公的医療保険
最終更新日: 2024-10-12

公的医療保険の分類

 
公的介護保険には、自営業者や無職の人とその世帯に属する人等、他の医療保険制度に加入しない人が加入する国民健康保険と、会社員や公務員とその被扶養者が加入する被用者保険があります。
そして、原則として75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度があります。
日本国内に住所がある人は、原則としていずれかの公的医療保険に加入することとなり、これを国民皆保険といいます。
なお、被用者保険には、民間企業に勤めている会社員等とその被扶養者が加入する健康保険、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員とその被扶養者が加入する共済組合等があります。
 
公的医療保険についてまとめると、下表のとおりです。
 

 

被用者保険

地域保険

後期高齢者医療制度

健康保険 共済組合等

国民健康保険

加入者

会社員等とその被扶養者

公務員等とその被扶養者

自営業者や無職の人とその世帯に属する人

75歳以上の人 ※

保険者

全国健康保険協会または健康保険組合

共済組合等

都道府県と市区町村で共同保険者となるか、国民健康保険組合

後期高齢者医療広域連合

※65歳から74歳で一定の障害がある人は、申請をすることで後期高齢者医療制度へ加入することができます。


健康保険

 
健康保険とは、会社等で働く人(被保険者)とその家族(被扶養者)が、病気、怪我、死亡、出産したときに医療給付や手当金等を支給して、生活を安定させることを目的とした医療保険制度のことです。

健康保険の被保険者の要件

 
健康保険の被保険者の主な要件は、次のとおりです。
 

  • 1週間の所定労働時間および1か月間の所定労働日数が同一事業所に使用される通常の労働者の3/4以上である人

 
上記要件に該当しない場合、次の要件をすべて満たす必要があります。
 

  • 所定労働時間が週20時間以上であること
    ※所定労働時間が月単位や年単位で定められている場合は、週単位に換算します。
  • 所定内賃金が月額88,000円以上であること
    ※基本給及び諸手当の金額で判断し、次に掲げる賃金は含まれません。
    • 結婚手当等の臨時に支払われる賃金
    • 賞与等1月を超える期間ごとに支払われる賃金
    • 割増賃金等の時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払われる賃金
    • 通勤手当や家族手当等の最低賃金法において賃金に算入しないことが定めれれている賃金
  • 雇用期間が2か月を超えて見込まれること
  • 学生でないこと
    ※次に掲げる者は、社会保険加入の対象者となります。
    • 通信制課程に在学している者
    • 大学の夜間学部・高等学校の夜間または定時制課程に在学している者
    • 休学中の者
  • 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤務していること

 
特定適用事業所とは、事業主が同一である1または2以上の適用事業所で、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人超の事業所のことです(2024年10月からは常時50人超に改正されます)。
「事業主が同一である1または2以上の適用事業所」とは、法人事業所(株式会社、社団・財団法人、独立行政法人等)の場合、法人番号が同一である本社、支社、工場、営業所等すべての適用事業所のことを指し、それぞれの事業所で働く被保険者の数を合算して判断します。
個人事業所(人格なき社団等を含む)の場合は、個人事業主が同一である適用事業所で働く被保険者数を合算して判断します。
なお、国に属する事業所と地方公共団体に属する事業所は、事業所の規模にかかわらず、特定適用事業所となります。
 
任意特定適用事業所とは、特定適用事業所以外の適用事業所で、労使合意(適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者および短時間労働者の過半数の同意)に基づき、短時間労働者を健康保険・厚生年金保険の適用対象とする申し出をした適用事業所のことです。
 
特定適用事業所となった後に、被用者保険の被保険者(短時間労働者を除く)の総数が一定数(2024年9月までは常時100人)を超えなくなった場合でも、引き続き特定適用事業所とみなされることとなります。
ただし、特定適用事業所の事業主は、労使合意(適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者および短時間労働者の3/4以上の同意)に基づき、特定適用事業所の不該当の届出をすることができます。
なお、任意特定適用事業所についても、労使合意(適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者および短時間労働者の3/4以上の同意)に基づき、特定適用事業所の取消の申し出をすることができます。

健康保険の被扶養者の要件

 
健康保険の被扶養者の主な要件は、次のとおりです。
 

  • 被保険者の同一生計親族等(事実婚関係にある人を含む)であること
  • 日本国内に住所を有すること
  • 年収130万円未満(60歳以上または一定の障害者は、180万円未満)であること
  • 同居の場合、被保険者の年収1/2未満であること
  • 別居の場合、被保険者からの仕送り額よりも少ないこと

健康保険の保険者

 
健康保険の保険者には、全国健康保険協会管掌健康保険協会けんぽ)の保険者である全国健康保険協会と、組合管掌健康保険組合健保)の保険者である健康保険組合の2種類があります。
 
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、自社の健康保険組合を持たない企業の従業員とその被扶養者が加入します。
加入・脱退等の手続きは、事業所管轄の年金事務所等で行います。
 
健康保険組合は、企業単独もしくは複数の企業がグループとなって設立し、運営します。
組合管掌健康保険(組合健保)には、それら企業の従業員とその被扶養者が加入します。
加入・脱退等の手続きは、各健康保険組合で行います。

健康保険の保険料 

 
健康保険の加入者が、保険給付の財源として保険料を支払います。
保険料には、健康保険事業に係る一般保険料と、40歳以上65歳未満の人が支払う介護保険事業に係る介護保険料があります。
保険料は、報酬賞与をもとに計算し、徴収されます。
毎月の保険料は、標準報酬月額を基礎として計算します。
標準報酬月額とは、被保険者が受け取る報酬の月額を、全50等級区分のいずれかにあてはめたものとなります。
賞与については、標準賞与額を基礎として保険料が計算されます。
標準賞与額とは、賞与額から千円未満を切り捨てた額となります。
ただし、標準賞与額のその年度(4月1日〜翌年3月31日)における累計額には573万円の上限が設けられており、これを超えた賞与には保険料はかかりません。
全国健康保険協会の一般保険料率は、都道府県ごとに設定され(介護保険料は、全国一律)、事業主と被保険者で保険料を折半します。
健康保険組合の一般保険料率は、被保険者と事業主の負担割合を組合規約で定めることができます。
また、産前産後休業期間と満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間の保険料は、事業主の申出により、被保険者負担分および事業主負担分とも免除されます。


健康保険の給付の種類

 
健康保険の給付の種類は、下表のとおりです。 
 

区分

給付の種類

被保険者

被扶養者

被保険者証で治療を受けるとき

療養の給付
入院時食事療養費
入院時生活療養費
保険外併用療養費
訪問看護療養費

家族療養費
家族訪問看護療養費

立て替え払いのとき

療養費
高額療養費
高額介護合算療養費

家族療養費
高額療養費
高額介護合算療養費

緊急時などに移送されたとき

移送費

家族移送費

療養のため休んだとき

傷病手当金

ー 

出産したとき

出産育児一時金
出産手当金

家族出産育児一時金

死亡したとき

埋葬料

家族埋葬料

退職したあと

傷病手当金
出産手当金
出産育児一時金
埋葬料

 ー

療養の給付(家族療養費)

 
医療機関で、診察、薬または治療材料の支給、手術等を一定の自己負担で受けることができます。
人間ドックによる検査、美容を目的とする二重まぶた等の手術や歯列矯正、正常な出産等は、療養の給付(家族療養費)の範囲に含まれません。

入院時食事療養費(家族療養費)

 
入院中、1食あたり定額の自己負担で食事の給付が受けられます。

入院時生活療養費(家族療養費)

 
65歳以上の人が医療療養病床へ入院したとき、定額の自己負担分を超える部分の生活療養費(食費と水道光熱費)が支給されます。

保険外併用療養費

 
先進医療や差額ベット等の全額自己負担の保険外診療を受けた場合でも、通常の療養部分は健康保険が適用されます。

訪問看護療養費(家族訪問看護療養費)

 
自宅療養する場合、一定の自己負担で訪問看護を受けられます。

療養費(家族療養費)

 
緊急時や旅行先等で、健康保険証を提示せずに全額自己負担で診察を受けた場合等に、後で申請して払戻しを受けられます。

高額医療費

 
医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超えた分が高額医療費として支給されます。
ただし、入院時の食事代や差額ベット代は、高額医療費の対象となりません。
自己負担限度額は、その人の年齢(70歳未満または70歳以上)と、被保険者の所得に応じて設定されます。
高額医療費は、原則として医療費の支払い後に申請することにより支給を受けられますが、70歳未満の人および70歳以上の低所得者・現役並み所得者の一部は、事前に保険者に申請をして交付を受けた限度額適用認定証を被保険者証と併せて医療機関等の窓口に提示すると、原則として自己負担限度額を超える医療費の支払いは不要になります。
なお、70歳以上の人(低所得者・現役並み所得者の一部以外)は、事前申請をしなくても被保険者証を提示することで、自己負担限度額を超える支払いは不要になります。
また、同一世帯で直近1年間に3回以上高額医療費の支給を受けている場合、4回目からは自己負担額が軽減され、これを多数該当といいます。
 
70歳未満の人の自己負担限度額は、下表のとおりです。
 

所得区分

自己負担限度額

多数該当の場合

健保:標準報酬月額83万円以上
国保:旧ただし書き所得901万円超

252,600円 + ( 総医療費 − 842,000円 ) × 1%

140,100円

健保:標準報酬月額53〜79万円
国保:旧ただし書き所得600万円超901万円以下

167,400円 + ( 総医療費 − 558,000円 ) × 1%

93,000円

健保:標準報酬月額28〜50万円
国保:旧ただし書き所得210万円超600万円以下

80,100円 + ( 総医療費 − 267,000円 ) × 1%

44,400円

健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下

57,600円

44,400円

低所得者(住民税非課税世帯に属する人等)

35,400円

24,600円

※「旧ただし書き所得」とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額等の合計から基礎控除(33万円)を除いた額です。ただし、雑損失の繰越控除額は控除しません。

 
70歳以上の人の自己負担限度額は、下表のとおりです。
 

所得区分

自己負担限度額

外来(個人ごと)

外来・入院(世帯ごと) 多数該当の場合

現役並み所得者

 

 

健保:標準報酬月額83万円以上
国保・後期:旧ただし書き所得690万円以上

252,600円 + ( 総医療費 − 842,000円 ) × 1%

140,100円

健保:標準報酬月額53〜79万円
国保・後期:旧ただし書き所得380万円以上

167,400円 + ( 総医療費 − 558,000円 ) × 1%

93,000円

健保:標準報酬月額28〜50万円
国保・後期:旧ただし書き所得145万円以上

80,100円 + ( 総医療費 − 267,000円 ) × 1%

44,400円

一般所得者

健保:標準報酬月額26万円以下
国保・後期:旧ただし書き所得145万円未満

18,000円
(年間上限144,000円)

57,600円

44,400円

低所得者

住民税非課税世帯に属する人

8,000円

24,600円

住民税非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない人

8,000円

15,000円

※「旧ただし書き所得」とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額等の合計から基礎控除(33万円)を除いた額です。ただし、雑損失の繰越控除額は控除しません。

 
各被保険者、各被扶養者の自己負担額が上記の自己負担限度額に達しない場合でも、下表のように合算した金額が自己負担限度額を超える場合は、高額医療費が支給されます。
 

世帯合算(75歳未満の人)

同一月の同一世帯で70歳未満の人の受信者別、医療機関別、入院・通院別の自己負担額が21,000円以上のものは、すべて合算できる

世帯合算(70歳以上75歳未満の人)

同一月の同一世帯で70歳以上75歳未満の人の自己負担額は、すべて合算できる

世帯合算(70歳未満の人と70歳以上75歳未満の人)

同一月の同一世帯で70歳未満の人の自己負担額が21,000円以上のものと、70歳以上75歳未満の人の自己負担額のすべてを合算できる

 
また、血友病人工透析治療を行う必要のある慢性腎不全抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群により高額な医療を長期間必要とする場合、特定疾病療養受療証があれば、同じ月内に1つの医療機関の窓口で支払う自己負担限度額は、1か月10,000円になります。
ただし、人工透析治療を行う必要のある慢性腎不全については、70歳未満の上位所得者(標準報酬月額53万円以上、旧ただし書き所得600万円超)の場合、自己負担限度額は、20,000円となります。

高額介護合算療養費

 
同一世帯内の同一医療保険加入者に介護保険の受給者がいる場合で、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担の合算額が下表の自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が高額介護合算療養費として(介護保険からは、高額医療合算介護サービス費高額医療合算介護予防サービス費として)支給されます。
 
自己負担限度額は、各世帯の年齢や被保険者の所得により、下表のとおりとなります。
 

所得区分

自己負担限度額

70歳未満の人だけの世帯

70〜74歳の人がいる世帯

現役並み所得者

 

 

健保:標準報酬月額83万円以上
国保・後期:旧ただし書き所得690万円以上

212万円

健保:標準報酬月額53〜79万円
国保・後期:旧ただし書き所得380万円以上

141万円

健保:標準報酬月額28〜50万円
国保・後期:旧ただし書き所得145万円以上

67万円

一般所得者

健保:標準報酬月額26万円以下
国保・後期:旧ただし書き所得145万円未満

60万円

56万円

低所得者

住民税非課税世帯に属する人

34万円

31万円

住民税非課税世帯に属し、かつ所得が一定基準に満たない人

19万円

※「旧ただし書き所得」とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額等の合計から基礎控除(33万円)を除いた額です。ただし、雑損失の繰越控除額は控除しません。

移送費(家族移送費)

 
診察を受けるために病院等に移送された際、必要と認められた場合、移送費用が支給されます。

傷病手当金

 
被保険者が業務外の事由による病気や怪我のため、仕事を連続して3日以上休み、報酬を受けられない場合、4日目から支給されます。
傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月までとなります。
自宅療養の期間についても支給対象となります。
 
1日あたりの支給額は、次の式で計算します。
 

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

出産育児一時金(家族出産育児一時金)

 
産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合は、1児につき500,000円が支給されます。
産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は、1児につき488,000円が支給されます。
 
産科医療補償制度とは、医療機関等が加入する制度で、加入機関で制度対象となる出産をし、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、生まれた子どもと家族の経済的負担を補償するものです。
 
出産育児一時金の支給額は、次のように覚えましょう!
 

FP検定語呂合わせ暗記_出産育児一時金の支給額

出産手当金

 
出産のために会社を休み、会社から給料の支払いを受けられない場合に、支給されます。
 
1日あたりの支給額は、次の式で計算します。
 

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

 
支給期間は、出産予定日以前の42日間(多胎妊娠の場合は、98日間)から出産日の翌日以降56日間までの範囲となります。
 
出産手当金の支給期間は、次のように覚えましょう!
 

FP検定語呂合わせ暗記_出産手当金の支給期間

埋葬料(家族埋葬料)

 
被保険者や被扶養者が死亡したときに、原則として一律50,000円が支給されます。


健康保険の任意継続被保険者制度

 
被保険者が会社等を退職した場合、翌日から健康保険の被保険者資格を自動的に失います。
ただし、次の要件を満たせば、退職後2年間は引き続き退職前の勤務先の健康保険に加入できる任意継続被保険者制度というものがあります。
 

  • 退職日までの健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上あること
  • 退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に申請すること

 
保険料は全額自己負担となり、納付期限までに自分で保険料を納付します。
 
保険料算定の基準となる標準報酬月額は、次のいずれか低い方となります。
 

  • 退職時の標準報酬月額
  • 原則として退職前に加入していた健康保険の全被保険者の前年の標準報酬月額の平均額

 
また、被保険者資格の喪失事由は、次のとおりです。
 

  • 資格取得日から2年が経過したとき
  • 毎月の保険料を納付期限までに納付しなかったとき
  • 就職等により、健康保険の被保険者となったとき
  • 被保険者が死亡したとき
  • 被保険者が後期高齢者医療制度の被保険者となったとき
  • 任意継続被保険者でなくなることを希望したとき

 
なお、任意の申し出には、健康保険被保険者資格喪失申請書の提出が必要です。
資格喪失日は、全国健康保険協会や健康保険組合が申請書を受理した日の属する月の翌月1日となります。
 
健康保険の任意継続被保険者制度は、次のように覚えましょう!
 

FP検定語呂合わせ暗記_健康保険の任意継続被保険者制度

国民健康保険

 
国民健康保険とは、健康保険や共済組合等の被用者保険に加入していない人(自営業者、退職者、無職者とその家族等)が、病気、怪我、死亡、出産したときに必要な給付を行い、生活を安定させることを目的とした医療保険制度のことです。
なお、国民健康保険には、被扶養者という区分はなく、加入者全員が被保険者となります。

国民健康保険の保険者

 
国民健康保険の保険者には、都道府県と市区町村が共同で保険者となるものと、国民健康保険組合が保険者となるものの2種類があります。
国民健康保険組合は、弁護士、医師、美容師等の同業者が集まって結成したもので、都道府県と市区町村が運営する国民健康保険とは別に、組合独自で運営する医療保険制度です。

国民健康保険の保険料 

 
都道府県と市区町村が運営する国民健康保険の保険料は、所得割や均等割等により計算され、その保険料率は市区町村により異なります。
国民健康保険組合の保険料は、組合によって異なります。
なお、国民健康保険の保険料は、全額被保険者負担となります。


国民健康保険の給付の種類

 
国民健康保険の保険給付は、個々の被保険者に対してではなく、世帯主または組合員に対して支給されます。
給付の種類には、法律により給付しなければならないと規定されている法定給付と、市区町村の条例や国民健康保険組合の規約により給付できる任意給付があります。
さらに、法定給付は保険者が必ず給付しなければならない絶対的必要給付と、特別な理由があるときには給付しなくてもよい相対的必要給付に分かれます。
 
国民健康保険の給付の種類は、下表のとおりです。
 

区分

給付の種類

法定給付

絶対的必要給付

療養の給付
入院時食事療養費
入院時生活療養費
保険外併用療養費
療養費
訪問看護療養費
移送費
高額療養費
高額介護合算療養費

相対的必要給付

出産育児一時金
葬祭費
葬祭の給付

任意給付

傷病手当金
付加給付

 
なお、国民健康保険には、健康保険と異なり傷病手当金出産手当金の給付がありません。


後期高齢者医療制度

 
後期高齢者医療制度とは、75歳以上(一定の障害認定を受けている場合は、65歳以上)の高齢者を対象とした医療制度のことです。
都道府県単位の後期高齢者医療広域連合が運営しています。
原則として75歳になると、健康保険等の公的医療保険制度の被保険者・被扶養者資格を失います。
その代わりとして、後期高齢者医療制度の適用を受けることになります。
後期高齢者医療制度には、被扶養者の制度はありません。

後期高齢者医療制度の保険料

 
後期高齢者医療制度は、被保険者全員が保険料を負担します。
保険料は一律ではなく、都道府県単位の後期高齢者医療広域連合ごとの保険料率によって算定されます。
なお、年額18万円以上の年金を受給している被保険者の保険料は、原則として公的年金から天引き(特別徴収)されます。
ただし、介護保険料を合わせた保険料額が年金額の1/2を超える人は除かれます。
それ以外の人は、口座振替や納付書等により市区町村へ納めます(普通徴収)。


医療費の自己負担割合

健康保険・国民健康保険の医療費の自己負担割合

 
健康保険・国民健康保険の医療費の自己負担割合は、下表のとおりです。
 

被保険者・被扶養者の年齢 区分 自己負担割合

6歳未満(小学校入学前)

2割

6歳以上(小学校入学後)70歳未満

3割

70歳以上75歳未満

一般の所得者

2割

現役並み所得者

3割

 
70歳以上75歳未満の人で3割負担となる 「現役並み所得者」とは、次の両方に該当する人です。
 

  • 同じ世帯の被保険者の中に、住民税課税所得が145万円以上の人がいる
  • 同じ世帯の被保険者の年収が、383万円以上(単身世帯)または520万円以上(複数世帯)である

後期高齢者医療制度の医療費の自己負担割合

 
後期高齢者医療制度の医療費の自己負担割合は、下表のとおりです。
 

被保険者・被扶養者の年齢 区分 自己負担割合

75歳以上

一般の所得者

1割

一定以上所得のある人

2割

現役並み所得者

3割

 
75歳以上の人で2割負担となる「一定の所得がある人」とは、次の両方に該当する人です。
 

  • 同じ世帯の被保険者の中に、住民税課税所得が28万円以上の人がいる
  • 同じ世帯の被保険者の「年金収入+その他の合計所得金額」が、200万円以上(単身世帯)または320万円以上(複数世帯)である

 
また、75歳以上の人で3割負担となる 「現役並み所得者」とは、次の両方に該当する人です。
 

  • 同じ世帯の被保険者の中に、住民税課税所得が145万円以上の人がいる
  • 同じ世帯の被保険者の年収が、383万円以上(単身世帯)または520万円以上(複数世帯)である