雑所得について
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれの所得にも該当しない所得を指します。
雑所得に該当する主なもの
- 国民年金(老齢基礎年金)
- 厚生年金保険※(老齢厚生年金)
- 地方公務員等共済組合※(退職共済年金)
- 私立学校教職員共済組合※(退職共済年金)
- 国家公務員等共済組合※(退職共済年金)
- 農林漁業団体職員共済組合(退職共済年金)
- 農業者年金基金(経営移譲年金、農業者老齢年金)
- 国民年金基金
- 厚生年金基金
- 確定給付企業年金
- 確定拠出年金
- 生命保険契約等に基づく年金
- 郵便年金
- 為替差益
- 一定の公社債の償還差益
- 非営業用貸金の利子
- 副業による所得(原稿料、作曲料、デザイン料、印税、講演料など)
※2015(平成27)年10月1日以降、「被用者年金制度を一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」により、厚生年金保険、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済組合、国家公務員等共済組合は一元化されました。
非課税となる主な年金等
- 遺族恩給
- 公的障害年金
- 公的遺族年金
- 適格退職年金制度による遺族年金
- 過去の勤務先から支給される遺族年金
雑所得の計算方法について
雑所得の金額は、以下の式で算出されます。
雑所得 = ( 公的年金等の収入金額 − 公的年金等控除額 ) + ( 公的年金等以外の総収入金額 − 必要経費 )
為替差損が発生した場合、他に雑所得(総合課税)があれば、その損失と相殺することが可能です。ただし、相殺後に損失が残った場合でも、他の所得との損益通算はできません。また、その損失を翌年以降に繰り越すこともできません。
公的年金等控除額
公的年金等控除額は、受給者の年齢および年金収入額、さらに他の所得の合計額に応じて、以下のように定められています。
| 年金等の収入金額 |
公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額 |
|||
| 1,000万円以下 |
1,000万円超2,000万円以下 | 2,000万円超 | ||
| 65歳以上 |
330万円以下 |
110万円 | 100万円 | 90万円 |
| 330万円超410万円以下 |
収入金額 × 25% + 27.5万円 |
収入金額 × 25% + 17.5万円 |
収入金額 × 25% + 7.5万円 |
|
| 410万円超770万円以下 |
収入金額 × 15% + 68.5万円 |
収入金額 × 15% + 58.5万円 |
収入金額 × 15% + 48.5万円 |
|
| 770万円超1,000万円以下 |
収入金額 × 5% + 145.5万円 |
収入金額 × 5% + 135.5万円 | 収入金額 × 5% + 125.5万円 | |
| 1,000万円超 |
195.5万円 | 185.5万円 | 175.5万円 | |
| 65歳未満 | 130万円以下 |
60万円 | 50万円 | 40万円 |
| 130万円超410万円以下 |
収入金額 × 25% + 27.5万円 | 収入金額 × 25% + 17.5万円 | 収入金額 × 25% + 7.5万円 | |
| 410万円超770万円以下 |
収入金額 × 15% + 68.5万円 | 収入金額 × 15% + 58.5万円 | 収入金額 × 15% + 48.5万円 | |
| 770万円超1,000万円以下 |
収入金額 × 5% + 145.5万円 | 収入金額 × 5% + 135.5万円 | 収入金額 × 5% + 125.5万円 | |
| 1,000万円超 |
195.5万円 | 185.5万円 | 175.5万円 | |
雑所得の税額の計算方法について
雑所得は、他の所得と合算して課税される総合課税の対象となり、原則として確定申告が必要です。
ただし、公的年金等や原稿料・講演料・印税などについては、支払い時に所得税が源泉徴収されるため、一定の条件を満たす場合には確定申告が不要となることもあります。
なお、雑所得が赤字(損失)となった場合でも、他の所得との損益通算はできません。
外国為替証拠金取引(FX)の課税方法
FX取引における課税は、以下のように扱われます。
- 利益が出た場合(差益)
差金決済による利益は、他の所得と分離して課税され、「先物取引に係る雑所得等」として、20.315%(所得税15.0%、復興特別所得税0.315%、住民税5.0%)の申告分離課税の対象となります。 - 損失が出た場合(差損)
差金決済による損失は、他の「先物取引に係る雑所得等」との損益通算は可能です。ただし、他の種類の所得(給与所得や事業所得など)との損益通算はできません。また、損益通算で残った損失については、一定の条件を満たす場合に限り、翌年以降3年間の繰越控除が認められます。