品のうち、次の3つの要件を満たしているもの
    • 支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること
    • 記念品の処分見込価額による評価額が1万円(税別)以下であること
    • 創業記念品のように一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること

  • 永年勤続者に支給する記念品等のうち、次の3つの要件を満たしているもの
    • その人の勤続年数や地位等に照らして、世間一般で行われている金額以内であること
    • 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること
    • 同じ人を2回以上表彰する場合には、前回からおおむね5年以上の間隔があいていること

  • 従業員レクリエーション旅行のうち、従業員に供与する経済的利益の額が少額であり、かつ次の2つの要件を満たしているもの
    • 旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
    • 旅行に参加した人数が全体の人数の半分以上であること(工場や支店ごとに行う旅行の場合には、それぞれの職場ごとの人数の半分以上が参加すること)

給与所得の計算

 
給与所得の金額は、次の式で計算します。
 

給与所得 = 収入金額 − 給与所得控除額

 
支給される金銭のほか、次のような経済的利益も収入金額に含まれます。
 

  • 商品等を無償または低い価額で譲り受けたことによる経済的利益
  • 土地、建物等を無償または低い使用料で借り受けたことによる経済的利益
  • 金銭を無利息または低い利息で借り受けたことによる経済的利益
  • ストックオプションの権利行使益

給与所得控除額

 
給与所得控除額は、その年の収入金額に応じて、下表のとおりとなっています。
 

給与等の収入金額

給与所得控除額

1,625,000円以下

550,000円

1,625,000円超 1,800,000円以下

収入金額 × 40% − 100,000円

1,800,000円超 3,600,000円以下

収入金額 × 30% + 80,000円

3,600,000円超 6,600,000円以下

収入金額 × 20% + 440,000円

6,600,000円超 8,500,000円以下

収入金額 × 10% + 1,100,000円

8,500,000円超

1,950,000円(上限)

所得金額調整控除

 
所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除するものです。
 
所得金額調整控除には、
 

  1. 子どもや特別障害者等がいる場合
  2. 給与所得と年金所得の両方の所得がある場合

 
の2種類があります。
 
1.子どもや特別障害者等がいる場合
その年の給与等の収入金額が850万円で、次のいずれかの要件に当てはまる場合は、所得金額調整控除額を給与所得から控除します。
 

  • 本人が特別障害者である
  • 23歳未満の扶養親族がいる
  • 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

 
所得金額調整控除額は、次の式で計算します。
 

所得金額調整控除額 = ( 給与等の収入金額 − 850万円 ) × 10%

※「給与等の収入金額」の上限は、1,000万円です。
※1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。

 
2.給与所得と年金所得の両方の所得がある場合
その年の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円である人は、所得金額調整控除額を給与所得から控除します。
 
所得金額調整控除額は、次の式で計算します。
 

所得金額調整控除額 = 給与所得控除後の給与等の金額 + 公的年金等控除後の公的年金等に係る雑所得の金額 − 10万円

※「給与所得控除後の給与等の金額」の上限は、10万円です。
※「公的年金等控除後の公的年金等に係る雑所得の金額」の上限は、10万円です。

 
なお、子どもや特別障害者等がいる場合の所得金額調整控除の適用がある場合は、その適用後の給与所得の金額から給与所得と年金所得の両方の所得がある場合の所得金額調整控除額を差し引きます。

特定支出控除

 
主な特定支出とは、
 

  • 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
  • 職務に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
  • 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
  • 職務に直接必要な資格を取得するための支出
  • 単身赴任等の場合で、勤務地と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
  • 職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費および職務に通常必要な交際費等にかかる支出
  • 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅費等で通常必要な支出のうち一定のもの
    など

 
のことです。
 
その年の特定支出の金額の合計額が、給与所得控除額の1/2に相当する金額を超える場合は、確定申告により、その超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。
 
なお、2023(令和5)年分以後は、研修費(教育訓練に係る部分に限る)や資格取得費(教育訓練に係る部分に限る)の支出については、給与等の支払者だけでなく、キャリアコンサルタントが特定支出に該当する旨の証明をし、その発行された証明書を確定申告書等に添付することで、特定支出控除の適用を受けることが可能です。


給与所得の税額の計算

 
給与所得は、総合課税の対象となり、確定申告が必要です。
ただし、毎月の給与支給時に源泉徴収されますので、他に所得がなければ、勤務先において行われる年末調整により確定申告が不要となります。
 
なお、次のいずかれに該当する場合には、確定申告が必要です。
 

  • 給与の年間収入金額が2,000万円の場合
  • 給与所得や退職所得以外の年間所得が20万円の場合
  • 複数の会社から給与を受けている場合
  • 同族会社の役員等で、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料等を受け取っている場合
  • 災害減免法により源泉徴収の猶予等を受けている場合
  • 源泉徴収義務のない者から給与等の支払いを受けている場合
  • 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる場合