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公的医療保険とは?FPがわかりやすく解説

最終更新日: 2026-08-22

公的医療保険制度の全体像

 
公的医療保険には、自営業者や無職の人、その世帯に属する人など、他の医療保険制度に加入していない人を対象とする国民健康保険と、会社員や公務員などの被用者およびその被扶養者が加入する被用者保険があります。
被用者保険には、民間企業に勤務する会社員などとその被扶養者を対象とする健康保険と、国家公務員、地方公務員、私立学校教職員およびその被扶養者を対象とする共済組合等があります。
また、原則として75歳以上の人を対象とする後期高齢者医療制度があります。
日本国内に住所を有する人は、原則としていずれかの公的医療保険に加入することが義務付けられており、この仕組みを国民皆保険制度といいます。
 
公的医療保険制度を整理すると、以下のとおりです。
 

制度名

被用者保険

地域保険

後期高齢者医療制度

健康保険 共済組合等

国民健康保険

加入者

会社員等とその被扶養者

公務員等とその被扶養者

自営業者や無職の人およびその世帯に属する人

75歳以上の人 ※

保険者

全国健康保険協会または健康保険組合

共済組合等

都道府県と市区町村(共同保険者)または国民健康保険組合

後期高齢者医療広域連合

※65歳以上75歳未満で一定の障害がある人は、申請により後期高齢者医療制度に加入することができます。


健康保険とは

 
健康保険とは、会社などに勤務する人(被保険者)およびその家族(被扶養者)が、病気やけが、出産、死亡などにより経済的な負担が生じた場合に、医療給付や各種手当金を受けることで生活の安定を図ることを目的とした公的医療保険制度です。

健康保険の被保険者の要件

 
健康保険の被保険者となる主な要件は、次のとおりです。

  • 1週間の所定労働時間および1か月間の所定労働日数が、同一事業所で働く通常の労働者のおおむね4分の3以上であること

 
上記の要件に該当しない短時間労働者については、次のすべての要件を満たす必要があります。

  • 所定労働時間が週20時間以上であること(月単位または年単位で定められている場合は、週単位に換算して判定)
  • 所定内賃金が月額88,000円以上であること(この要件は2028年6月までに撤廃される予定です)
    所定内賃金は基本給および諸手当の金額で判断し、次の賃金は含まれません。
    • 結婚手当などの臨時的な賃金
    • 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
    • 時間外労働、休日労働および深夜労働に対する割増賃金
    • 通勤手当や家族手当など、最低賃金法上の賃金に含まれないもの
  • 雇用期間が2か月を超えて見込まれること
  • 学生でないこと
    ただし、次に該当する学生は適用対象となります。
    • 通信制課程の在学生
    • 夜間学部または定時制課程の学生
    • 休学中の者
  • 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤務していること

特定適用事業所・任意特定適用事業所とは

 
特定適用事業所とは、事業主が同一である一つまたは複数の適用事業所において、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時50人を超える事業所をいいます。
なお、この企業規模要件は段階的に引き下げられ、2035年10月に撤廃される予定です(制度改正により変更される可能性があります)。
ここでいう「事業主が同一である一つまたは複数の適用事業所」とは、法人の場合、法人番号が同一である本社、支社、工場、営業所などのすべての適用事業所を含みます。被保険者数は、これらの事業所を合算して判定します。
個人事業所の場合は、同一の個人事業主が経営する複数の事業所に勤務する被保険者数を合算して判定します。
また、国の機関および地方公共団体の事業所については、規模にかかわらず特定適用事業所として取り扱われます。
 
任意特定適用事業所とは、特定適用事業所以外の適用事業所であって、厚生年金保険の被保険者、70歳以上の被用者および短時間労働者の過半数による労使合意に基づき、短時間労働者を健康保険および厚生年金保険の適用対象とする旨の申出を行った事業所をいいます。
 
特定適用事業所となった後に、短時間労働者を除く被保険者数が基準を下回った場合でも、原則として引き続き特定適用事業所として取り扱われます。
ただし、厚生年金保険の被保険者、70歳以上の被用者および短時間労働者の4分の3以上の同意を得たうえで、事業主が不該当の届出を行うことができます。
任意特定適用事業所についても同様に、対象者の4分の3以上の同意を得ることで、適用の取消しを申し出ることができます。

健康保険の被扶養者の要件

 
健康保険の被扶養者となるための主な要件は、次のとおりです。

  • 被保険者と同一生計にある親族(事実婚関係にある配偶者を含む)であること
  • 日本国内に住所を有していること
  • 年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満、19歳以上23歳未満の場合は150万円未満)であること
  • 同居している場合は、被扶養者の年収が被保険者の年収の2分の1未満であること
  • 別居している場合は、被保険者からの仕送り額よりも被扶養者の年収が少ないこと

健康保険の保険者の種類

 
健康保険の保険者とは、健康保険制度を運営し、保険給付や保険料の管理を行う団体のことをいいます。
保険者には、主に次の2種類があります。

  • 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
    全国健康保険協会(協会けんぽ)が保険者となる健康保険です。主に、健康保険組合を設立していない企業の従業員およびその被扶養者が加入します。加入や資格喪失などの手続きは、事業所を管轄する年金事務所または全国健康保険協会を通じて行います。
  • 組合管掌健康保険(組合健保)
    健康保険組合が保険者となる健康保険です。健康保険組合は、一つの企業または複数の企業が共同で設立・運営しており、その企業の従業員および被扶養者が加入します。加入や資格喪失などの手続きは、各健康保険組合が窓口となります。

健康保険の保険料の仕組み

 
健康保険の加入者は、保険給付の財源として保険料を負担します。
保険料には、次の2種類があります。

  • 一般保険料
    健康保険事業に係る保険料です。
  • 介護保険料
    40歳以上65歳未満の被保険者が負担する介護保険事業に係る保険料です。

 
保険料は、被保険者の報酬および賞与を基に計算されます。
毎月の保険料は、標準報酬月額を基礎として計算されます。標準報酬月額とは、被保険者が受け取る毎月の報酬額を一定の等級に区分したものです。
また、賞与に係る保険料は、標準賞与額を基礎として計算されます。標準賞与額とは、賞与額から1,000円未満を切り捨てた額をいいます。
なお、標準賞与額の年度累計額(毎年4月1日から翌年3月31日まで)には573万円の上限があり、この上限を超える部分には保険料はかかりません。
 
協会けんぽの一般保険料率は都道府県ごとに異なり、介護保険料率は全国一律です。
保険料は、原則として事業主と被保険者が折半して負担します。
一方、組合健保の一般保険料率については、組合の規約により事業主と被保険者の負担割合を定めることができます。
 
また、次の期間については、事業主の申出により、被保険者負担分および事業主負担分の保険料が免除されます。

  • 産前産後休業期間
  • 満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間

健康保険で受けられる給付

 
健康保険には、被保険者および被扶養者に対して、病気やけが、出産、死亡などに備えるためのさまざまな給付が設けられています。
主な給付は次のとおりです。
 

給付の区分

給付の種類

被保険者

被扶養者

病気やけがをしたとき

療養の給付
入院時食事療養費の支給
入院時生活療養費の支給
保険外併用療養費の支給
訪問看護療養費の支給
療養費の支給
移送費の支給
高額療養費の支給
高額介護合算療養費の支給

家族療養費の支給
家族訪問看護療養費の支給
家族移送費の支給
高額療養費の支給
高額介護合算療養費の支給

療養で仕事を休んだとき

傷病手当金の支給

ー 

出産したとき

出産育児一時金の支給
出産手当金の支給

家族出産育児一時金の支給

死亡したとき

埋葬料の支給

家族埋葬料の支給

退職したとき

傷病手当金の支給
出産手当金の支給
出産育児一時金の支給
埋葬料の支給

 ー

※「療養の給付」は医療機関の窓口で直接給付を受ける現物給付、「療養費」はいったん自己負担した後に払い戻しを受ける現金給付です。

療養の給付・家族療養費

 
医療機関において、診察、投薬、治療材料の支給、手術などの医療サービスを一定の自己負担で受けることができます。
ただし、次のような医療行為は原則として給付の対象外となります。

  • 人間ドックなどの検査
  • 美容を目的とした施術(例:二重まぶたの手術や歯列矯正)
  • 正常分娩による出産(異常分娩の場合は健康保険が適用されることがあります)

入院時食事療養費

 
入院中の食事については、1食あたり定額の自己負担で給付を受けることができます。

入院時生活療養費

 
65歳以上の人が医療療養病床に入院した場合には、食費や居住費(光熱水費相当額)について定額の自己負担が必要となり、その自己負担額を超える部分について給付が行われます。

保険外併用療養費

 
先進医療や差額ベッド代などの保険適用外の診療を受けた場合でも、通常の保険診療部分については健康保険が適用されます。
この場合、保険診療部分について保険外併用療養費による給付を受けることができます。
たとえば、先進医療を受けた場合、先進医療に係る費用は自己負担となりますが、診察や検査などの通常の保険診療部分には健康保険が適用されます。

訪問看護療養費・家族訪問看護療養費

 
病気やけがにより自宅で療養している場合には、医師の指示に基づく訪問看護サービスを一定の自己負担で利用することができます。

療養費・家族療養費

 
やむを得ない理由により医療費を全額自己負担した場合は、後日申請を行うことで、保険適用分について療養費・家族療養費の支給を受けることができます。
例えば、緊急時や旅行先などで健康保険証を提示できず、全額自己負担で診療を受けた場合が該当します。
なお、申請の際には、領収書などの証明書類が必要です。

高額療養費

 
医療費の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合、その超過分が高額療養費として支給されます。
ただし、入院時の食事代や差額ベッド代(特別療養環境室料など)は、高額療養費の支給対象外です。
 
自己負担限度額は、年齢(70歳未満・70歳以上)および所得区分に応じて異なります。
原則として、医療費を支払った後に申請することで、高額療養費の支給を受けることができます。
ただし、70歳未満の人および70歳以上の低所得者または現役並み所得者の一部については、事前に限度額適用認定証を保険者へ申請・取得し、医療機関の窓口で提示することで、自己負担額を自己負担限度額までに抑えることができます。
なお、70歳以上の一般所得者については、認定証がなくても保険証の提示により、限度額を超える支払いは不要です。
 
また、同一世帯において、直近12か月以内に高額療養費の支給を3回以上受けた場合は、4回目以降の自己負担限度額が軽減されます。これを「多数回該当」といいます。
 
高額療養費の自己負担限度額(70歳未満)
2026(令和8)年8月〜2027(令和9)年7月

所得区分

自己負担限度額

多数回該当

健保(標準報酬月額):83万円以上
国保(旧ただし書き所得):901万円超

270,300円 +(医療費 − 901,000円)× 1%

140,100円

健保(標準報酬月額):53万円〜79万円
国保(旧ただし書き所得):600万円〜901万円

179,100円 +(医療費 − 597,000円)× 1%

93,000円

健保(標準報酬月額):28万円〜50万円
国保(旧ただし書き所得):210万円〜600万円

85,800円 +(医療費 − 286,000円)× 1%

44,400円

健保(標準報酬月額):26万円以下
国保(旧ただし書き所得):210万円以下

61,500円

44,400円

住民税非課税

36,900円

24,600円

2027(令和9)年8月〜

所得区分

自己負担限度額

多数回該当

健保(標準報酬月額):127万円以上
国保(旧ただし書き所得):1,356万円超

342,000円 +(医療費 − 1,140,000円)× 1%

140,100円

健保(標準報酬月額):103万円〜121万円
国保(旧ただし書き所得):1,110万円〜1,356万円

303,000円 +(医療費 − 1,010,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):83万円〜98万円
国保(旧ただし書き所得):901万円〜1,110万円

270,300円 +(医療費 − 901,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):71万円〜79万円
国保(旧ただし書き所得):809万円〜901万円

209,400円 +(医療費 − 698,000円)× 1%

93,000円

健保(標準報酬月額):62万円〜68万円
国保(旧ただし書き所得):679万円〜809万円

194,400円 +(医療費 − 648,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):53万円〜59万円
国保(旧ただし書き所得):600万円〜679万円

179,100円 +(医療費 − 597,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):44万円〜50万円
国保(旧ただし書き所得):410万円〜600万円

110,400円 +(医療費 − 368,000円)× 1%

44,400円

健保(標準報酬月額):36万円〜41万円
国保(旧ただし書き所得):313万円〜410万円

98,100円 +(医療費 − 327,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):28万円〜34万円
国保(旧ただし書き所得):210万円〜313万円

85,800円 +(医療費 − 286,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):20万円〜26万円
国保(旧ただし書き所得):127万円〜210万円

69,600円

健保(標準報酬月額):16万円〜19万円
国保(旧ただし書き所得):86万円〜127万円

65,400円

健保(標準報酬月額):15万円以下
国保(旧ただし書き所得):86万円以下

61,500円

34,500円

住民税非課税

36,900円

24,600円

※ 旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額などから基礎控除を差し引いた額をいいます。

 
高額療養費の自己負担限度額(70歳以上)
2026(令和8)年8月〜2027(令和9)年7月

所得区分
自己負担限度額
外来(個人)
外来・入院(世帯)
多数回該当
健保(標準報酬月額):83万円以上
国保・後期(課税所得):690万円以上
270,300円 +(医療費 − 901,000円)× 1%
140,100円
健保(標準報酬月額):53万円〜79万円
国保・後期(課税所得):380万円以上
179,100円 +(医療費 − 597,000円)× 1%
93,000円
健保(標準報酬月額):28万円〜50万円
国保・後期(課税所得):145万円以上
85,800円 +(総医療費 − 286,000円)× 1%
44,400円
健保(標準報酬月額):26万円以下
国保・後期(課税所得):145万円未満
22,000円(年間上限216,000円)
61,500円
44,400円
住民税非課税
11,000円(年間上限96,000円)
25,700円
24,600円
住民税非課税(所得が一定以下)
8,000円
15,700円

2027(令和9)年8月〜

所得区分

自己負担限度額

外来(個人)

外来・入院(世帯)

多数回該当

健保(標準報酬月額):127万円以上
国保・後期(課税所得):1,107万円超

342,000円 +(医療費 − 1,140,000円)× 1%

140,100円

健保(標準報酬月額):103万円〜121万円
国保・後期(課税所得):900万円以上

303,000円 +(医療費 − 1,010,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):83万円〜98万円
国保・後期(課税所得):690万円以上

270,300円 +(医療費 − 901,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):71万円〜79万円
国保・後期(課税所得):614万円以上

209,400円 +(医療費 − 698,000円)× 1%

93,000円

健保(標準報酬月額):62万円〜68万円
国保・後期(課税所得):504万円以上

194,400円 +(医療費 − 648,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):53万円〜59万円
国保・後期(課税所得):380万円以上

179,100円 +(医療費 − 597,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):44万円〜50万円
国保・後期(課税所得):280万円以上

110,400円 +(医療費 − 368,000円)× 1%

44,400円

健保(標準報酬月額):36万円〜41万円
国保・後期(課税所得):203万円以上

98,100円 +(医療費 − 327,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):28万円〜34万円
国保・後期(課税所得):145万円以上

85,800円 +(医療費 − 286,000円)× 1%

健保(標準報酬月額):20万円〜26万円
国保・後期(課税所得):57万円以上

28,000円(年間上限216,000円)

69,600円

健保(標準報酬月額):16万円〜19万円
国保・後期(課税所得):28万円以上

65,400円

健保(標準報酬月額):15万円以下
国保・後期(課税所得):28万円未満

22,000円(年間上限216,000円)

61,500円

34,500円

住民税非課税

13,000円(年間上限96,000円)

25,700円

24,600円

住民税非課税(所得が一定以下)

8,000円

15,700円

 
同一世帯の複数の人が同じ月に医療を受けた場合は、一定の条件のもとで自己負担額を合算することができます。
高額療養費における世帯合算の主な取扱いは、次のとおりです。

  • 世帯合算(70歳未満のみ)
    21,000円以上の自己負担額があるものを合算
  • 世帯合算(70歳以上75歳未満)
    すべての自己負担額を合算可能
  • 混在世帯合算(70歳未満と70歳以上75歳未満)
    70歳未満の人は21,000円以上の自己負担額のみ合算し、70歳以上75歳未満の人はすべての自己負担額を合算

 
血友病、人工透析を必要とする慢性腎不全、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染者を含む)などの特定疾病に該当する人は、特定疾病療養受療証を医療機関に提示することで、自己負担限度額が原則として月額10,000円となります。
ただし、人工透析を必要とする慢性腎不全については、70歳未満の高所得者区分の人(健康保険は標準報酬月額53万円以上、国民健康保険は旧ただし書き所得600万円超)の場合、自己負担限度額は月額20,000円となります。

高額介護合算療養費

 
高額介護合算療養費とは、同じ世帯で医療保険と介護保険の両方の自己負担がある場合に、年間の自己負担額を合算して負担を軽減する制度です。
毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間において、医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、その合計額が自己負担限度額を超えた場合は、超過した額が支給されます。
支給額は医療保険と介護保険の負担割合に応じて按分され、医療保険分は高額介護合算療養費として、介護保険分は高額医療合算介護サービス費または高額医療合算介護予防サービス費として支給されます。
なお、自己負担限度額は、世帯の年齢構成および所得区分に応じて異なります。
 

所得区分
自己負担限度額
70歳未満のみの世帯
70〜74歳の人がいる世帯
健保:標準報酬月額83万円以上
国保・後期:旧ただし書き所得690万円以上
212万円
健保:標準報酬月額53万円〜79万円
国保・後期:旧ただし書き所得380万円以上
141万円
健保:標準報酬月額28万円〜50万円
国保・後期:旧ただし書き所得145万円以上
67万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保・後期:旧ただし書き所得145万円未満
60万円
56万円
住民税非課税
34万円
31万円
住民税非課税(所得が一定以下)
19万円

※ 旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額などから基礎控除を差し引いた額をいいます。

移送費・家族移送費

 
病気やけがにより移動が困難な人が、病院や診療所へ移送され、その移送が医療上必要であると認められた場合は、移送に要した費用について移送費・家族移送費が支給されます。
ただし、移送に要した費用がすべて支給されるわけではなく、保険者が必要と認めた場合に限り支給されます。
たとえば、重傷や重病により通常の交通手段での移動が困難で、医師の指示に基づいて医療機関へ搬送された場合などが対象となります。

傷病手当金

 
被保険者が、業務外の病気やけがの療養のために働くことができず、連続して3日間休業したうえで、その期間について十分な報酬を受けられない場合は、4日目から傷病手当金が支給されます。
なお、連続して休業する最初の3日間を「待機」といい、有給休暇や公休日も待機期間に含まれます
傷病手当金の支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6か月です。
また、医師の指示等により自宅で療養している期間についても、労務不能と認められる場合は支給対象となります。
1日あたりの支給額は、次の算式により計算されます。
 

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3

出産育児一時金・家族出産育児一時金

 
出産は病気ではないため、正常分娩そのものは健康保険の療養の給付の対象になりません。そのため、出産費用の負担を軽減する目的で出産育児一時金・家族出産育児一時金が支給されます。
なお、多胎児を出産した場合は、出産した子どもの人数分の出産育児一時金が支給されます。
支給額は、出産した医療機関等が産科医療補償制度の対象となるかどうかによって異なります。

  • 産科医療補償制度の対象となる医療機関等で出産した場合
    1児につき500,000円が支給されます。
  • 上記以外の場合
    1児につき488,000円が支給されます。

 
産科医療補償制度とは、分娩に関連して子どもが重度の脳性まひとなった場合に補償を行う制度であり、医療機関などが加入しています。
 
出産育児一時金の支給額は、次のように覚えましょう!

FP検定暗記術_出産育児一時金の支給額

出産手当金

 
被保険者が出産のために仕事を休み、その期間について給与の支払いを受けられない場合は、健康保険から出産手当金が支給されます。
出産育児一時金が出産費用を補助するための給付であるのに対し、出産手当金は出産のために仕事を休んでいる期間の所得を補償するための給付です。
1日あたりの支給額は、次の算式により計算されます。
 

1日あたりの支給額 = 支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3

 
支給期間は次のとおりです。

  • 単胎妊娠の場合
    出産予定日の42日から、出産日の翌日以後56日間
  • 多胎妊娠の場合
    出産予定日の98日から、出産日の翌日以後56日間

 
出産手当金の支給期間は、次のように覚えましょう!

FP検定暗記術_出産手当金の支給期間

埋葬料・家族埋葬料

 
被保険者が死亡した場合には、その被保険者によって生計を維持されていた人に対して埋葬料が支給されます。
また、被扶養者が死亡した場合には、被保険者に対して家族埋葬料が支給されます。
支給額は、いずれも原則として50,000円です。


任意継続被保険者制度とは

 
会社などを退職すると、退職日の翌日から健康保険の被保険者資格を喪失します。
退職後は国民健康保険に加入する方法もありますが、一定の要件を満たす場合は、退職後も資格取得日から最長2年間、退職前に加入していた健康保険を継続できる任意継続被保険者制度を利用することができます。
 

任意継続被保険者になるための要件

 
任意継続被保険者となるためには、次の要件を満たす必要があります。

  • 退職日までに継続して2か月以上、健康保険の被保険者であったこと
  • 退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に申請すること

 

保険料

 
任意継続被保険者の保険料は全額自己負担となります。
在職中は事業主と被保険者が保険料を折半して負担していますが、任意継続被保険者になると事業主負担分も含めて本人が負担する必要があります。
また、保険料は納付期限までに本人が直接納付しなければなりません。
 

保険料の算定基準

 
保険料の算定に用いる標準報酬月額は、次のいずれか低い方となります。

  • 退職時の標準報酬月額
  • 原則として、退職前に加入していた健康保険の全被保険者の標準報酬月額の平均額

 

資格喪失事由

 
任意継続被保険者の資格は、次のいずれかに該当した場合に喪失します。

  • 資格取得日から2年を経過したとき
  • 保険料を納付期限までに納付しなかったとき
  • 就職などにより新たに健康保険の被保険者となったとき
  • 被保険者が死亡したとき
  • 後期高齢者医療制度の被保険者となったとき
  • 資格喪失を希望したとき

 
なお、任意で資格喪失を希望する場合は、「健康保険任意継続被保険者資格喪失申出書」(名称は保険者によって異なる場合があります)を提出する必要があります。
 
健康保険の任意継続被保険者制度は、以下のように覚えましょう!

FP検定暗記術_任意継続被保険者制度

国民健康保険とは

 
国民健康保険は、健康保険や共済組合などの被用者保険に加入していない人(自営業者、無職の人、退職後に他の公的医療保険へ加入していない人など)を対象とした医療保険制度です。
病気やけが、出産、死亡などの際に必要な給付を行い、生活の安定を図ることを目的としています。
なお、国民健康保険には「被扶養者」という区分はなく、加入者はすべて個別に「被保険者」として扱われます。
 

国民健康保険の保険者

 
国民健康保険には、市区町村(特別区を含む)が運営する国民健康保険と、国民健康保険組合が運営する国民健康保険の2種類があります。
前者は、主に地域住民を対象として、都道府県と市区町村がそれぞれの役割を分担しながら運営する医療保険制度です。
一方、国民健康保険組合は、医師、弁護士、美容師など、同種の業務または事業に従事する人によって設立された組合です。自治体が運営する国民健康保険とは別に、組合独自の医療保険制度を運営しています。
 

国民健康保険の保険料 

 
都道府県および市区町村が運営する国民健康保険の保険料は、所得割や均等割などを組み合わせて算出されます。
保険料(または国民健康保険税)の算定方法や負担額は市区町村ごとに異なるため、地域によって負担額に差があります。
一方、国民健康保険組合の保険料は各組合が独自に定めており、保険料の額や算定方法は組合ごとに異なります。
なお、健康保険では保険料を事業主と被保険者で折半しますが、国民健康保険では保険料を加入者自身が負担します。
 

国民健康保険の給付内容

 
国民健康保険の給付は被保険者を対象として行われますが、給付金は原則として世帯主または国民健康保険組合の組合員に支給されます。
給付には、法律により実施が義務付けられている「法定給付」と、市区町村の条例または国民健康保険組合の規約に基づいて実施される「任意給付」があります。
法定給付は、保険者が必ず行わなければならない「絶対的必要給付」と、一定の裁量が認められている「相対的必要給付」に区分されます。
主な給付は以下のとおりです。
 

区分

給付の種類

法定給付

絶対的必要給付

療養の給付
入院時食事療養費の支給
入院時生活療養費の支給
保険外併用療養費の支給
療養費の支給
訪問看護療養費の支給
特別療養費の支給

移送費の支給
高額療養費の支給
高額介護合算療養費の支給

相対的必要給付

出産育児一時金の支給
葬祭費の支給または葬祭の給付

任意給付

傷病手当金の支給
その他の給付

 
なお、国民健康保険では、健康保険とは異なり、出産手当金は支給されません。また、傷病手当金についても原則として支給されません(条例や規約により支給される場合を除く)。


後期高齢者医療制度とは

 
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人を対象とした医療制度です。
また、65歳以上75歳未満で一定の障害がある人は、申請により加入することができます。
この制度は、都道府県単位で設置された後期高齢者医療広域連合によって運営されています。
原則として、75歳になると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険などの公的医療保険の資格を喪失し、後期高齢者医療制度の被保険者となります。
なお、この制度には健康保険のような被扶養者の仕組みはなく、加入者一人ひとりが被保険者となります。
 

後期高齢者医療制度の保険料

 
後期高齢者医療制度では、すべての被保険者が保険料を負担します。
保険料は、各後期高齢者医療広域連合が定める保険料率に基づいて算定されるため、地域によって異なります。
年額18万円以上の公的年金を受給している人については、原則として保険料が年金から自動的に差し引かれる特別徴収の対象となります。
ただし、介護保険料と後期高齢者医療保険料の合計額が年金額の2分の1を超える場合は、特別徴収の対象外となります。
それ以外の人は、口座振替や納付書などにより保険料を納める普通徴収となります。


医療費の自己負担割合とは

健康保険・国民健康保険の自己負担割合

 
健康保険および国民健康保険では、医療費の自己負担割合が年齢や所得状況に応じて定められています。
 

被保険者・被扶養者の区分 自己負担割合

6歳未満(小学校入学前)

2割

6歳以上(小学校入学後)70歳未満

3割

70歳以上75歳未満

一般の所得者

2割

現役並み所得者

3割

 
70歳以上75歳未満の人のうち、医療費の自己負担割合が3割となる「現役並み所得者」とは、原則として次の条件を満たす人をいいます。

  • 同一世帯に住民税課税所得145万円以上の人がいること
  • 世帯年収が単身世帯で383万円以上複数世帯で520万円以上であること

後期高齢者医療制度の自己負担割合

 
後期高齢者医療制度の自己負担割合は、次のとおりです。
 

被保険者の区分 自己負担割合

75歳以上

一般の所得者

1割

一定以上所得者

2割

現役並み所得者

3割

 
医療費の自己負担割合が2割となる「一定以上所得者」とは、次の条件を満たす人です。

  • 同一世帯に住民税課税所得28万円以上の人がいること
  • 世帯の「年金収入 + その他の合計所得金額」が単身世帯で200万円以上複数世帯で320万円以上であること

 
さらに、医療費の自己負担割合が3割となる 「現役並み所得者」とは、次の条件を満たす人です。

  • 同一世帯に住民税課税所得145万円以上の人がいること
  • 世帯年収が単身世帯で383万円以上複数世帯で520万円以上であること

マイナ保険証とは

 
2024年12月2日から、健康保険被保険者証(国民健康保険加入者は国民健康保険被保険者証、後期高齢者医療制度加入者は後期高齢者医療被保険者証)は新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行しました。
マイナ保険証とは、健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカードのことで、医療機関や薬局で健康保険証として利用することができます。
また、マイナ保険証を保有していない人には、当分の間、資格確認書が交付され、これまでと同様に保険診療を受けることができます。
 

マイナ保険証のメリット

 
マイナ保険証の主なメリットは、次のとおりです。

  • 診療情報の共有
    受付時に情報提供へ同意することで、過去に他の医療機関や薬局で処方された薬剤情報や健診結果を医師や薬剤師と共有することができます。これにより、より適切な診療や服薬指導を受けることができます。
  • 高額医療費の手続きが簡略化
    高額な医療費が発生する場合でも、限度額適用認定証の事前申請が不要となり、窓口での自己負担限度額を超える金額を一時的に支払う必要がありません。
  • 医療費控除の手続きが簡略化
    マイナポータルで医療費通知情報を確認できるため、確定申告における医療費控除の手続きを簡単に行うことができます。
  • 救急時の迅速な対応
    救急時には、必要に応じて医療情報や薬剤情報を活用することで、より適切な応急処置や医療機関への搬送を行うことができます。

 

マイナ保険証の登録方法

 
マイナ保険証として利用するための登録は、次のいずれかの方法で行うことができます。

  • 病院や薬局などの医療機関等の窓口に設置された顔認証付きカードリーダー
  • マイナポータル
  • セブン銀行ATMなどの対応ATM

 
また、2025年9月19日からは、健康保険証の利用登録を行ったマイナンバーカードをスマートフォンに追加することで、対応する医療機関や薬局では、実物のカードを取り出すことなく、スマートフォンをかざして利用できるようになりました。
なお、スマートフォンに追加した場合でも、実物のマイナンバーカードは引き続き利用できます。
 

マイナ保険証と電子証明書の有効期限

 
マイナンバーカードには、次の2種類の有効期限があります。

  • マイナンバーカード本体:発行から10年(18歳未満は5年)
  • 電子証明書:発行から5年

いずれも有効期限までに更新手続きが必要です。
 
電子証明書の有効期限が切れると、マイナ保険証としての利用に支障が生じるため、有効期限の確認と更新を忘れないようにしましょう。
電子証明書の有効期限は、マイナンバーカードの券面やマイナポータルで確認することができます。
また、有効期限が近づくと、「有効期限通知書」が同封された封筒が自宅へ送付されるため、住んでいる市区町村の窓口で更新手続きを行います。
なお、猶予期間として、有効期限満了月の末日から3か月間はマイナ保険証による受診が可能です。
ただし、この期間中は保険資格情報のみが提供され、診療情報や薬剤情報の提供は行われません。
 

資格確認書

 
資格確認書は、マイナ保険証の利用登録をしていない人やマイナンバーカードを持っていない人など、マイナ保険証を利用できない人に交付される書類です。
また、資格確認の際に家族や介助者の支援が必要な人についても交付対象となります。
資格取得届や被扶養者異動届の提出時に資格確認書の発行を希望した場合や、資格確認書の交付申請を行った場合に交付されます。
医療機関や薬局の窓口で提示することで、保険診療を受けることができます。
 

資格情報のお知らせ

 
資格情報のお知らせは、被保険者記号・番号などの資格情報を確認するための書類です。健康保険の各種給付申請や健診を受ける際などに利用します。
また、医療機関等のシステム障害や機器トラブルなどによりマイナ保険証が利用できない場合には、「資格情報のお知らせ」とマイナンバーカードを併せて提示することで、保険診療を受けることができます。
資格取得時などに申請不要で交付されます。
なお、マイナポータルで取得できる「医療保険の資格情報」でも代用可能です。
「資格情報のお知らせ」とマイナンバーカードを併せて医療機関等の窓口へ提示して使用します。


FP試験での出題ポイント

 
FP試験では、特に次のポイントはよく問われるため、しっかり押さえておきましょう。
 

① 公的医療保険制度

 

  • 国民健康保険:自営業者・無職の人などが加入
  • 健康保険:会社員とその被扶養者が加入
  • 共済組合等:公務員等とその被扶養者が加入
  • 後期高齢者医療制度:原則75歳以上が加入
  • 日本は「国民皆保険制度」を採用

 

② 健康保険の被保険者

 

  • 一般被保険者:所定労働時間・労働日数が通常の労働者のおおむね4分の3以上
  • 短時間労働者:
    • 週20時間以上
    • 月額賃金88,000円以上
    • 2か月超の雇用見込み
    • 学生でない
    • 特定適用事業所等に勤務

 

③ 健康保険の被扶養者

 

  • 年収130万円未満
  • 60歳以上または一定障害者は180万円未満
  • 19歳以上23歳未満は150万円未満
  • 同居の場合は被保険者の年収の2分の1未満
  • 別居の場合は仕送り額未満

 

④ 健康保険料

 

  • 標準報酬月額と標準賞与額を基に算定
  • 原則として事業主と被保険者が折半負担
  • 40歳以上65歳未満は介護保険料も負担

 

⑤ 傷病手当金

 

  • 業務外の病気やけがが対象
  • 連続3日間の待機後、4日目から支給
  • 支給期間は通算1年6か月
  • 支給額=標準報酬月額ベースの約3分の2
  • 被扶養者には支給されない

 

⑥ 出産育児一時金

 

  • 原則50万円
  • 産科医療補償制度対象外は48万8,000円
  • 多胎児の場合は人数分支給

 

⑦ 出産手当金

 

  • 出産前42日、出産後56日
  • 多胎妊娠は出産前98日
  • 支給額は傷病手当金と同様に約3分の2

 

⑧ 高額療養費

 

  • 自己負担限度額を超えた部分が支給
  • 食事代・差額ベッド代は対象外
  • 多数回該当あり(4回目以降軽減)
  • 世帯合算が可能

 

⑨ 高額介護合算療養費

 

  • 医療保険と介護保険の自己負担額を年間で合算
  • 限度額超過分が支給される

 

⑩ 任意継続被保険者

 

  • 退職前に継続2か月以上加入
  • 資格喪失日から20日以内に申請
  • 最長2年間継続可能
  • 保険料は全額自己負担

 

⑪ 国民健康保険

 

  • 被扶養者制度がない
  • 出産手当金はない
  • 傷病手当金は原則ない
  • 給付の多くは健康保険と共通

 

⑫ 後期高齢者医療制度

 

  • 原則75歳以上が加入
  • 65歳以上75歳未満の一定障害者は申請加入可
  • 保険者は後期高齢者医療広域連合

 

⑬ 医療費の自己負担割合

 

  • 6歳未満:2割
  • 6歳以上70歳未満:3割
  • 70歳以上75歳未満(一般):2割
  • 75歳以上(一般):1割
  • 現役並み所得者:3割

 

⑭ マイナ保険証

 

  • 2024年12月2日以降、健康保険証は新規発行されない
  • 資格確認書で受診可能
  • 高額療養費の限度額適用認定証が原則不要
  • 電子証明書の有効期限は5年
  • 資格情報のお知らせはマイナンバーカードと併せて使用