事業所得
最終更新日: 2024-11-03

事業所得とは

 
事業所得とは、農業、漁業、畜産業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、建築業、自由業(医者、弁護士等)等の事業から生じる所得のことです。
事業所得になるか否かは、対価を得て継続的に行っているかどうかによります。
非継続的な一過性の事業による収入は、雑所得になる場合があります。
また、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得山林所得になります。


事業所得の計算

 
事業所得の金額は、次の式で計算します。
 

事業所得 = 総収入金額 − 必要経費

 
それぞれの事業から生じる売上金額のほか、総収入金額に含まれる主なものは、次のとおりです。
 

  • 金銭以外の物や権利、その他の経済的利益の価額
  • 商品を自家用に消費した場合や贈与した場合のその商品の価額
  • 商品等の棚卸資産について損失を受けたことにより支払いを受ける保険金や損害賠償金等
  • 空き箱や作業くず等の売却代金
  • 仕入割引やリベート収入

 
必要経費とすることができる主なものは、次のとおりです。
 

  • 売上原価( = 年初棚卸高 + 当年仕入高 − 年末棚卸高 )
  • 給与、賃金
  • 地代、家賃
  • 減価償却費
  • 広告宣伝費
  • 水道光熱費

 
また、必要経費の特例として、次のようなものがあります。

家内労働者等の必要経費の特例

 
家内労働者については、必要経費の額が55万円に満たない場合には、最高55万円まで必要経費とすることができます。

青色事業専従者給与(青色申告者の場合)

 
青色申告者である事業主と生計を一にする配偶者やその他の親族(15歳以上)で、原則として6か月超の期間事業に従事する人を青色事業専従者といいます。
その年の3月15日までに税務署長に届出した青色事業専従者に関する届出書に記載された金額の範囲内で、その専従者に実際に支払われた金額を青色事業専従者給与として必要経費に算入することができます。

事業専従者控除額(白色申告者の場合)

 
白色申告者である事業主と生計を一にする配偶者やその他の親族(15歳以上)で、原則として6か月超の期間事業に従事する人を事業専従者といいます。
事業専従者1人につき、次の①又は②のいずれか低い金額を事業専従者控除額として、必要経費に算入することができます。
 

① 年間50万円(配偶者の場合は、年間86万円
② ( 事業所得 + 不動産所得 + 山林所得 ) ÷ ( 事業専従者の数 + 1 )


減価償却

 
事業等の業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具等の資産は、使用しているうちにその価値が年々減っていきます。
このような資産を減価償却資産といいます。
一方、土地や骨董品等のように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産になりません。
減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間に渡って分割して必要経費に含めます。
この使用可能期間としては法定耐用年数が定められています。
減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続きのことです。
 
使用可能期間が1年未満のものや取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額をその年の必要経費とします。
青色申告者の場合、取得価額が30万円未満のものについては、取得価額の年間合計金額が300万円までなら取得価額の全額をその年の必要経費とすることができます。
取得価額が10万円以上20万円未満のものについては、一括して3年間で均等償却することができます。
 
減価償却の方法には、定額法定率法があります。
 

  • 1998(平成10)年4月1日以降に取得した建物は、定額法
  • 2016(平成28)年4月1日以降に取得した建物附属設備や構築物は、定額法
  • その他の減価償却資産は、定額法または定率法を選択

 
なお、法定の減価償却方法は、定額法となります。
 
定額法による減価償却費(2017(平成29)年4月以降に取得した資産の場合 )は、次の式で計算します。
 

 
定率法による減価償却費は、次の式で計算します。
 


事業所得の税額の計算

 
事業所得は、総合課税の対象となり、確定申告が必要です。
ただし、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、建築士等の業務に関する報酬については源泉徴収が行われます。
なお、事業所得の金額が赤字の場合、他の黒字の所得と損益通算することができます。