事業所得
事業所得の計算方法について
事業所得の金額は、原則として次の算式により計算します。
事業所得 = 総収入金額 − 必要経費
総収入金額に含まれる主な項目
総収入金額には、事業から得られる売上金額のほか、次のような収入が含まれます。
- 金銭以外の物品や権利その他の経済的利益の価額
- 商品を家事のために消費した場合または贈与した場合のその商品の価額
- 棚卸資産の損失に対して受け取る保険金や損害賠償金
- 空き箱や作業くず等の売却代金
- 仕入割引やリベート収入
必要経費に含まれる主な項目
必要経費とは、総収入金額を得るために直接要した費用およびその年における販売費、一般管理費その他業務上必要な費用をいいます。
主なものとして、次のような費用が挙げられます。
- 売上原価( = 年初棚卸高 + 当年仕入高 − 年末棚卸高 )
- 給与・賃金
- 地代・家賃
- 減価償却費
- 広告宣伝費
- 水道光熱費
なお、必要経費については、一定の要件を満たす場合に、次のような特例が認められています。
家内労働者等の必要経費の特例
内職や在宅ワークなどを行う家内労働者等については、実際の必要経費の額が少ない場合であっても、必要経費として一定額まで認められる特例があります。
その年の必要経費の額が69万円に満たない場合には、最高69万円まで必要経費として計上することができます。
青色事業専従者給与(青色申告者の場合)
青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族で、その年の12月31日現在で15歳以上であり、かつ、その年を通じて6か月を超える期間(またはその事業に従事できる期間の2分の1超)専らその事業に従事している者を「青色事業専従者」といいます。
青色申告者が、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合などは一定の日まで)に税務署へ提出した「青色事業専従者給与に関する届出書」に基づき支払った給与のうち、労務の対価として相当と認められる金額は必要経費に算入することができます。
事業専従者控除額(白色申告者の場合)
白色申告者の場合も、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族で、15歳以上かつ専らその事業に従事している者を「事業専従者」といいます。
白色申告者は、青色事業専従者給与のように給与を必要経費へ算入することはできませんが、事業専従者がいる場合には事業専従者控除を受けることができます。
控除額は、次の①または②のいずれか少ない金額となります。
① 年間50万円(配偶者の場合は年間86万円)
② ( 事業所得 + 不動産所得 + 山林所得 ) ÷ ( 事業専従者の数 + 1 )
減価償却について
事業のために使用する建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、使用や時の経過によりその価値が徐々に減少していきます。このような資産を減価償却資産といいます。
一方、土地や骨董品など、通常、使用や時の経過によって価値が減少しない資産は、減価償却資産には該当しません。
減価償却資産を取得した場合、その取得費用を取得した年に一括して必要経費に算入するのではなく、法定耐用年数に基づいて使用可能期間に配分し、各年分の必要経費として計上します。この手続きを減価償却といいます。
減価償却に関する主な特例
次のような資産については、取得価額を特例的に処理することができます。
- 使用可能期間が1年未満の資産
取得費用の全額を、その年の必要経費として計上することができます。 - 取得価額が10万円未満の資産
取得費用の全額を、その年の必要経費として計上することができます。 - 取得価額が10万円以上20万円未満の資産(一括償却資産)
取得価額の合計額の3分の1相当額を、事業の用に供した年から3年間にわたり、毎年均等に必要経費として計上することができます。 - 青色申告者の少額減価償却資産の特例
青色申告者は、取得価額が10万円以上30万円未満の減価償却資産について、年間300万円を上限として、取得価額の全額を事業の用に供した年の必要経費に算入することができます。
減価償却の方法
減価償却の方法には、主に次の2つがあります。
- 定額法
毎年一定額を減価償却費として計上する方法です。耐用年数を通じて毎年同額の費用を計上します。 - 定率法
期首末償却残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計上する方法です。取得初年度ほど減価償却費が大きくなり、年数の経過とともに減少します。
減価償却方法の適用例
- 1998(平成10)年4月1日以後に取得した建物:定額法
- 2016(平成28)年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物:定額法
- その他の減価償却資産:定額法または定率法を選択
なお、減価償却方法の届出を行わない場合は、原則として法定償却方法である定額法が適用されます。
減価償却費の計算式
2017(平成29)年4月以降に取得した資産の定額法による減価償却費は、次の式により計算します。
定率法による減価償却費は、次の式により計算します。
ただし、定率法では償却費が一定額を下回ると、その後は改定取得価額に基づく定額法へ切り替えて計算します。
事業所得の税額の計算方法について
事業所得は総合課税の対象となります。
そのため、事業所得の金額は、給与所得や不動産所得などの他の総合課税の所得と合算したうえで課税所得金額を計算し、所得税額を算出します。
事業所得を得ている人は、原則として確定申告を行う必要があります。
また、事業所得に係る報酬のうち、一定のものについては、報酬等の支払時に所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。
主な例として、次のような専門家に支払われる報酬があります。
- 弁護士
- 公認会計士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 建築士
- デザイナー
- 作家・評論家
- 講演料を受ける者
など
源泉徴収された税額は、確定申告の際に算出された所得税額から差し引かれ、源泉徴収税額が納付すべき税額を上回る場合には還付を受けることができます。
損益通算
事業所得の金額が赤字(事業所得の損失)となった場合には、一定の場合を除き、給与所得や不動産所得などの他の総合課税の所得と損益通算を行うことができます。
損益通算により課税所得金額を減額できるため、所得税および住民税の負担が軽減される場合があります。
青色申告者の純損失の繰越控除
青色申告者に生じた事業所得の損失のうち、その年の他の所得との損益通算を行っても控除しきれない金額(純損失)がある場合には、一定の要件の下で翌年以後3年間にわたり繰り越して各年の所得金額から控除することができます。